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昨日の記事で、日夏耿之介(ひなつ・こうのすけ)の書斎を取り上げました。
そしてその蔵書が前近代の伝統的な和漢の書の整理の仕方を踏襲しているようだということを述べました。
こういう並べ方をするのは、少年期〜青年期の日夏君が和装本の類をたくさん読んですでに大したライブラリーを形成しており、長じて英文学を志して洋書が増えていっても、それまでの整理法を変えずにいった結果なのかも知れません。
これは想像にすぎないわけですが、本の並べ方一つをとってみても、その人の歴史が垣間見られるようで、面白いものです。
さて、伝統的な和書・漢籍の整理の具体例は幸田文(こうだ・あや)の書斎にみえます。
日夏老師の写真同様『書評』昭和24年5月号に載っています。
3段の箪笥に本が積まれています。
手にしているのは帙(ちつ)入りの9冊セットの本ですね。
表紙は傷みがないようなんで改装されているようです。
そこには外題(げだい=タイトル)が見えません。
何かわかりませんが、漢籍でしょう。
箪笥の下段右下の本は洋装本のように立てて並べてますが、これはおそらく平積みにする幅がないための措置と思われます。
箪笥の上に父露伴の遺影が置かれています。
当グラビア写真のキャプションには次のようにあります。
「父のゐたとき、本は無味。
今は苦鹹辛甘。」
ここに見える書籍は露伴から受け継いだもののようですね。
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