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南方熊楠といえば、
日本の民俗学の発展に貢献した偉人
数多くの粘菌類を発見した生物学者
博覧強記の博物学者
数多くの著述を残した多作家
多国語を使える語学者
奇人変人
などなど評価はさまざまでしょう。
徳富蘇峰も「南方随筆と続南方随筆」という書評のなかで次のように述べています。
「君は博士には多く過る程の学識を持て居る。
如何なる学会上の名誉も、君には不適当ではあるまいと思はるゝ程の学者だ。」
さて、その著書の一つ『南方閑話(みなかた・かんわ)』は大正15年に出版された本です。
200ページ弱のエッセイ集で、その内容は妖怪や伝説、人柱、大岡裁判などの論考が収録されています。
僕の手もとにある『南方閑話』は旧蔵者の書入れがあります。
「大正十五年四月
外山秀松 」
誰だろうと調べてみたら、熊楠と同郷和歌山県の人でした。
1896年誕生。
軍隊生活を経て堺浦漁協の組合長などをしていました。
さらに南部町(みなべ・まち)や和歌山県の教育委員などもしていました。
著書に『支那事変における野砲兵第二十六聯隊聯隊段列戦史』全3巻(1967-1974)という大著があります。
私家版らしく、入手困難な本です。
外山秀松旧蔵の『南方閑話』は大正15年3月に発行されたものですので、新刊として地元で買ったんじゃないかと想像します。
熊楠との交流は確認できませんので、寄贈されたものではないと思います。
あまり有名な人ではありませんが、自分の持っている本がもともと誰の所蔵であったのかが分かるというのは、その人とのつながりが感じられていいものです。
著名人の旧蔵本とは一味違う魅力があります。
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