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大蛇がらみでもう1つ。
恐怖政治を行った足利将軍義教公を弑殺した播州の国主赤松満祐についてのエピソードが『醍醐随筆』の載っています。
満祐が騎馬で隣国との和睦協議をしに国境に向かいました。
すると向いの山に10丈はありそうな大蛇がいました。
この大蛇は野飼いの牛を追いかけて丸呑みにしてしまいました。
牛を食べ終えた大蛇は山を下りはじめたのですが、すると次第次第に細く小さくなっていき、麓に至ったころには2尺ほどの小蛇になってしまいました。
天高く旋回していた鴟(トビ)がこれを見つけ、舞い降りて足でつかみ、近くの辻堂の屋根にとまって食べてしまいました。
さて、10丈といえば、ざっと30メートルです。
それがどんどん小さくなって、およそ60センチ程度になってしまったというのです。
そもそもそんな大きな蛇がいること自体、あり得ないので、実話ではなかろうと思います。
それはそれでいいのですが、面白いと思うのは、大蛇が山を下りるにしたがって小さくなるという発想です。
ちょっと類例が思い当たりませんね。
ヘビがタコになるとか、ウナギがヤマイモになるとか、そうした話は和漢に例が多いのですが、山の上下で大きさが変るというのは珍しい話だと思います。
伸縮自在というのは妖怪の能力としてありそうですが、この蛇の場合は自分の意思とかかわらず、山での位置によって身長が変ってしまうので、妖怪にしては役に立たない属性ですね。
実はこの話、大国の国主赤松満祐が小勢で敵国との境に行った時のエピソード。
これを目撃した満祐はこう思いました。
「今、十五、六騎にて敵に出合はんは、小蛇の鴟にあふと等しかりなん。
往くべからず」
そして居城に引き返したそうです。
つまり武将の時にあってとるべき行動を示した話なわけです。
この教訓を説くために作った創作であって、何か民間伝承にもとづく話とは別種とみるべきなのかも知れません。
そうそると、類話がほかに見られないのもうなずけるのですが…。
まあ、しばらく類例を探してみることにします。
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山の上下で大きさが変わる例というのは確かに珍しいですね。妖怪なら、ありそうですね。見上げ入道のような。
2010/7/15(木) 午後 8:39 [ カムイ ]
なんとも解釈しかねる大蛇です…。
変身とは違うし、類例はないして悩ましい事例です。
2010/7/15(木) 午後 10:28 [ 奈良漬 ]