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『平家物語』

たいへんご無沙汰しておりました。
この一月いろいろありましたが、省略。
とりあえず、今月2日に開催された『平家物語』についての公開研究発表会についてご報告しておきます。
というのも、ネット検索してもどこにも記録が残っておりませんので…。
(もっとも、年度末発行の科研費報告書には彙報として載せられますが、一般に読まれるものじゃありませんしね)
 
「文化現象としての源平盛衰記」 公開研究発表会
平成24年6月2日(土) 於・國學院大學
 
國學院大學図書館所蔵奈良絵本『平家物語』について
  國學院大學研究開発推進機構ポスドク研究員 山本岳史
 
兵庫県立歴史博物館蔵石山合戦屏風について
  國學院大學大学院博士課程 伊藤悦子
 
国立国会図書館所蔵『平家物語絵巻』について
  國學院大學兼任講師 伊藤慎吾
 
(講演)
京童部の笑い―『源平盛衰記』と『平家物語』―
  関西学院大学准教授 北村昌幸
 
 
國學院大學図書館に最近所蔵されることになった奈良絵本の『平家物語』は一枚だけ画像がウェブ上で見られます。
おそらく、今後全体が公開されるものと思われますが、まだこれだけです。
那須与一が的を射る場面ですね。
 
本書は津軽伯爵家の旧蔵本ですから、由緒のあるものです。
ちなみに津軽家といえば、このほかにも『伊勢物語絵巻」(住吉如慶筆/東京国立博物館蔵)、『西行物語絵巻』(現所蔵者未詳・『西行全集』所収)、『曾我物語』(大東急記念文庫蔵)、『中納言顕基事』(国立歴史民俗博物館蔵)、「紅白梅図屏風」(尾形光琳筆/MOA美術館蔵)などを持っていた名家です。
 
国立国会図書館所蔵の『平家物語絵巻』は画像公開されています。
近世中期の公家葛岡宣慶の手になるもので、絵もたぶん同人によるものかと想像されます。
この人は中々の能書家のようで、他にもいくつか自筆資料が残っています。
物語の本文はたぶん版本を写したものです。
 
ちなみに本ブログでも取り上げた狩野洞雲筆(の写し?)の文覚上人院参図も紹介しました。
狩野派絵師というよりも、狩野姓の絵師による平家物語絵巻の存否が確認されていない現在、本資料は中々貴重ではないかと思われます。
 
とりあえずブログ復帰第一弾はこれにて。
年度末はどこの大学や学会でも機関誌が目白押しです。
その中で最近落手した雑誌2冊をご紹介。
今回は『日本文学論究』です。
 
1.『日本文学論究』第71冊
 
《シンポジウム》異類・変化・怪奇との共生―我々だけではない此世―
・シンポジウムによせて…豊島秀範
・異類・変化・擬人化キャラクターの造形―お伽草子の時代から―…伊藤慎吾
・昔話における異類…花部英雄
・スペンサー・コレクション所蔵『百鬼夜行絵巻』について…辻英子
 
・人麻呂歌集七夕歌の使者
・嗅覚の「なつかし」―『源氏物語』空蝉の例を起点として―
・夜居僧都の密奏における「罪」
・『源氏物語』「鴛鴦のうきね」の歌について―かげの行方―
・山家の心中と折敷のふち―『山家心中集』巻末の構成について―
・『義経記』巻七と『源平盛衰記』―北陸記事における共通性について―
・童言葉と黄表紙―「焼いた牛蒡をおつつけろ」ほか―
・福田恆存「一匹と九十九匹」論―〈絶対肯定〉の宣言―
 
 
シンポジウムは去年の国文学会春季大会のもの。
質疑の時間が短すぎて、議論が深まらなかったのが残念でなりませんが、個人的には〈擬人化〉という趣向の文化史的意義が明確に見えてきたのが収穫でした。
 
妖怪と擬人化キャラクターを比較すると、まず妖怪は現実に存在すると想定され、擬人化キャラクターは架空のものとするのが前提となります。
そして、お伽草子の時代はその中間的存在として精霊が好んで絵画化されました。
それらは存在としては現実にあるものと信じられ、また想定され、しかし造形としては架空の所産でした。
その他、物語の設定、ストーリーの特色、図像面での特色などにも言及しております。
 
