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小便小僧が高いところからおしっこしている 大人のくるぶしまでは浸れる浅い池に チェーンの柵を乗り越えて 汚い格好のオジサンがざばざばと向かう 白い水しか見えていない あの水で頭を洗おう あの水で顔を洗うのだ オジサンは飢え渇いた足取りで 泳ぐように空気を掻きながら 空を眺める目は細く 子供を叱る目は光る そこは危ない そんなことをするな だれが泣かした オジサンは誰の目にも留まず 誰の目にも忌み嫌われて 誰にも施しを要求せず 誰かに養われている 市役所に入っていく 若い子供連れのなかに 知っている顔を見た オジサンは背を向けて、 それからざばざばと池を歩いた 小便小僧のおしっこで、 頭を洗うんだ あの小便小僧のおしっこで 顔を洗おう 口をすすぎ手を洗おう ずぶ濡れになるには細い 細い水だが もじゃもじゃに絡まった髪の上を滑り落ちる時 きらきらきらきらと光って オジサンの目から祈りがこぼれた 神を呪って生きてきたのに 12時のサイレンが鳴る オジサンは斑に濡れたまま 林の中に姿を隠す 市役所の連中に捕まりたくない 身内が地面をつばで汚す そんな場面が瞼の裏で見える気がして いつかは全てを洗おう いつか、全てを洗い流そう 虫のように屈めた心を いつか、洗って全て新しく おのれごときが呪っても 神は手を差し伸べていたのだと 市役所から帰る子供連れの うしろ姿をそっと見守る いつかは全てを洗おう いつか、全てを洗い流そう 虫のように屈めた心を いつか、洗って全て新しく オジサンの目から祈りがこぼれた
神を呪って生きてきたのに 神は手を差し伸べ続けてていたのだと 市役所から帰る子供連れの うしろ姿をそっと見守る |
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2008年12月02日
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