穴あき日記〜奈良漬のブログ

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古典的奈良漬

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平忠盛の慧眼

平清盛の父忠盛のエピソードに、次のようなものがあります。
 
ある五月雨の降る暗い晩、白河院は寵愛する思い人祇園女御の屋敷に行幸になりました。
その時、忠盛は下っ端の侍として供奉しておりました。
御所に向かう途次、一行の人々はこんな怪異現象を目撃しました。
 
女御の住む屋敷のそばにお堂があるのですが、そこに光り物が現れました。
それは人間のような形をしています。
頭は銀の針を磨きたてたようにきらめいており、左右の手とおぼしきものを差し上げ、片手には槌のようなものを持ち、もう片方の手には光る物を持っていました。
みな一同に、
「これは鬼だろう。手に持っているのは打ち出の小槌に違いない」
と言い合いました。
そこで院はどうしたかというと、忠盛を召して
「鬼とおぼしき物を射止めよ」
と命じられたのでした。
 
忠盛は覚悟を決めて変化の物を待ちかまえました。
ただその一方で、あれはきっと狐か狸のしわざだろう。
それならば射殺すよりは生捕りにしたほうがよかろうと、冷静に考えたのでした。
 
忠盛が待ち構えていると、さっと光り、また暫くしてさっと光るということが2、3度続きました。
機をみて忠盛は走り寄って相手に抱きつきました。
すると、相手は
「こはいかに」
と驚いた様子。
よくよく見ると、60歳余りの老法師でした。
ここのお堂に仕え、灯明を灯していたのでした。
手にしているのは、片手に油を入れた手瓶、もう片方に火を入れた土器でした。
頭にかぶっているのは麦わらで、これを笠のように結んでかぶっていました。
それが手にする火に反射して銀の針の束のようにきらめいてみえたのでした。
 
この一件が決着し、皆が思ったのは、もし怪しい物を忠盛が射殺していたら取り返しのつかないことになったに違いないということでした。
一同安堵の上、忠盛の思慮深い行動に感心したのでした。
 
かくして、つねづね忠盛に一目置いていた白河院は、いずれ機会があれば祇園女御を下賜しようとお思いだったのですが、この出来事を賞賛して女御を与えたのでした。
 
単に忠義を貫くのではなく、その中でも冷静な判断で雨降る闇夜という悪条件の中でも敵か否かを見極める忠盛の思慮は、優れたものだったに違いありません。

平清盛死去直後のこと

平清盛は水が沸騰するほどの高熱で死にました。
その死に様はすぐさま巷で噂が立ったようです。
 
葬送の晩、様々な不思議なことが起こったといいます。
一説では荼毘に付されている最中から起こったとも。
どんなことが起きたかというと、まず清盛邸が焼失しました。
放火ともっぱらの噂です。
加えてその晩、街で20〜30人の声で歌が聞こえました。
  うれしや水
  鳴るは滝の水
  日は照るともたえず
そんな歌とともに、どっと笑う声がしたそうです。
 
これは天狗の仕業ではないかと沙汰されたので、血気盛んな若侍たちが声をする方へ尋ねていきました。
洛東六波羅の南のほうから聞こえるので、彼らはその方向、すなわち法住寺殿の方面へ進んで行きました。
するとあろうことか、その御所で20〜30人の人々がどんちゃん騒ぎをしているではありませんか。
ここは後白河院の御所で、寝殿造りの大邸宅です。
庭には大きな池があり、中島が築かれていて、その上に釣殿が構えられておりました(邸からは廊下で繋がっていました)。
ということで、今回の怪異の一件は、この御所預かりの役人が仲間を集めて酒宴を開いていたのが真相でした。
最初は清盛の死を悼みながら、しめやかに飲んでいたのですが、次第に酔っ払って調子が上がって、しまいには舞えや踊れやの騒ぎに至ったのです。
 
彼らはみな捕縛されてしまいますが、結局、酒の上の不埒ということで、釈放されました。
人騒がせなことです。
ちなみに『平家物語』の一本は、天狗が憑いたからこんなに騒いだのだという人もいたそうです。
 
「幽霊の正体見たり枯れ薄」という出来事は昔からあったようですね。

現代人の古典文学

お久しぶりです。
このところ、原稿〆切に追われ、すっかりご無沙汰しておりました。
実はまだ追われている最中なのですが、適当に息抜きしないとやってけませんからねwww
今日は休日でしたので、拙いホームページを大幅に更新しました。
ご覧いただければ幸いです。
 
さて、古典文学がめっきり流行らなくなった現代の日本社会において、『平家物語』の内容はどの程度認知されているんでしょうか。
中高の教育でも古文はついでのついで。
国際社会にはばたいていく希望あふれる若人には役の立たない知識よりも実用的な外国語のほうがいいわけです。
そうした社会に適当に関わりながら、負け組古典を楽しんでいる奈良漬が女子大生にちょっと訊ねてみたことがあります。
■『平家物語』で印象に残っているエピソードはなんですか?
(回答数30)
 
