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「奇跡のピアニスト」 〜フジ子・ヘミング物語〜(シナリオ)10 ※大月家の居間
投網子とウルフが話している。
フジ子「フランソワがいるフランスが良いと思うの・・・」投網子「私が留学したドイツも良いわよ。その時のお友達も居るから何とかなるし・・・」
「ただいま〜」とウルフが帰ってくる。
※同、玄関待ち構えていた様に、玄関まで迎えに行くフジ子。
ウルフを迎えに出たフジ子。
フジ子「貰って来てくれた?」
ウルフ、首を振りながら居間に入って行く。
※同、居間不満げに、後を追うフジ子。 投網子「お帰り」
ウルフが座りながら、
ウルフ「・・・姉さんの国籍が無いんだ」
驚いた顔の投網子とフジ子。
投網子「えッ?・・・何を言ってるの?」フジ子「何の事?どうしてなの?」 ウルフ「姉さんがベルリンで生まれた時、日本への手続きをしてなかったから・・・」 投網子「・・・スウェーデン国籍はあるんでしょう?」 ウルフ「有ったんだけど日本との2重国籍になるから、18歳までに自分でどちらの国籍を取るか意思表示をしなかった場合は、自動的に抹消されてしまうんだって・・・」 フジ子「じゃぁ、パスポートが貰えないの?」 ウルフ「・・・姉さんだけ、無国籍なんだって・・・」
留学の夢が消え、ボーゼンとしている投網子とフジ子
※大月家のピアノ部屋泣きながらピアノを弾くフジ子。 投網子の声「希望を持っていれば、その時が必ず来るものよ。練習を続けなさい!」 ※吉野の家、居間。 投網子が電話に向かってドイツ語で話している。 受話器を置いて入ってくる投網子。 吉野「どうだった?」 投網子「努力はしてみるって・・・」 吉野「期待しない方が、良いみたいね」
投網子も頷いている。
投網子「ドイツの同級生は、偉くなった人も多いから、きっと何とかなると思うけど・・・」
心配そうな投網子の顔。
※コンサートホール。
渡辺暁雄が指揮をする、日本フィルの演奏会。
※芸術大学の奏楽堂の前フルオーケストラの脇で、ピアノを弾いているフジ子 各地のコンサート風景がフラッシュバックして、 皇太子ご成婚の記録映像がオーバーラップする。
抱っこちゃん人形を腕にはめた人達が行きかう。
※同、内部
フジ子の演奏会。
※同、控室観客の中に、ドイツ人が数人座っている。 日本人の観客の中に居るので、やけに目立つ存在。 なんと、ドイツ人の隣に、投網子の姿がある。 ドイツ人と会話をしているが、拍手にかき消され、話し声は聞こえない。 フジ子が登場してピアノ演奏が始まる。 曲のテロップ「喜びの島」次のシーンに続く。
演奏が終り、くつろいでいるフジ子。
ドイツ大使「素晴らしかった。君のピアノは、きっとドイツ人の心の奥に入るだろう。ささやかなプレゼントだが受け取ってくれるかね?」投網子が入ってくると、その後からドイツ大使と同行する側近達も入ってくる。 驚いて出迎えるフジ子。
フジ子が、不安そうに贈り物を受け取る。
フジ子「開けて宜しいですか?」
笑顔で頷くドイツ大使。
ドイツ大使「パスポートだよ。赤十字の難民用だけどね。それでドイツに行きなさい」中から小冊子が出てくる。 怪訝そうな、フジ子に
フジ子は喜びの余り、ドイツ大使に抱きついてしまう。
投網子「フジ子!」
投網子の一括に、我に帰って手を離す、恥ずかしそうなフジ子。
投網子「塩をなめてでも、仕送りをするから・・・ガンバルのよ」周りの人達が、笑っている。
フジ子、涙を浮かべて大きく頷く。
※羽田国際空港
大勢の人達が送迎デッキに詰めかけている。
ウルフ「姉さんの見送りじゃ無かったんだね」フジ子を見送りに、投網子とウルフ、吉野が来る。 4人は送迎デッキに立っている人達の人数の多さに驚く。 送迎デッキの人達は、手に手に日の丸の小旗を持っている。 よく見ると横断幕には「小澤征爾、凱旋帰国おめでとう!」 「歓迎!!ニューヨークフィル。ミスター・バーンスタイン」等と書かれている。 ノースウエスト機が着陸すると、一層の歓声が聞こえてくる。 タラップを降りてくる、小澤征爾とバーンスタイン。 歓声が頂点を極める。 フジ子「そんな訳無いでしょ。征爾は良くやったわよね」
しかし、歓声の方が気になる様子のフジ子と投網子。
投網子「頑張るんだよ!フジ子の帰国の時には、征爾君以上の出迎えを揃えるからね」
笑顔で頷くフジ子。
その顔に、羽田国際空港の滑走路を飛び立つ「鶴」のマークの日本航空機が、
オーバーラップする。
※ベルリン国立音楽学校の全容(フジ子30歳)
両手に荷物を持ったフジ子がやって来る。
※ベルリンのアパートの一室その建物の威容に感動して、暫く立ち尽くしている。
ガランとした室内で、荷物を開けるフジ子。
※ドイツの国立音楽大学の全景(夜)FIベットの上に座って泣きながら、フランスパンをかじる。
校舎の窓から明かりが漏れている。
中から、楽しそうな歓声が聞こえてくる。鳴り響く音響、交錯する照明。 ※同、室内 謝肉祭の仮装舞踏会で、学生達のパーティが行なわれている。 青、赤、緑、黄色等の光が交錯して、まるで光の嵐。 ぐるぐる回るミラーボールに反射して輝いている。 思い思いの仮装に着飾ったベルリン音大学生達の熱気。 学生バンドが交代で、曲を演奏している。 バンド演奏に合わせて、踊る学生達。 フジ子が古いセーターに、ジャラジャラしたネックレスをぶらさげて現れる。 演奏しているジャズバンドで、ピアノを弾いているクラウス。 フジ子の視線が、クラウスに向かう。 バンドの入れ替えの間に、身体に響くロックのレコードがかかる。 テロップ『ロック・アンド・ロール・ミュージック』チャック・ベリー 白い布を体にまきつけ、頭を剃って顔を真白にぬりつぶした学生が、 フジ子をダンスに誘う。 一緒に踊るフジ子。 一言の会話も無く踊り続けている。 踊り終わると、学生は手にもっていた真赤なバラを、フジ子にさし出した。 笑顔で受け取るフジ子。 フジ子のN「私は音と音の透き間の音を聴きながら踊るの・・・」 つづく・・・。 小沢征爾 (征爾の名前は満州国を立案した「板垣征四郎」と「石原莞爾」から貰った?) Borodin - Prince Igor - Polovtsian dances |

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