若芽の国

若者よ。そなたの牙で、「良」と「善」を噛み割けよ!

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この会社に入社してから気になる奴がいる。
気になる奴と言っても、同性。
何と言っていいか、そやつはいつも一人でいる。
仕事なんだから、一人になることもある。だから別に一人でいてもそれはそういう仕事をしているんだと思えばなんらおかしくはない。
だが、彼は今まであまり人と話さずに生きてきた、いつも一人でいた、という感じがするのだ。
なぜかは分からないが。
まあ、恐らく無口な人ではあるのだろう。
きっと人と話すのがそんなに好きではないのだろうな。
と、私はそこまで勝手に予想していた。ココまで考えていると、予想というより、もはや妄想の範囲に突入しているような気がする。
 それと、他に気になる理由として、やつはワカメの国に一人で行けると噂で聞いた。
やつと大学が一緒だったやつがいるのだ。その人の話によるとやつはワカメの国に身一つで行けるらしいのだ。
ワカメの国の話は誰でも知っているが、そんなおこちゃまな話を話しているというのはどういうことなのか。
この会社の人は精神年齢がものすごく低いとか?
まあ、ワカメの国の事は話の種、冗談の1つとして話しかけてみることにした。
「こんにちは」
うどんを食べるのを一時休めて、やつはこちらを見上げた。
「こんにちは」
「ここいいですか」
「どうぞ」
やつは知らない人が声をかけて来たからといって、とくに驚く様子もなく、平然とした声で応えたかと思うとまたうどんを食べ始めた。
ところで、ここの食堂のうどんは美味しいのだろうか。
「お前さあ、ワカメの国に身一つで行けるって本当か?」
「ああ、いけるよ」
話す直前までは初めての人だし、2人称に「お前」なんてのを使うつもりは無かった。
まあ「君」くらいにしようかと思っていた。
が、口をついて出てきた言葉はなぜか「お前」だった。
ていうか、やっぱ今いけるって言ったよな…。
こいつは、そういうやつなのか…、ならそういう乗りで。
「本当か。すげえなあ」
「別に凄くは無い」
「いやすげえよ。今時ワカメの国にアナログで行ける人なんて聞いたことないぞ」
「そうか?俺は行けるやつ何人か知ってる。」
「えっ。マジか。」
「ああ」
「お前すげえなあ」
ワカメの国に行ける人は機会を毛嫌いするっていうのを思い出して聞いてみた。
「っていう事はもしかして、…全然機械を使わないで生活してるのか」
「いいや、全然ではない。最低限の機械は使っている。」
「ああ、そうだよな」
こいつは自分がおちょくられているというのに気がついているのか?
それとも本気でワカメの国なんて信じているのか?
どんだけ精神年齢が低いんだ?
精神年齢が低いとかの領域ではないぞ、もし本気で信じてるなら頭がイカレてるだろう。
と、そこら辺で昼休みが終わり、会話は切り上げだ。
こいつは自分がおちょくられているというのに気がついているのか?
それとも本気でワカメの国なんて信じているのか?
どんだけ精神年齢が低いんだ?
というか精神年齢が低いとかの領域ではないぞ、もし本気で信じてるなら頭がイカレてるだろう。
家に帰ってからインターネットを使っている時にワカメの国の事を思い出して検索してみた。
つまりこういう事だ。現代では「ワカメの国」にはバブル号なる球状の機械の乗り物に乗っていく人が通常だそうだ。しかし、精神が発達した人は機械に乗らなくても行けるらしい。
あれ?ワカメの国ってそんな話だっけ?
小さい頃に読んだだけだからあまり覚えていない。

