怪走紳士@ワゴン三世のオークランド日記

郊外の田舎町、ワイウクに引っ越しました。でもまだぎりぎりオークランド(笑)

医療とIT

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オーストラリアで看護師をされているみかんさんに教えてもらったオーストラリア・ニュージーランド版の医学用語のテキストで勉強中です。

日本で取った診療情報管理士の資格に相当するコーディング(カルテを読んで病名や処置に分類用のコードをつけること)の資格をこちらでも取りたいのです。

それと、医療ITの標準語ともいえる、SNOMED CTをしっかり理解したいというのも、もうひとつの理由です。

SNOMED-CTとは、Systmatized Nomenclature of Medicine -- Clinical Termsの略で、医療ITを推進している多くの国では、前回お話しした、全国統一の患者番号や医療従事者番号と共に、医療ITの重要な構成要素と考えられています。

なぜ、このSNOMED CTが重要であるかというと、診療記録の中身をコンピュータが理解できる形で記録するためには、自然言語のように解釈の余地がいろいろあっては困るからです。医学用語は通常の言語と比べれば厳密に定義されていますが、それでも、例えば略語などは施設や分野によって同じ略語が違う意味になったりすることもないとは言えません。コンピュータには基本的に常識というものがないので、自動診断等に使おうとすると、これぐらい分かるだろうというのが通用しないのです。

ところが、このSNOMED CT、ご察しの通り、英語で定義されています。したがってこれを使いこなそうとすると、英語の医学用語を理解することが必要となるのです。SNOMED CTは、その他にドイツ語とスペイン語に翻訳されていますが、残念ながら日本語版はまだありません。ここにも残念ながら言語の壁があるのです。

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国民総背番号制

医療に限らず、行政サービスをIT化で合理化しようとすると、避けて通れないのが、この国民総背番号制です。

この話をすると、超管理社会になる、プライバシーが守られないという反応をされる方が多いのですが、システムがきちんと運用されれば、実は行政サービスの上では、国民に対する監視が緩く、プライバシーも守られやすくなるという効果があることは意外と知られていません。

これは間違いや不正を防ぐために、行政の各セクション同士情報をやりとりする時に、ID以外の情報を渡す必要が非常に少なくなるからです。そうでなければ、同一人であることを確認するために、かえって、たくさんの個人情報がセクションをまたがってやりとりされることになってしまいます。

年金情報をめぐる大混乱や、生活保護受給者や失業保険受給者に対する過剰と思える監視にもかかわらず不正が後を絶たない悪循環は、社会福祉用の統一のIDの利用によりかなりの部分が軽減できたのではと思います。

もちろん、不正な利用に対する罰則や保障制度をきっちり整備するなどの周辺整備や、なにより行政への国民の信頼が不可欠ですから、残念ながら日本の現状ではなかなか実現は難しいと思われます。

電子的に長期間、さまざまな施設で記録された医療保健記録を利用する時も、この記録の対象の同一性が非常に重要になります。したがって、電子的な医療保健記録を推進する多くの国では、実施に先立って、この統一のIDの整備を行っています。

困った顔

「ニュースサイトの転載」はサービス終了になりました。

病院のカルテが電子化され、コンピュータのデータベースに管理されていると、わざわざ紙のカルテを運んでこなくても、端末にログインすれば必要な情報を確認することができます。日本の病院では端末の設置場所や台数に限りがあるところが多いのですが、海外の導入事例では潤沢な端末が配備され、モバイル端末でのアクセスもできるようにするなど、現地見学したり、発表を聞くたびに羨ましい思いをしたものです。

しかし、情報へのアクセスが便利になるのと裏腹に、不要なアクセス、つまり、のぞき見も容易になる危険があります。また故意または過失での情報の漏えいの危険も高まります。

もちろん、有名人のようなのぞき見の対象となりやすい患者の情報については、アクセス権の制限を強化する、名前検索の対象から外す(カルテ番号または特別のアクセス番号を知っている人しかアクセスできない)などの対策をするわけですが、アクセスの記録を残すという対策も取られます。

これは、誰が、いつ、どの記録を、どこから、どんな形で、何のために(状況により、本人がアクセス時に画面上で申告)アクセスしたのかという記録を残す機能です。全数記録する場合と、抜き打ち検査や怪しいユーザを特定して記録する場合があり、状況により設定しますが、この記事でののぞき見は、このような機能によって判明したものと思われます。

もし、紙の記録であれば、単に見たという証拠は本人が否定すればつかめませんので、本人申告に頼らない「何を見たのか」という記録は電子化された情報特有のものであると思います。悪用の対策だけでなく、特定の疾患の治療において、医療関係者がどのような情報を参照し、どのような行動を取ったのかを分析すれば、医療の質や安全の向上につなげられるのではないかと思います。

医療は実は情報産業

お医者さんに診てもらう時、私たちが何を期待しているかというと、もちろん病気を治してもらうことは当然ですが、その病気はすぐ治るのか、よくなるため悪くならないためには何をしたらいいのか、どんな薬が効いて副作用が少ないのか、教えてもらうことも期待しているのではないでしょうか。

言いかえれば自分の病気についての情報を求めているわけで、治療費のいく分かはその情報にお金を払っていると言えると思います。

また、病気を診るお医者さんの立場から見ても、患者さんからいろいろな形で情報を集めるほか、いろいろな検査結果は数字、音声、画像といった様々な形式の情報ですし、また診断にあたっては、自分の知識やノウハウはもちろん、医学文献の各種の症例、治療法といった多くの情報を参照します。そして、診療の過程と結果は診療録(カルテ)という情報として残すことが義務づけられ、その他にも症例報告、診断書、各種届出といった多数の情報を発信します。

つまり、お医者さんは、ヒポクラテスの時代から情報を処理することを仕事にしているわけです。これまで医療とITがなかなか結びつかなかったのは、医療がITと無縁だからではなく、医療が要求する高度な情報処理にITが追いつけていなかったのが一因だと思います。

人間を扱う医療と、コンピュータやネットワークを通じてデータを扱うIT、一見かけ離れた世界に見えるかもしれませんが、実は非常に密接な関係があるのです。
皆さんは、ニュースなどで平均寿命、出生率、5年生存率といった統計の数字を聞いたことがあるのではないでしょうか。これらは医療や保健の代表的な指標の例ですが、このような統計処理をするためには膨大な情報の収集と処理が必要となります。そう、実は医療には情報産業の一面があるのです。そのような一面をこれから何回かにわたって紹介していきたいと思います。

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