那須与一が扇を射るところ 17
平敦盛と熊谷直実 6
平家の人々が入水するところ 4
祇園精舎の文章(序) 2
壇の浦の合戦 2
富士川の合戦 1
木曾義仲 1
今井四郎の最期 1
平家都落ち 1
平重衡生捕 1
平知盛最期 1
橋弁慶 1
義経の鵯越(逆落とし) 1
源義経の最期 1
 
圧倒的に那須与一のエピソードが有名ですね。
やはり古文事始めの中学生のときの題材は印象深いものなのかも知れません。
僕も「よっぴいてひょうど放つ」のくだりは、ぱっと出てきます。
敦盛と熊谷直実の悲話もまた古くからよく知られているところ。
与一と敦盛の二つの説話は源平合戦図(屏風絵や扇面画など)の格好の題材で、ほとんどすべての作品に取り込まれています。
ちなみに個人的には義仲最期の話が好きです。
義仲、いいですね。
 
ということで、復帰に軽い記事を書きましたw
ではでは。

北条時子の出奔

源頼朝が伊豆国に流刑に処されたとき、所の豪族北条時政の娘時子と契りを結んだことはよく知られているところでしょう。
時政は当時娘を当国の目代(国司の代理のような役)山木兼隆に嫁がせるつもりで婚約も成り立っていました。
そこで時政は時子をやります。
しかし時子は出奔して伊豆箱根の密蔵院に走ります。
 
時子の行動力には目をみはりますが、女人の逃亡というのは史実として押さえられるものはどれだけあるんでしょうかね。
そもそも時子が頼朝を慕って出奔したエピソードは『曾我物語』などに載っているもので、史料に記されているものではありません。
平清盛が兵庫の津を埋め立てて港(=神戸港)にする、つまり福原遷都に先行する築島のエピソードでも、丹波に連れ去られた女性が乳母とともに逃げだして、山を越えて兵庫の津に出たというのがあります。
これはもともと『平家物語』に見られるものですが、室町時代に内容を膨らませて『築島』という作品になりました。
山歩きもしたことのない二人の女性が山々を越えるというのも多分に物語的です。
『七草姫』という物語では京都の公家の姫君が男を慕って越後の直江津まで行きます。
 
女性の逃亡というのは実際に多かったのかどうか気になるところです。
また意に添わぬ結婚が理由で出奔する女性というのは意外に多かったのでしょうかね。
その後の親子関係や、相手の家との関係とか、その後の修復の在り方などどうなのでしょう。
 
ちなみに上記の兼隆はのちにクーデターを起こした頼朝勢に討たれてしまいました。
結果的に逃げて良かったのですね。
 
素朴な疑問をちょっとメモしておきます。

厩猿/寄親

今、寛永年間、熱田神宮に奉納された万句連歌を読んでいるのですが、これがえらい分量(なにせ一万句以上!)なものですから、この一週間かかりっきりです。
この中に、以前本ブログでも記事にしたものに関わる句が詠まれていました。
というわけで、ちょっと紹介します。
 
【厩猿】
先月、厩(うまや)の猿について記事にしました。
室町時代の和漢聯句の中に猿→櫪馬の付け合いがあるというものでした。
今度は時代が100年ほど下り、寛永14年(1637)の句です。
 
  よき猿に 取りかへきする 花衣
   馬やのうちも はらふ初春
 
「見た目の良い猿の衣装を華やいだものに着せかえてやるぞ。」
「厩の中も初春の花をはらうようなおもむきだな。」
という感じですかね。
花衣に初春を付けたものですが、一方で、猿に厩を付けたものともいえます。
 
【寄り親】
「寄り親」とは「依り親」とも書き、擬似的な親子関係を結んだ場合、その親を指す語です。
前回の記事では武家社会では寄り親が主君に背いたら、その子は多く謀反を起こした親の側に付くものだという記事を紹介しました。
これは不穏ですが、句の中ではこんなふうに出てきます。
 
  道心は いづくも家と さだまらず
   寄り親殿の 知行がへなり
 
「仏道信心をするものはどこを家とも定めないものだ。」
「寄り親殿の所領もどこともわからず替えられてしまうものだ。」
 
寄り子からすれば親と仕える殿さまが知行地を改められるのは心許ないものでしょう。
寄り親もまた同じで、将軍様のご命令とあらば、どこなりとも知行替えのお達しがあれば素直に従わなくてはなりません。
なにか言上して改易にされたら寄り子をはじめ家臣たちが路頭に迷うことになってしまいますから。
とくに寛永に至る徳川3代の間には100以上のお取りつぶしがありましたからこの句はちょっと生々しい気がしますね。
 
もう一句。
 
   三日月の影 頼む侍
  寄り親の 機嫌をとるや 秋心
 
「暗い三日月の晩、月明かりを頼みにする侍がいるよ。」
「寄り親の機嫌を取るのか、秋の夜のように寂しい心だ。」
 
武家の人間関係をチクリと表しているみたいですね。
 
 
***異類の会***

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