『義経記』の論は北陸の記事には白山信仰の影響が強く、それは白山の長吏の林氏が関係しているというもの。
 
「童言葉と黄表紙」は、『ぶん福ちゃがまに毛生太郎月(けがはえたらうづき)』『かみ様内にか蟹牛蒡挟多(かにごぼうはさんだ)』を例に、黄表紙創作に当時の童言葉が重要な役割を担っていることを指摘しています。
他は未読。
先月出した論文集の紹介です。
 
『室町戦国期の公家社会と文事』
 
序論
Ⅰ 室町戦国期の菅原家―人と文事
 一 室町戦国期の菅原家
 二 主要人物伝(東坊城秀長・東坊城長遠・五条為清・唐橋在豊・東坊城益長・高辻継長・五条為学・高辻長雅)
 三 十五世紀中葉の願文制作と儒家
 四 京都大学附属図書館所蔵『泰山府君都状』―翻刻と解題―
 五 戦国初期の儒者―高辻章長伝―
Ⅱ東坊城和長の文事
 一 東坊城和長の文筆活動(付・年譜)
 二 戦国初期の紀伝道と口伝・故実
 三 室町後期紀伝儒の祭文故実について
 四 室町後期における勧進帳の本文構成―明応五年醍醐寺勧進帳をめぐって―
Ⅲ 戦国期前後の言談・文事
 一 『看聞日記』における伝聞記事
 二 ものとしての天変―『看聞日記』の一語彙の解釈をめぐって―
 三 中世勧進帳をめぐる一、二の問題(付・中世勧進帳年表)
 四 三条西実隆の勧進帳制作の背景
 五 山科言継と連歌(付・龍門文庫所蔵『発句』翻刻)
 六 【翻刻】東京大学史料編纂所所蔵『山科言継歌集』
 
イメージ 1
 
室町戦国期の公家社会の文筆活動の実態とその背景を文章道の担い手菅原家を中心的に扱うことで明らかにしようとしています。
 
文学的営為のみならず、日々の政務や恒例行事に用いられる文章は単なる事務書類として理解されるべきものではありません。
そこには古来、詩文の形式や四六駢儷体に代表されるようなレトリックが応用されてきたのでした。
それらを作成する素養は同時に文芸活動の素養と共通の基盤の上に立っています。
この点について具体的な活動を見ていくことで公家の文筆活動の意義を明らかにしていくことが本刊行物の課題です。
 
公家の中でも紀伝道、すなわち文章道の中核を担ったのが菅原家でした。
古代律令制の確立以来、菅原家は代々文章博士を輩出してきました。
その後、家が複数に分岐し、家ごとに役割を分担しながら近世まで展開していきます。
朝廷の博士の家として、従来、陰陽道・明経道が解明されてきましたが、しかし一方で紀伝道は相応の評価がされて来ずに今日に至っています。
それは書籍のかたちで知識や思想の体系化を図ってこなかったこと、開放的な講釈活動を行ってこなかったことに主たる要因があるだろうと思います。
そこで本刊行物の内容では、その活動実態を、記録や文書等の収集・分析を通して把握しようとしました。
 
ほとんど店頭売りされない本ですorz
書店HPから購入できます。
またオンライン書店bk1でも入手できます。
学会の出店で見かけたりしたときにでも手にとってやってくださいませ。
 
 
なお、どうでもいいことですが、表紙デザインは前著につづいて著者自身が作りましたw
 
伊藤慎吾著
三弥井書店刊
平成24年2月10日発行
定価:8400円+税
ISBN:978-4-8382-3218-5
平成23年度日本学術振興会科学研究費補助金(研究成果促進費)交付図書
 
***古典的奈良漬***
いろいろ更新しました。
来月10日、愛媛大学で開催される研究会のご案内です。
ご関心のある方は是非御出で下さい。
以下、主催者からの案内状を転載します。
(レイアウトは奈良漬が勝手に変えましたw)
 
☆:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::☆
 
第1回 愛媛古典文学研究会開催のおしらせ
 
 このたび、愛媛古典文学研究会では、『浄瑠璃御前物語』をテーマに、
日本女子大学の福田安典氏、國學院大學非常勤講師の伊藤慎吾氏のお2人を迎え、
下記の要領で第1回目の研究会を開催いたします。
ご関心のおありの方は、よろしくご参加ください。
 

