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愛知県立大学国文学会の機関誌『説林』の最新号です。
天草版『平家物語』が特集されています。
なんとも渋い。
本書は大英図書館に所蔵されているものが唯一の現存本です。
文禄元年(1592年)に天草学林(肥後熊本)で刊行されました。
ポルトガルの宣教師が日本語を学習するために口語性の高い文章で記されているものです。
したがって日本語の歴史を知る上で極めて重要な文献の一つです。
そこで去年6月、国語学の専門家による本テクストの公開研究発表会が愛知県立大学で催されました。
それが今回、機関誌に掲載されたわけです。
目次…
特集:天草版平家物語――原拠本と日本語の歴史――
天草版『平家物語』の原拠本の研究――日本史と本文の検証――
天草版平家物語と捷解新語――謙譲語を中心に――
天草版平家物語と平家正節のt入声
天草版平家物語と日本語史
「うひうひし」と「よだけし」の語義について
本能寺蔵『落葉百韻』訳注(六)付、考察及び式目表
『歳旦牒』翻刻(二)
まず気になったのは、天草版『平家物語』はいかなる『平家物語』に拠ったかという原拠本の研究。
『平家物語』は中学・高校の古文の教科書にも載っていますけど、昔は印刷ではくなく、手書きでしたから、書き継がれるうちに本文がどんどん変化していくし、中には書き写すにあきたらず、勝手に書き足したり、余計なエピソードを加えたりする人もいて、『平家物語』といっても一言で片づけられないくらい広がりのあるものになっていったんですね。
そのたくさんある『平家物語』の写本の中で、天草版を作った人の手許にあったものは何かということを明らかにすることがとても重要な研究テーマなわけです。
論文は長文な上、煩雑ですが、要するに、前半は覚一本(学校の教科書に採用されるようなもっともポピュラーな伝本)に近く、それ以降は斯道文庫本に近いということのようです。
詳細は直接お読みください。
『捷解新語』は朝鮮語による日本語資料。
日本語会話の学習用に使われたもので、これまた古くから日本語史の資料として重んじられてきているものです。
『平家正節(まぶし)』は平曲の譜本です。
当時の発音を知る上で重要な資料です。
天草版は面白い内容なので、文庫本になってもいいと思うものの一つです。
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国文系の本(学術)
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