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『正式名称及び表記』
朱文錦(読み:しゅぶんきん)
『歴史』
初代秋山吉五郎氏(1868年〜1929年)が記された内容(大正12年、1923年)によりますと、三色出目金と鮒尾形態のワキン、緋鮒を混合飼育及び自由交配をして、そこから得られた稚魚凡そ2万尾の内、10数尾が『伸長した一枚尾及び雑色性モザイク透明鱗性』を有しており、それらを選抜、淘汰した魚群に、明治33年(1900年)に、農商務省水産講習所々長でおられた松原新之助氏(1853年〜1916年)が『朱文錦(しゅぶんきん)』と命名されました。
『形質』
全体の線は完全にコメットと同型で、各鰭、特に尾鰭が伸長し甚だ優雅であります。
これは雄魚の方が雌魚に比べて、より伸長する傾向にあります。
『色彩』
関東と関西で若干の選別基準相違による差異は御座いますが、雑色性モザイク透明鱗で、基本的な色彩は鮮やかな空色を思わせる浅葱色(青)を土台にし、頭や背部、腹部に“やや控え目”で鮮やかな緋色(赤)が入り、各鰭を中心に水墨画の世界観を感じさせる濃い墨色(黒)が飛散した魚が上物とされます。そして大部分は透明鱗ですが、体の、特に体側部に“やや控え目”に煌びやかな銀色の普通鱗が胴の所々に入っていますと、大変優美で見応えのある、まるで江戸時代に贅を尽くして作られた豪華絢爛たる屏風のような様相で御座います。何れにしましても、どの色も鮮やかで明瞭でなければ上物とは言えません。後、茶斑(ちゃはん)が入る個体も見受けられますが、朱文錦本来の審美と照らし合わせますと、茶色という色彩が入ると、あまり美観に良いものではありません。個々の御好みではありますが、基本線からは外れます。
『選び方:体型』
まずは色よりも体型、特に尾鰭の長短に注意して下さい。一般的に最も多く出回る大きさは5cm〜10cm程度の愛らしい若魚が多いと思います。この大きさで、既に胴の長さと同じように尾が伸長した個体は、将来、ほぼ間違いなく下方へ垂れます。そうなってしまいますと、鑑賞価値という側面では甚だ宜しくありません。これを未然に防ぐには『やや短尾傾向にある魚』を選んで下さい。具体的には頭の先から尾の付け根までの距離を10と仮定しますと、長くても6、理想的には5程度が最も良いでしょう。それでも鮒尾よりはずっと長いものです。このような選び方でも100%垂れないわけではなく、70%程の成功率である事は予め覚えておいて下さい。より上下の尾開きが垂直であればあるほど、垂れない尾が出来上がる可能性は高くなります。勿論、最初から垂れている個体、垂れ気味は個体は論外です。
『選び方:色』
雑色性モザイク透明鱗という性質の金魚は、加齢や環境による変化も著しい為、個々の美的完成で一番美しい、好みだと感じる色彩を選ぶべきです。但し、雑色性モザイク透明鱗性を持つ金魚は、色の変化が激しく、特に墨色(黒)は徐々に“浮き上がって”参ります。ですから将来的に墨色ばかりの魚にしたくない場合、小さい頃から多く墨色が出ておらず、控え目どころかほぼ見られないという個体を選べば良いと思います。何れにせよ、まずは体型、特に尾の長短に注意すれば大きく外れたり、崩れたりという事は無いものです。
『まとめ』
朱文錦は実にありふれた金魚であり、日本中で生産されている為に価格も安価で、大抵は一年中入手可能です。体質も鮒の血筋を受け継いでいますし、体型も脊椎に歪みが無い為、甚だ強壮強健で長寿な品種です。和錦やコメットと同様に、とかく『入門種』もしくは『初心者用』として扱われ、真の美しさや奥深さを御存知の方は大変少ないのが現状です。そうなってしまうには複雑な理由が多々御座いますが、一番の原因は『完成された極めて美しい朱文錦を見掛ける機会が皆無に等しい』というものであろうと私は思っています。見本や御手本は大変重要であり、先が見えない(将来が分からない)小さな魚ばかりでは『よし!飼ってみよう!』という気構えも起こり難く、また愛育という最も大切な部分に尽力し辛くなると思うのです。私はその点を憂い、何方様が御覧になられても『これぞ朱文錦』と思って頂ける魚を、少しずつでも当ブログを通じて、皆様に御見せ出来るよう今後も頑張って参りたく思います。素晴らしい雑色性モザイク透明鱗金魚の代表は『朱文錦』であります。今一度、視点を変えて、この素晴らしい金魚を見直して頂ければ幸いです。
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『画像説明』
愛称:椿(つばき)
明け5歳 オス 金魚掬い出身
全長:31cm
<<コメント>>
この子、金魚掬いで私が持ち帰って大きくさせた子です(〃^∇^)o_彡☆あははははっ!
黒と赤という今流行の浅葱色の濃い個体群とは、また一風変わった面白い色柄の子です。連れ帰った時は10cmにも満たないサイズで“あ、死ぬかも!?”と思うほどガリガリに痩せ細って、泳ぎもままならない子でしたが、糸ミミズや赤虫、練り餌を中心に、なんとか立ち直らせて早5年が経過しました!!
非常に体躯も太く、幼い日の虚弱感は全くありません。極めて強靭で、ビュンビュン泳いでおります!!
画像6枚目〜8枚目は市販の45cmガラス水槽に入れて撮りました!!
こう見ると、なかなか大きいでしょ!?
どんな品種に於きましても『親魚にこそ真価あり!』で御座います。
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