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身近な自然 ー生き物大発見ー
梅雨ですが、、お天気の日は、自然観察したいです(笑)

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ヘクソカヅラの気持ち

ヘクソカヅラってたちつぼの大好きな花です!
 
可愛そうな名前っていう言葉をよく聞きます。。。
へくそかづら。。確かにちょっと可哀そうかな?
 
でもすごいインパクトがある名前じゃない!へとくそ。。
一度聞いたら忘れない!
 
あの匂いも。。臭いけれど。。ヘクソカズラって自己主張が強いのよ!
 
そんなことをいつも思っていて。。ちいさなおはなし書いてみました。。。(笑)


ヘクソカヅラの気持ち

 
 
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 いつからこんないやな子になっちゃったんだろう、と美咲は学校の周りに張り巡らされているフェンス付近に生えている草をちぎった。いらいらとする気持ちを抑えつけようと無意識にしている行動だ。
 
あんなことするつもり、なかったのに。
 
フェンスには、緑の紐のような蔓が巻き付いている。その蔓を引っ張った途端、何ともいえない臭い匂いが辺りに広がった。
「何これ、くさい」
と思わず美咲は叫んでいた。
 
「その蔓は臭いがきついじゃろう」
と後ろで声がした。後ろを振り返るとクワを持った用務員のおじさんが立っていた。
「夏草はすぐに伸びてかなわん」
しわがれた声でそういいながら、美咲のすぐ側に屈みこんで細長い薄の葉っ
ぱなどを刈りだした。
「おじさん、何でこんな匂いがするの」
と美咲は思わず聞いた。
 「ほれ、あんたが引っ張ったその蔓。それが特別な匂いがするんじゃな」
 「この蔓が?」
  用務員のおじさんは、その蔓に付いているハート型の葉っぱを取り、半分に ちぎり、また半分にちぎって美咲に渡した。
 「匂いを嗅いでみぃ」
 美咲ははそっと葉っぱを鼻に近づけると、もやもやとした匂いが鼻に入ってき た。
 「臭い」
 と思わず美咲は葉っぱを空中に放り投げた。
 「そうだろう。なんたって、ヘクソカヅラだからのう」
 「へくそかづら?」
 へくそ、名前とも思えない言葉に美咲は大声を上げた。
 「そうじゃ、へとクソの匂いがするからヘクソカヅラ。豪気な名前じゃの」う」
  わっはっは。笑いながら用務員のおじさんは、淡々と草刈りを再開した。  ふと手を止めて美咲を見つめた。
 「なにかいやなことでもあったんかい」
 そんな顔をしてるのう、とおじさんはぼそぼそといった。
 
 いつもだったら、美咲の中の強情っぱりのかけらがちらりと顔を出して何も言 わずに立ち去るところだ。でもヘクソカヅラの匂いに圧倒されてイラついてい た気持ちがすぅっと引いてしまった。
 「私さ、嫌な子になっちゃうの」
 
 美咲と剛は社会科係。剛志はいつも態度がでかい。先生に頼まれて宿題のレポ ポートの返却を頼まれた。剛は先生がいなくなると面倒くさそうに大あくび  してレポートの束を丸ごと美咲に渡した。
 「配っておけよ」
 とその横柄な態度に美咲はいささかむっとしながらいった。
 「待って。あんたも配るのよ」
 と剛の学ランの襟を引っ張りその拍子に剛はよろめいた。
 「なんだよ。シングルは気が強いな」
 と振り返った剛は美咲の眼を見てからかうような笑みを浮かべて言ったのだ。 だ。
 「お前、父さんいないんだってな」
  その言葉に美咲は心の奥底にある熱い塊が噴き出した。いつもは見えない熱 どろどろとしたマグマのように吹き溜まっているもの。
 
 あんたに何が解るの。
 美咲の父と母は離婚した。父がほかの女性と一緒に家を出たからだ。朝早く、仕事に出かける母の後姿。母が働いているため夕食を作るのが美咲の役割にな った。入りたかったバレー部にも入部しなかった。
 母方の親戚がお盆に集まると美咲ちゃんのお父さんは女癖が悪くて、と始まる 寛子おばさんの口癖。それを聞いて小さく縮こまる母の姿。そのたびに「お母 母さんが悪いんじゃない」と言い続けてきた美咲だった。
 「あんたに、何が解るのよ」
 とレポート用紙の束を剛に投げつけてその場から逃げてきた。気が付くと校  庭の隅にいたのだ。
 
 「成程のう」
 とおじさんは、いつの間にか草を刈るのを止めて美咲をじっとみつめているる。
 「また、シングルは気が強いとか暴力的だって言われちゃう」
 垣根の前に広がる青々とした水田の稲穂をぼんやりと見つめながら美咲は小さ な声で言った。水田や畑のなかにある小さな中学校なのだ。
 「あんたも豪気だのう」
 おじさんのしわだらけの手が美咲の頭をぽんぽんとたたいた。大きながっしり とした手だった。
 「このヘクソカヅラはのう。へとクソの匂いがするには訳があるんじゃ。この 臭い匂いは葉にある毒が元でな、虫に葉を食べさせないように毒で身を守って いるんだ。よろいのようなものさ。まぁ個性といってもよい。あんたの気の強 さも自分を守るためのヨロイさ。あんたのその個性がお母さんや自分を守るの のさ」
 おじさんの話をじっと聞いていた美咲は、目元がじわり熱くなって目から一筋 の涙が頬をつたってきた。あわてて、涙をふいた。
 「ヘクソカヅラと一緒にされちゃあたまんないわ」
 と思わず憎まれ口をたたいてしまう。
 「解ってないのう。毒をもった花ほど美しいというじゃろ。そこを見てみな 」さい」
 おじさんが刈り取らずに残したヘクソカヅラの蔓は垣根の上を張っていて白い ベルのような花が鈴なりに付いている。ベルの形の入り口に五枚の花びら。  真ん中は真っ赤だ。
 「この花が愛らしくて、サオトメカヅラやヤイトバナなんて別名をつけた植物 学者もいるんじゃ」
 「ヤイトって?」
 聴きなれない言葉に美咲は首をかしげておじさんを見た。おじさんは、最近の 子は知らんのだな、と笑いながら
 「ヤイトとはお灸のことじゃ。花をひっくり返すと、お灸をすえたような形を しとるだろう。サオトメカズラは乙女のようなという意味じゃな」
 おじさんは、ヘクソカヅラの花を逆さにして花の上に乗せて「天狗じゃ」とお おどけてみせた。
  美咲は思わず吹き出してくすくすと笑いだしてしまった。おじさんは目を細  ほそめて
 「ほら、あんたも笑うとそんなに可愛らしい。ヘクソカヅラのようにあんた   も愛らしい所を持っているんじゃよ」
 私もとがってばかりじゃなくって素直なところがあるんだ、と美咲は小さなヘクソ カヅラの花をちょんちょんと突いた。
 
 
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