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オープニングテーマソング
「やわらかい光」詞曲歌絵:羽旨まぼる
私は人間界で人間に成(な)り済(す)まして、生きていく事にした。
私は光郎さんの安否を知っている様で、知らない様で、微妙だった。
光郎さんと会いたかった。
会って話したかった。
でも光郎さんは戦争に兵隊として参加している。
私は光郎さんへの気持ちを引き摺(ず)った儘(まま)、厳しい現実世界で生きる事に成った。
私は最後の力を振り絞り、地元のワカメ業者の家の人々に魔法を掛けた。
妖精としての私、詰まり、ソドムヨリポッドとしての私は其の時に死亡した。
終わった。
死亡と言うと大袈裟かも知れないが、概念的にソドムヨリポッドは其の瞬間死滅した。
私は貝塚美津世として生きていく事を決意した。
元ワカメの妖精が、ワカメを採取して生計を立て始めた。
世の中は戦争モード。
私は、平和な妖精の国から戦争中の現実世界へ来て、その余りの余りの余りの雰囲気の違いに呆然と、唖然と、愕然としながらも自分自身を突き動かした。
心の中ではいつも「海光郎」さんの名前を呼んでいた。
つづく
エンディングテーマ曲「ワカメの国」詞曲歌絵:羽旨まぼる
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第7章 矢を刺された和布 ソドム
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私は、結果的に言うと恋路を突っ走っていたからこそ戦争に巻き込まれずにすんだ。
何もかも私は良い方に向かっていた。私だけ。 そのときは、私だけ違う方向へ向かっているようで少し違和感もあった。 でも、例え私が間違っていたとしても私はその間違った恋路を突っ走る気でいた。 暫くすると、人間はよい夢を見なくなった。それはつまりワカメの国の存在自体が消えているという事を指していた。 国はどんどんと消されて最後には消えてなくなった。 そのときにニギメの国の国土と一緒に存在が消えてしまった妖精も少なくない。 多くのニギメの妖精は妖精である筈なのに現実世界にばら撒かれてしまった。 妖精は現実世界では存在しにくい。 居住区がどんどんと減っていく中、私は最後まで残っていた。 王様の城も無くなって、私は最後の最後まで粘っていたが、ついには国土が全て消失した。 そして現実世界の海へ放り出されたのだった。 私は人間界で人間に成り済まして生きて行く事にした。
私は光郎さんの安否を知らなかった。 光郎さんに会いたかった。 会って話したかった。 光郎さんは兵隊として戦争に参加している。 海光郎さんは戦争が嫌いな筈(はず)だったのに!どうして。 [ 前の頁 ]
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カイさんは妖精の国が戦争に加担することを良いとは思っていなかった。それが普通だ。私もそう思った。
でも、あの時は一種の錯乱状態で、人間も妖精も訳が分からなくなっていて、死神や悪魔のやり放題だったのだ。 とにかく、そういう状態だったのだから仕方が無い。 周りからみたら恐らく私の方が変だったかもしれない。 私は以前あのキューピッドの矢に刺されてしまって、恋に落ちていた。 だから戦争という罠にひっかからなかったのだ。 お国のためにという観念に引っかからなかった。 他の妖精は人間界からの「お国のために」魔法によってほとんど皆大人しくなってしまった。 妖精が大人なんて、本来あるべき姿ではない。 それくらい日本の「お国のために」魔法が強かったのだ。夢の国の妖精もやられてしまう程に。 [ 前の頁 ]
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そうして、ついにニギメの国の戦争賛成宣言が行われた。
ニギメ国は人間界との行き来を封じた。 人は夢を見ないようになり、人々は戦争に夢中になった。 戦争に夢中にならされた。 ニギメ国では失業者が増えた。 人間界とのやりとりによって職業が成り立っていた民が多かったからだ。 私もその内の一枚だった。 私は人間をニギメ国内を案内するツアーガイドの仕事をしていたから、もろ失業してしまった。 妖精にとって仕事が無(な)いという事はかなり良くない。 ヨーロッパなんかの家付き妖精なんか仕事が無くなったら、ろくなことをしない。 仕事がある内が華なのだ。 ニギメの民も言ってみれば妖精である。 仕事を失えば、ろくな事をしないだろう |




