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<コメント>
この品評会番付表は文久2年、1862年の5月15日に天満相撲場西於金保泉水場で、主催『阿かし虎』により開催されたもので、二色刷り大判で一枚刷りのものです。金魚の源氏名が相撲番付表に列記してあるもので、我が国に現存する最古の品評会番付表でもあります。
番付表を見ますと、その姿が想像できる素晴らしい源氏名が、あちらこちらに見られますので、少々列記してみたく思います。
飛鹿の子、白玉尾紅、白玉獅子、奴獅子、奴六輪、獅子奴、六輪、鮮猩々、奴袴、奴鹿の子、緋袴、亀甲鹿の子、奴胴巻、本六輪、玉鹿の子、置手拭、星鹿の子、獅子黄金、獅子頭奴、立田川、獅子頭、源平、立浪、一文字、浪巻錦、鶺鴒、白鷹、通天、三段獅子…etc
私が最も注目しているのは『獅子』もしくは『獅子頭』という源氏名の大阪蘭鋳です。
確かに『獅子頭を立派に形成する個体も居た。』との有識者、実際にオリジナルを飼われていた方々からの談話などもありますから、いわゆる“瘤の無い蛙頭”ではなく、現在の蘭鋳に平付け丸尾を付けた様な大阪蘭鋳も、公認されていたのでしょう。
さらに『鮮猩々』や『白鷹』が示すとおり、模様魚として名高い大阪蘭鋳においても単一の赤や単一の白といった個体も、飛び抜けて体型が素晴らしい魚に関しては出品、陳列、品評をされていたのではないでしょうか。更紗模様を楽しむだけではなく、その愛らしくも迫力に満ちた体型を楽しむ…そういった風潮も少なからずあったのではないか、と推察します。
次に、やはり目立つのは“鹿の子”という表記の多いこと!!
大阪蘭鋳において、金魚問答で三好音次郎氏が24の更紗斑を列記しておられますが、その中で鹿の子模様を示すものは24の内、なんと9もあります。つまり、鱗の外側が白く、内側だけが赤い鹿の子を纏った大阪蘭鋳は、特別扱いであったように思いますし、三好氏をはじめ、その他多くの愛好家の方々は“鹿の子模様への拘りと思い入れ”が非常に強かったのではないかと思います。大阪商人や旦那衆などの富豪の方々の御好みであったのでしょうね!!
その他、大阪蘭鋳の品評会記録は以下の通りです。
『浪花錦魚大会見立鑑』
開催日:文久2年(1862年) 8月
開催場所:平野町、神明社内、井筒氏宅
催主:幸兵衛明し寅
発起人:舟越丁岩井
番付表形態:縦形大判の奉書二色刷りという豪華版で相撲番付表式に列記。
『錦魚見立鑑』
開催日:明治27年(1894年)9月9日
開催場所:大阪府立博物場
発起人:大鮫梅太郎(屋号:たどん屋)
番付表形態:横形大判の二色刷り
その他備考:大阪蘭鋳の他にオランダシシカシラ、更和和金、三色鯉等も合同で品評!!
『第五回錦魚見立鑑』
開催日:明治29年(1896年)9月22日
開催場所:大阪府立博物場
発起人及び催主:不明
番付表形態:横形大判で石版の三色刷り
その他備考:大阪蘭鋳と水草が描かれた巻物の図柄が描かれ、相撲番付表形式ではなく蘭鋳新仔の部を左右順番に源氏名表記。
『浪花錦盛会』
開催日:明治33年(1900年)9月23日
開催場所:大阪府立博物場
発起人及び催主:不明
番付表形態:らんちう当歳見立会番付が模様魚見競表(大阪蘭鋳)と無地魚容姿優劣評(蘭鋳)の2部構成での品評会で、左右に分けて、相撲番付評形式によって表記。別に親魚の部もあり。
『第四回全国錦魚大会』
開催日:大正8年(1919年)8月2日及び3日の2日間
開催場所:浜寺公会堂
催主:大阪錦盛会
後援:大阪毎日新聞社
番付表形態:大々相撲番付表形式
その他備考:大阪蘭鋳(模様魚)と蘭鋳(無地魚)の当歳及び親魚を分けて東西に品評。その他、オランダシシガシラの当歳及び親魚が列記され、別に参考及び珍魚として、孔雀、出目錦(出目金)、ドイツ三色鯉、ホ-キン、ドイツ鉄、シュ-マイ唐飾なども陳列された、非常に大々的な品評会。
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