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以前、ライトノベルに見られる男の娘について、ごく触り程度のことを記事にしました。
その続きです。
男の娘=女装男子というわけではありません。
女装していなくても、内面的に男の娘の魅力を醸し出しているキャラクターは存在します。
一人は『バカとテストと召喚獣』(ファミ通文庫)の木下秀吉であり、もう一人は『這いよれ!ニャル子さん』(GA文庫)のハス太です。
秀吉はなりゆき上女装する場合もありますが、マンガやアニメ版とちがって、原作ラノベはその点禁欲的です。
そもそも、男子の姿のままで女らしさを出しています。
女子キャラクター目線で主人公明久との関係を嫉妬され、また明久の基準では性別は「男」でも「女」でもなく「秀吉」だということです。
「……最近、明久がワシのことを女として見ておるような気がするんじゃが」
「気のせいだ。秀吉は秀吉だろう」 「うん。雄二の言うとおりだよ。秀吉は性別が『秀吉』で良いと思う。男とか女とかじゃないさ」(2巻) この作品はとりたてて「男の娘」を売りにする作品ではありませんが、秀吉は内外ともに男の娘として描写されている重要なキャラクターと評することができるでしょう。
一方、ハス太もまたあざといヒロインニャル子やニャル子のことばかり妄想するニートのクー子以上に可愛いキャラクターとして描かれています。 ハス太はハスターのことです。
すなわちクトゥルフ神話における名状しがたきものであり、神なるものです。
これとは対照的に、『這いよれ!ニャル子さん』においては愛らしい美少年として描かれています。
クー子が已むを得ぬ事態のために演じていた真尋の婚約者役から解放されて、ニャル子に抱きついた様子を見て、次のような行動をとります。
くいくい。 袖を引っ張られる感触を覚えて視線を向けると、ハスターがなぜか頬を染めていた。 「ん、何だハス太」 「……ぼ、ぼくだって……ほんとは、ずっと……がまん……してたんだもん……」 ぎゅ、と腕に抱き付かれる。無理やり引き剥がそうとしたが、思い留まった。今回の芝居において、地味に一 番活躍してくれたのは、この少年だからだ。それに、一日とはいえ寂しかったのだろう。もしかしたら本当に 兄を嫁に取られた気分になってくれたのかもしれない。(6巻) 設定的にはショタといってもいいかも知れませんね。 ハス太は女装こそしていないませんが、容姿やしぐさ、言動が上に挙げたように、萌えるキャラクターとして描かれています。
女装はしているが言動や正確がボーイッシュなキャラクターをショタ系ということがありますが、ハス太はその反対といえましょう。
どちらにしても、男の娘とショタとの境界は決め難いものと思われます。
おそらく男の娘概念の深化の中で、ショタ要素を取り込んでいったものと思われます。
なお、『花嫁は男子校の番犬』(もえぎ文庫)では、タイトルに示されている通り、相手を指して花嫁としています。 しかしこれは腐女子の所謂「俺の嫁」ということであって、「男の娘」とは違うものと見てよいでしょう。
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ライトノベル
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最近、《男の娘(こ)》という言葉をよく目にします。
単純にいうと、女装男子のことですが、外見的に女装していなくても、精神的に女の子のような萌える存在感をもっている男の子も意味しているといっていいでしょう。
ただしリアルの女装男子に対して使うことは――実際使っている場面に出くわしたことがないので――、まだ少数派なんだろうと思います。
リアルに使うには個人的にもまだまだ抵抗があります。
単に女装してればいいというくらい拡大して使用されるようになれば話は別ですが、そうそう萌えるリアル女装男子などいないでしょうし(失礼!)。
だから、やはり当分は二次元オンリーの用語であり、そのまま流行らなくなったら消えてしまうのかも知れません。
でも今は非常に面白い表現であり、対象にもある種のオタ的なこだわりがあって、魅力的に思っています。
昨今の二次元キャラとしてはマンガ、アニメ、ゲームにおいて散見されるところです。
古くは僕が耽読した『ストップ!ひばりくん』の主人公大空ひばりがその典型だと思います。
アニメ化された著名な作品では『まりあ・ほりっく』の主人公、『みなみけ』のマコちゃんとかが一般のアニメ好きのよく知るところでしょう。
ゲームはいわゆるエロゲーの領域で10年くらい前からある程度の需要があるようです。
当時はとくに「男の娘」に相当する表現はなかったと思いますけど、どうなんでしょう。
ちなみに近年はタイトルにはっきり銘打つものも出てきていますし、前面に出して売りにするソフトも見られますwww
ライトノベルの領域でもまた事情は同じようです。
とはいえ、主人公が男の娘で、男の娘であるがゆえにドラマが発生するというストーリー展開をもつ作品はここ1、2年に目立ってきたのではないでしょうか。
『がく×ぶる』『蒼海ガールズ!』『未来放浪ガルディーン』『カーリー』なんかが代表的なものでしょうかね。
