穴あき日記〜奈良漬のブログ

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和本・古本

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案内記・道中記のこと

『巡礼記研究』という学術雑誌があります。
もっぱら古代・中世の論考や資料が掲載される上、僕のような素人にはなかなか取りつきにくい渋い内容のものです。
去年9月に出た第6集に載っている「近世中期の地方札所巡礼に関する案内記数点」という論考を読みました。
論考といっても資料紹介度の高いものなので、素人でも楽しく読めるものでした。

近世中期にもなると、地方出版も普及し、各地の特色ある書物も散見されるようになります。
近世には伊勢や西国観音霊場や四国八十八ヶ所など、今日にも続けられている巡礼コースを庶民が行く機会が増えました。
それに相俟って巡礼記とか道中記とか案内記とか、要するにどういったコースでお参りすればいいのかを示したガイドブックが次々と出版されました。
旅に用意すべきものなどもあります。
サイズもほとんど懐に入るような小さなものなので、ほんとに実用書だなあと思うわけです。
素人目には、だいたいどれも似たようなものものなのですが、古代中世の研究者の中にもコレクターみたいな人がいます。
そう思うと、前の記事に書いた古筆切みたいに、今後値が上がっていく可能性の高いジャンルですね。
かくいう僕も、一番最初に買った和本が西国三十三か所の観音霊場の道中記でした。
そういうわけで、研究が進むのはけっこうですが、あまり高騰してもらいたくないジャンルでもあります。

ちなみに、近代以降、いや今日にあっても巡礼がらみの本は多いですね。
僕も去年『坂東三十三ヵ所を歩く』という本を片手に千葉のあたりを少し歩きました。
この本のように、もっぱらヴィジュアル面を強調した写真メインのガイドブックが出されているようですが、そのためにポケットに入るような小さいものはあまり見かけないような気がします。
今日は小さくて懐に入るものよりも、薄くてバッグにいれても邪魔にならないようなものが現代人に向いているのでしょう。

イメージ 1

明治時代になって、西洋風の出版技術が取り入れられても、すべてそれに切り替わったわけではありません。
近世以来の整版も相変わらず作られました。
中には活版印刷でありながら、表紙や扉だけは昔ながらのやり方を踏襲するものもあります。
『皇朝言行録』もまたその一種といえます。

この本は土屋弘という人が編集したものです。
さいわい、国会図書館のHPには、著作権の保護期間が終了したものということで、画像をみることができます。

その扉題(見返し部分)の版木を先日入手しましたので、紹介します。
白紙に版木を当てて、鉛筆でこすり、スキャナーで反転させたものです。

これによると、和泉国の土屋弘が明治10年(1877)8月に出したものであることが知られます。

この本はよく読まれた本のようで、明治10年の初版のあと、増補版が明治15年、大正6年に出ました。

イメージ 1

銀座松屋、新宿京王と年末恒例の古本市が催されています。
で、昨日は松屋、今日は京王と出かけてきました。

戦前の童話作家巌谷小波の俳句色紙とか近世の絵入版本とかを買い、大いに散在してしまいました。
明日から3日間、コミケで大散財の予定なので、もうどうにでもなれという感じです(×_×)

さて、昨日、版木を三枚入手したのですが、いずれも明治期のもののようです。
その中の一枚が年賀状用のものと思われます。
時節柄、紹介しておきます。
ホントはちゃんと摺ってお見せしたいのですが、横着して、白紙をあてて鉛筆でこすり、スキャナーで取り込んで反転させたものです。
見にくくてすみません。

こんなことが書かれてます。

 今年も品質向上に
  よいあんをねり
     豆に働き
 御互に大福々に
    なりませう

何か作っているところのものみたいですね。
宇治茶の製造元の版木がいくつか置いてあったから、そこのものかも知れません。

輿と反故

イメージ 1

将門伝説もそうですが、千葉・茨城は一茶をはじめ俳人の句碑などところどころに残っています。
去年はそういったところを歩いて回っていました。

茨城の古いお寺に入れてもらうと、輿が飾ってありました。
ずいぶんボロボロなもので、それがかえって単なる飾り物ではなく、本当に使われていたものなんだという現実感がありました。
輿なんて滅多に見れるものではないから、まじまじと見ていたら、底の部分に字の書かれた紙がむき出しになっているのに気付きました。
ほかにも何か所か紙が張り付けられていました。
補修のためかなにかわかりませんが裏打ちに用いたものみたいです。

で、よくよくみたら、古文書でもなんでもなく、版本の仏書でした。
お寺だけに、何かの仏書を使ったもののようです。

襖の裏から古文書が出てくるということは、ときどき聞きますが、こういうのは初めてでした。
考えてみたら、これもまたあり得ることか…。

和本と柿渋

イメージ 1

和本の汚れや傷みから、その本がどのように伝世してきたのかということは大切な問題だということを昨日の記事で誠心堂主人の言葉を引用しながら述べてみました。
それに加えて、旧蔵者に思いを馳せることもまた、愛書家の楽しみです。

何度も何度も読みかえされてきた本はページをめくる部分が汚れているし、更に楮紙の場合、ひどくなると綿っぽくなってめくるのがむつかしくなってしまいます。

ここに挙げた画像は滝沢馬琴著・歌川国安画『漢楚賽擬選軍談(かんそ・まがい・みたて・ぐんだん)』初編です。
寛政12年(1829)に刊行されました。
御覧の通り、めくる部分にドス黒い赤色の何か!が塗られています。
最初、これを見たとき、「うおっ、血がベッタリだ(-o-;)」とそう思いました。
しかし、よくよく見ると、そうではなく、柿の汁でした。

柿渋は古来紙を丈夫にするために表紙に刷毛などを使って塗られてきました。
また虫損を防ぐ効果もあるようです。
ただ本文料紙に直接塗るのはそうあるものではないでしょう。
こうも「見てくれ」が悪くなると、いくら保存にいいといっても美的にどうかとセンスを疑うわけです。
まあ、それでもこの本の旧蔵者はあえて塗ったわけですね。
たぶん、何度も読み返す本だからそうしたのではないかと思います。
そう考えると、実用本位でまたこの作品の愛読者だったことが思われて、それはそれで愛着がわきますw

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