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スズメは人間に付かず離れず、人里で暮らしてますね。
かくいう奈良漬は実家にいたころ、よくご飯の残り粒を蒔いていました。
だいたい同じ時間に何羽かやってくるのですが、いつも見ていると、次第に1羽1羽鳴き声に違いがあって、また性格も違うようにみえました。
親子の雀のやりとりもほほえましいものです。
害鳥という一面もありますが、やはりそんな風に接しているとますます親しみを覚えてきます。
さて、スズメは古来さまざまな文芸に登場してきました。
すぐに想起されるのは舌切雀でしょうか。
『宇治拾遺物語』には似たような話で腰折れ雀が出てきます。
個人的には落語の「抜け雀」も好きです。
中世の和歌説話に歌人藤原実方が死後雀になったというのもあります(世に言う実方雀)。
そんな雀が鳥社会の王として君臨する物語があります。
『勧学院物語』といって、江戸前期に出版された短編物語です。
勧学院といえば、藤原氏の学問所で、そこにいる雀たちは教科書である『蒙求(もうぎゅう)』をさえずっていたといいます。
その諺――勧学院の雀は蒙求を囀る――にちなんだタイトルです。
ここに住む雀の地頭殿(じとう・どの)は朱雀天皇の御孫ということで、ヒバリに官位を受領したり、参内した鳥たちを饗応して歌会を開いたりします。
地頭殿は言います。
我はこれ人皇第六十代延喜の帝、第一の御子朱雀院と申すは
我らがためには大叔父にておはしますゆへに、
天下の百姓はみな我らが家人なり。
天下万民は雀の地頭殿の従者なのです。
それゆえにスズメは米を心のままに食べたり、人の家に巣をかけたりするわけです。
さらにはスズメガイによそえて貝も従えます。
雀貝、それがし同名たるゆへ、よろづの貝の類はみな我が百姓なり。
このように、『勧学院物語』においてはスズメが最上位の鳥として位置づけられ、世界が構成されています。
普通はワシやタカが一番だと思いますけど、小鳥を一番とするところにこの作品のユニークな世界観を見て取れます。
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2011年04月30日
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