ワカメの国というのは海の底にあるわけだし、機械に乗らないでって…それって、超能力って事か?魔法か?いやそういう事になるだろ。ありえない。
なんなんだ?あれ?俺が生きている世界ではそんな魔法みたいな事が普通にあるんだっけかな?
 やつは一人で座っている。別に話す人もいないのだろうか。昼休みの時間くらいだべればいいのに、やつは食堂のほぼ中心の席でラーメンをすすっている。今日も調査、調査っと。
「こんにちは」
「こんにちは。」
「そういえば、大変な事が起きてしまいましたね」
「ええ」
「私思うんですがね」
「はい」
「この頃の大人はねえ、この頃の若者は皆『ひとりで育ってきたと思ってると思い込んでる』と思い込んでると思うんだよ」
「はあ、そうですかねぇ」
「はい。若者をみくびりすぎですね」
「まあ確かにけっこう若者を批判する内容のテレビ番組が最近になってなぜか増えていますね」
「そう、そう。あれも問題だと思うよ。若者はねえもっと元気を出していないとダメなんだよ」
「はあ。え、それって批判していませんか」
「ああ、してるしてる。若者はもっとこうなんというか、破茶メチャ加減がだねぇ大切なのだよ。そうはちゃめちゃ加減も大切なのだよ。うん、うん。」
「はあ、けっこう面白いですね。加茶さんて」
「?そうですか?そうしているつもりはないのですがね」
「十分面白いです」
「そうですか。それはよかった」
 なんでだろう。あの人と話しているとどんどん話してしまう。なんだか俺ってなれなれしくて嫌な人になってる気がする。
私は、妖精で有りながら天狗にも成っていた。
コンブの姿をした天狗何て見た事も聞いた事も触った事も匂いを嗅いだ事も無かろう。
ああ、ああ、沿うだろう。
私も自分の鏡の姿を見た時に驚いた。
今日も一仕事終えてと、或る日チョビット時間が出来た。
いつも、占いの申し込み者の占いで大忙しなのだ。
でも、其の日は何故か少し時間が出来た。
其仕て、ふといつも被って居る、顔を覆い隠す真紅の黄色い飾りが付いた布を捲って(捲って)鏡を見た。
すると、其処に居たのはコンブの姿をした鼻の長い天狗だった。
丸でカリントウの如く、其の鼻を私の顔にくっ付いていた。
若しかして取れるのでは無いかと思って手で少し力を入れて外そうとした位だ。
外れる筈も無い。
 母には此の事は伝えていない。
所以(だから)母は今でも私が会計事務所で働いて居ると思っている。
テレビの露出は控えた。
妖精の国のテレビは、誰の元に其の番組を届けるか出演者が決められるので、
私は、母の住んでいる地域には流さないでくれと妖精の世界のテレビ局のコンブに頼んでおいた。
テレビに出る位(くらい)私は有名で有能な占い師になった。
 私は何時の間にか(いつのまにか)政府のトップに迄上り詰めていた。
本当に気が付いたら沿う為っていた。
まさかただの田舎に住んでいる妖精がコンブの国のトップに成るなんて、
以前の私が考えたらえ!ありえないとか、そんな風にしか思わなかった。
でも、成ってしまってからは何の違和感も無く私は、毎日忙しく占いの仕事をしていた。
もはや私が有名な占い師で有ると言う事は事務所の、母知り合いのおばさんにも知れてしまい、
私は、占い師専門になった。
コンブの国の妖精達は一般には知らないが、五閣僚のミロクはマコミットの会員だ。
大体、マコミットとコンブの国が関わっている事を知らない。
私は、政界の裏を知れた気がして嬉しかった。
其れがヤバイ事に発展するなんて事を知らずに。
 私のマコミットでの生活は順風満帆だった。
他の占い師見習いを追い越して、飛び級の飛び級でどんどんと上に上がった。
勿論、私の母の知り合いのおばさんの事務所にも勤めている。
昼間は事務所で妖精界で最も侮辱的な仕事をして、夜はマコミットの占い師の金の卵として、
修行する。此のギャップに私は私自身に酔っていた。
自己陶酔していた。

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