             
日時 : 平成24年3月10日(土)  14時より
場所  : 愛媛大学 法文学部 本館演習室8
     松山市文京町3
         ※会場までのアクセス
        http://www.ehime-u.ac.jp/access/johoku/index.html
 
1.「『浄瑠璃御前物語』の原風景」
日本女子大学教授 福田安典
2.「浄瑠璃御前と侍女冷泉―キャラクターの特質をめぐって―」 
國學院大學非常勤講師 伊藤慎吾
 
       
連絡先:神楽岡幼子(愛媛大学法文学部)kagura★ehime-u.ac.jp
    小助川元太(愛媛大学教育学部)kosukegawa.ganta.me★ehime-u.ac.jp
 ★→@
☆:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::☆
 
「浄瑠璃御前と侍女冷泉」の要旨については、後日、本ブログに掲げます。
 
 
***異類の会・例会案内***
柿帷子と渋団扇〜貧乏神のイメージ(第26回例会)
http://irui.zoku-sei.com/
すっかりご無沙汰しておりました。
この間、ご訪問くださった方には申し訳ない次第です。
暫く立て込んでおりまして、更新せずに来てしまいました。
一昨日ようやく大学への出講が終わり、残すは遅れて出されたレポートを読むこと、成績をつけること、次年度のシラバスを作成することくらいです(こういうところは、非常勤のいいところ)。
一番の問題だった論文集の準備は昨日校正原稿を出版社に預けたので、残すは若干の校正(ページの変らぬ程度の)、索引作り、表紙デザインです。
表紙はまたまた自分で作りたいと言ってしまいましたので、2、3日のうちにフォトショで作ります。
前著『室町戦国期の文芸とその展開』はお伽草子がメインだったので、絵本や絵巻に描かれた物語のキャラクターを使えたのですが、今回は室町貴族の学芸がメインなので文字ばかりなんですね。
しかも前著と姉妹編なので、地の色とかフォントとか制約されますし。
どうしたものかと思案中。
 
ちなみ、同人活動としては先日のサンシャインクリエイションでハルヒのパロ(小説・コピー本)を出しました。
偽書作りって面白いなというのが感想w
レベルテ『呪のデュマ倶楽部』という小説に出てくる偽書作りの職人兄弟くらいの高みに登りたいwww
それから来月上旬のコミティアにも出ます。
今度はライトノベルに描かれる妖怪についての評論本(コピー本)を出す予定です。
ラノベの妖怪については調べてて面白いので、継続しようかと思っています。
 
以上、近況でした。
 
さて、その近刊予定の拙著ですが、専門的な論文集なので市井の読書子の関心に応えられるものではなく、従って値段が高いし流通もほとんどしないし…といったもの。
それでも日本学術振興会から補助金を頂きましたので、何とか出せることになった次第です。
下に目次をお示ししますので、どんな内容かということくらいは知っていただければ幸いです。
 
『室町戦国期の公家社会と文事』(三弥井書店、平成24年2月予定)
序論
Ⅰ 室町戦国期の菅原家―人と文事
 一 室町戦国期の菅原家
 二 主要人物伝
 三 十五世紀中葉の願文制作と儒家
 四 京都大学附属図書館所蔵『泰山府君都状』―翻刻と解題―
 五 戦国初期の儒者―高辻章長伝―
Ⅱ東坊城和長の文事
 一 東坊城和長の文筆活動
 二 戦国初期の紀伝道と口伝・故実
 三 室町後期紀伝儒の祭文故実について
 四 室町後期における勧進帳の本文構成―明応五年醍醐寺勧進帳をめぐって―
Ⅲ 戦国期前後の言談・文事
 一 『看聞日記』における伝聞記事
 二 ものとしての天変―『看聞日記』の一語彙の解釈をめぐって―
 三 中世勧進帳をめぐる一、二の問題
 四 三条西実隆の勧進帳制作の背景
 五 山科言継と連歌
 六 【翻刻】東京大学史料編纂所所蔵『山科言継歌集』

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