それで最近では『MiX! オトコの娘はじめました』『お嬢様のメイドくん』『カワイイお兄ちゃんなんて大キライ!』などがあり、また女性向けでは『男子キャバクラ』『ゆるゆる男子の花婿選び』『アイドルになんかなりたくない!』などがあります。
そうそう、これから読もうと思っているコバルト文庫の『少年舞妓・千代菊がゆく!』シリーズは2002年開始の長編ですけど、これもまた男の娘作品ですね。
このほか、サブキャラとしては『えむえむっ!』の葉山辰吉、『オオカミさんシリーズ』の田貫まこと、『影執事マルクシリーズ』のクリストファ・マルドゥーク、『緋弾のアリア』の遠山金一など、けっこう見出され、男の娘がライトノベルにおいては一定のキャラクターとして定着したものとみてよいと考えます。
最近の気になっていることの一端をちょっと書きとどめておきます。
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数日、ネットに接続せずにヒッキー的生活をしておりました。
毎年のことですが、2月は読書量が激減します。
毎月記事にしているので、とりあえず2月分を挙げておきます。
三田誠『レンタルマギカ 魔法使いの妹、再び』 (角川スニーカー文庫)
井上堅二『バカとテストと召喚獣』9 (ファミ通文庫)
神野オキナ『ぷりんせす・そーど!5 戦うサツキと大団円』 (GA文庫)
『レンタルマギカ』は、前半、いつきの義妹勇花が訪問し、アディといつきとの互いの理解を深めていきます。
『バカとテストと召喚獣』はCクラスとの闘い。
大人数のキャラが出そろって、安定した絡みが楽しめます。
『ぷりんせす・そーど!』はタイトル通り、大団円です。
前巻が鬱オチっぽかったので正直どうだかなあと思ってましたけど、まずはよかったです。
復帰第一弾はとりあえず簡単な記事でとどめます。
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今月は少なかったです。
他に読む本が多かったり、雑務に追われたり、言い訳はいろいろあるのですが・・・。
1月もあと1日残っていますが、他に読む本(宮沢光顕『狸の話』)があるので、『レンタルマギカ』や『バカテス』の新刊は来月分にまわることでしょう。
ということで、下の6冊を読みました。
・志村一矢『竜と勇者と可愛げのない私』 (電撃文庫)
・林トモアキ『ミスマルカ興国物語』VIII (角川スニーカー文庫)
・赤松中学『緋弾のアリア』VIII 螺旋の天空樹(MF文庫J)
・志村一矢『『竜と勇者と可愛げのない私』 2(電撃文庫)
・沖田雅『オオカミさんと亮士くんとたくさんの仲間たち 』(電撃文庫)
・瑞智士記『星刻の竜騎士Ⅲ (MF文庫J)
『竜と勇者(あいつ)と可愛げのない私』はヘタレな王子と平民出ながらも優れた魔術士の少女の冒険活劇。
ラブコメ度高く、非常に面白い作品です。
主人公の少女の一人称語りによる小説で、これは電撃文庫としては珍しいですね。
『ミスマルカ』は国を併呑された王子の才気と倒錯した精神に惹かれます。
毎巻面白いですけど、今回は第1巻を読んだときのような冴えわたったスリルがありました。
『オオカミさん』シリーズはここについに完結しました。
ナレーションの語りと童話にちなんだキャラやネタが特色のラブコメで、素晴らしい内容でした。
感慨深いものがあります。
ラノベのほかに読んだもののうちで、面白かったのは『指扇領主 山内豊前守一唯』という地方史文献でした。
指扇は今の埼玉県さいたま市西区内にあります。
僕の実家があるところで、地元の地名が字単位でいろいろ出てくるし、歩いたことのある場所もあって愉快でした。
地元の歴史を、しかも明治頃の出来事や人物の思い出、家の噂話など、その土地を長年歩いたり、土地の人々と交流したりしている人でないと書けないことです。
郷土史家の素晴らしさを実感できる本でした。
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昨年12月に読んだライトノベルを、読んだ順に並べておきます。
・三浦勇雄『聖剣の刀鍛冶』10(MF文庫J)
・松智洋『パパのいうことを聞きなさい!』 5 (集英社スーパーダッシュ文庫)
・折口良乃『九罰の悪魔召喚術』3(電撃文庫)
・平坂読『僕は友達が少ない』 5 (MF文庫J)
・一の倉裕一『シンクロニシティ・ゼロ』2 (HJ文庫)
・大楽絢太『テツワンレイダー』4(富士見ファンタジア文庫)
・有沢まみず『ラッキーチャンス!』8(電撃文庫)
・逢空万太『這いよれ!ニャル子さん』6 (GA文庫)
・本宮ことは『不敗の海賊と不死の帝王 ダイヤモンド・スカイ』 (ルルル文庫)
・高山ちあき『橘屋本店閻魔帳 ふたつのキスと恋敵!』(コバルト文庫)
『聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス)』は2010年度の奈良漬的最高峰の作品です。
人に勧めるなら、まずこの作品です。
第10巻は来るところまで来たといっていいでしょう。
クライマックスが泣けました。
『聖剣の刀鍛冶』『レンタルマギカ』『生徒会の一存』『ムシウタ』『ミスマルカ興国物語』などなど、2010年度は面白い作品がたくさんありました。
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