真夜中のガードマン

(元)警備会社に勤務する男の回想録/いーーっつも留守にしてスイマセン

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反省です

 あっという間の一年、されど色々な出来事がありました。

出会いと別れ、心の高ぶりと落ち込み、ぼぉ〜っとした時間。

結局、何も変っていない自分に反省です。


でも、そんな事を思いつつも、明日も頑張っていかないとね。

ダメな自分のひとりごとを書いて眠ります。

明日の会議で居眠りしないように。


おやすみなさい。

今の自分

突然ですが、色々な事がありまして警備会社を退職して数ヶ月が経ちました

今は、とある公共機関の会計係をしております

まだまだ仕事に慣れてなく、朝から晩まで計算ばかりしている毎日です

でも充実してるかなぁ


心から信頼していた仲間達と警備の仕事をしていた日々が懐かしいです

そして、どうして転職して今の生活になったかを、いつか書いてみたいです

今はおもいっきり新しい仕事にぶつかっていくのみです

16:音

 ある日、こんな相談を受けました。

「騒がしい学校から家に帰ってきても、母親の出す生活音がうるさくて
ゆっくり休めない」と言う。

私は彼女に言いました。

「では、こう考えてみて。その音が聞こえなくなってしまった時の事を。
その大切な人がいなくなり、聞きたくても、もう二度と聞けなくなってしまったら・・・」と。

時に私は、当たり前の幸せが見えなくなってしまい、そして振り返ったときに
(あの頃は幸せだった)と感じる事があります。

彼女にこの気持ちが少しでも伝われば良いな・・・と思いました。

15:とある一日

 平日の午後、クライアントの船舶設計事務所から緊急信号が発生。

巡回中に連絡を受けた私は現場へ出動しました。しかし、狭い路地がいくつも重なり合い
カーナビ君も悩んでいる始末。

(うわ〜、ゼンリン、ゼンリン!!)と地図を開いて調べていると前から
赤ちゃんを抱いた女性が歩いて来ました。即座に窓を開けて道を訪ねる事に・・・

女性は少し(と言うか、かなり)焦っている私に、やさしく丁寧に道を教えて下さいました。
やはり赤ちゃんを育てている方は母性愛が強いのでしょうか?
ほんの束の間ですが、忙しない日々を送っている私の心は不思議と癒された感じがしました。

早速、教えて頂いた道をたどってクライアントの事務所へ。

入り口のインターホンを鳴らすと直に中年の男性が顔を出し
「あ、今お宅の会社にも連絡したけど、間違えて警報鳴らしただけだから」と言われました。

「そうですか、何よりです。スミマセンが決まりなので身分を証明して頂けるモノを
拝見させて・・・」

説明も最後まで聞かず、男性はめんどくさそうに運転免許書を出しました。

「あ、はい、それでは拝見させて頂きますね」

私が住所などを確認していると男性は

「あのさぁ、入り口を開けているとほこりが入ってくるんだよねぇ、もうイイだろぉ」

「はい、確認させて頂きましたので・・・」

(バタンッ!!)

また男性は私の言葉を最後まで聞かずに、入り口を締めてしまいました。

(まあまあ、こういう方もよくいます。警備員を目下に見ている方もいますし・・・)

私は、ちょっと傷付いた事を自分で気付かないフリをして車に乗り込みました。

(さあさあ、帰ろう、帰ろう〜っと)

何も無かったかの様に振舞ったのですが、やはり自分の心は騙せません・・・。
既に動揺して本部に報告する事も忘れていました。

私は通りがかった公園の脇に車を止めて、本部に連絡をする事に。ついでにタバコも一服する事に。

すると、知らない間に数人の子供達が、開けっ放しの助手席の窓からこちらを覗いていました。

「なあなあ、変身できるの?」「車に乗せて〜!」「腰に付けてるのは武器なの?」
と大きな声で質問攻撃を受けて仕舞う始末。公園内に居たママさん達も笑って見ていました。
その中に、先ほど道を教えて頂いた女性も・・・(なんか恥ずかしい〜!)

少し日が陰り、もうすぐ夕日が出てくる中で、屈託の無い子供達の笑顔と笑い声、そしてそれを
見守る母親達のやさしいまなざし・・・

私はそれ程、正義感が強い人間ではありません。
しかし、この平和な風景が、このやさしく心を癒してくれる時間が、いつまでも続くならば
私の様な人間でもお役に立ちたい・・・。

そんな事を思う一日でした。

14:お茶飲み仲間

警備員の仕事には、雑居ビルなどに駐在して受付を兼ねる職種もあります。

私の会社にも駐在専門の部署があり、大半は定年退職されたご年配の方が
再就職としてこの警備に就かれています。

私と部署は違いますが、彼らの待機部屋を通りがかると、よくお声を掛けて頂き
お茶を飲みながら世間話をする事があります。それぞれ色々な職種に就かれていた方々なので
人生経験も豊富で、中には一流企業の部長職をしていた方もいらしたりと
話を聞いているだけでも楽しいです。また、この部屋はタバコを自由に吸えたので
愛煙家には、ありがたい場所となっていました。

社員の中には「定年後の暇つぶしに働いている年寄り達」などと言う輩もいますが
私は密かに尊敬しています・・・それはある出来事がきっかけでした。

夜の10時を過ぎた頃、駅近くの雑居ビルに駐在している警備員から、応援要請の連絡が
車内無線に入りました。内容は(ビルに入っている同じ会社の社員同士がもめて
騒ぎを起こしている)という事でした。

現場に着いてみると、受付には警備員の姿が見当たりません。しかし3階の窓だけ明かりが
ついているのをビルの外から確認していたので、早急にエレベーターで3階へ向かいました。

階に着くと、奥の事務所から廊下に怒鳴り声が漏れていました。

私はドアを開き、事務所内を見ると、そこには書類やファイルが床に散乱している中で
すでにうずくまってる男性の前に立ち、4人の加害者であろう若い男達から
1人で守っている駐在警備員の姿がありました。

その表情は、いつも一緒にお茶を飲んでいる時とは違い厳しく、眼光さえ鋭く感じます。

彼は私に気付くと、うずくまっていた男性を立ち起こしました。私もすぐに手伝い
2人で男性の両脇を抱え、事務所を出ようとしたその時、男の1人が
「お前達のような他人には関係ないだろう!!」と怒鳴りました。すると駐在警備員は
「私達は、このビルの所有者から管理を任されている・・・理由はわからないが
暴力沙汰を見過ごす訳にはいかない」と、キッパリ言いました。

やはり長年、人の上に立っていた方の口調は、私のような若造と厚みが違います。
男達もそれ以上は、何も言い返してきませんでした。

私達はとりあえず受付の警備室に戻り、男性に救急病院へ行く事を勧めましたが
彼は大丈夫だと言うので応急処置をした後、タクシーに乗せて見送りました。

3階に残っていた男達は、いつの間にか裏口から出て行ったようでした。きっと私達のいる
受付を通りにくかったのだと思います。せめてそれが罪悪を感じての行動だと考えたいです。

その後、この会社事務所の一角は空き部屋になりました。少し前に問題を起こし
名前を変えて営業している某金融会社です・・・。

それにしても年季の違いを感じました。さすが酸いも甘いも乗り越え、定年まで勤めて来た方々です。

普段は静かでも、いざとなった時こそ頼りになる人間・・・

私はまだまだ経験不足ですが、出来るだけ近づいて行きたいと感じました。

そんな思いを心に秘めながら、今日も彼らとお茶を飲んでいます。

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