穴あき日記〜奈良漬のブログ

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和本・古本

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都内の数ある大学図書館の中で、女子大として豊富な古典籍を誇るところに実践女子大学があります。
なんといっても国学者であり国文学者であった黒川家三代―春村・真頼(まより)・真道(まみち)―のコレクションである黒川文庫があることが大きいでしょう。
*黒川文庫はこのほか、国学院大学やノートルダム清心女子大学などに分割所蔵されています。

とりわけ近世文芸資料は多く、優品揃いといえます。
で、今週末に近世文学会がここで開催されます。
それにあわせたものか、本学文芸資料研究所において
 『実践女子大学所蔵優品録二 古活字版 好色本 赤本 歌舞伎 雑の部』
という解題本が刊行されました。
ほぼすべての作品について画像を掲載し、見ているだけで面白い内容となっています。
巻頭カラーを飾ったのは
・朝鮮古活字版『棠陰比事』…宋代の裁判小説
・『思案閣女今川』…鳥居清経画の黒本青本
・「松尽千歳双六(まつづくし・ちとせ・すごろく」

『思案閣女今川』に至っては、大東急記念文庫所蔵本の表紙も並べて載せ、その異同が比較できるように配慮してあります。

個人的な興味ですけど、擬人化作品としては赤本(子ども絵本)の『隠里福神嫁入』『舌切雀』の挿絵が載っているのがありがたい。
頭部異類型のキャラとして描かれています。

奇妙な番付

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幕末明治期はいろいろな番付が出ました。
基本的に相撲の番付にならったものです。
妖怪番付など珍しいものもありますが、なかなか見る機会がありません。

昨日、ひさびさに神田神保町を歩きました。
いろいろ散財したのですが、これまた奇妙な番付だなあと思って、おもわず買ってしまったものです。
題して「あほうとかしこの番附」。

「あほうの方」と「かしこの方」に分かれ、大関・関脇・小結・前頭と並び、行司も載っています。

前頭の筆頭に挙がっているのはこんな人。
あほうの方…我が事を我が手に誉めて利口がる人
かしこの方…嘘で得心(とくしん)さす女形(おやま)
※あほうの方はちょっと耳が痛いかもw
 かしこの方の女形は、芝居のおんながたではなく、女郎のことですね。
 客を籠絡する弁舌の巧みさが評価されてるわけです。

ついで小結。
あほうの方…嬶(かか)を厭うて朝起きする人
かしこの方…嬶にまかれたやうに見せて、世帯に物いれぬ人
※あほうのほうはちょっと文意がわかりかねます。
 妻より早起きする人のことかな???
 これは給金を全部管理されてるようにみせて、自分の懐にいれることでしょうか。

ついで関脇。
あほうの方…御法度の勝負事する者
かしこの方…役者の錦絵を見て、芝居見た顔する人
※勝負事は博打ですね。
 役者の錦絵を見て、芝居を見たような顔をしているのは賢いということです。
 今でいうと、ウィキペディアで内容チェックして周りと話を合せている人ってところですかね。
 あまり興味のないものに出費はしたくないけど世間の付き合いを気にするという人は、そういうことをしなくてはいけないのでしょう。

そして大関。
あほうの方…大水に川わたりするうろたへ者
かしこの方…美しい嬶(かか)を店において、商ひさす人
※前者は生き死ににかかわるあわて者の愚を挙げてるのでしょう。
 後者は確かに上手いですね。
 支出ゼロで収益が得られるのだから、これは使わない手はないでしょう。


こうした番付はいろいろ作られたようです。
近代になると、単独で売られることは少なくなったように思われます。
雑誌が誕生し、そこに吸収されていったのかなと想像しますが、ちょっとそのヘンのことは分かりかねます。

心極流の柔術

江戸時代の剣術に心極流というのがあります。
どういう系統のものか皆目分からないのですが、以前お世話になった印旛沼あたりの旧家の主人に尋ねられ、ちょっと調べておりました。
http://blogs.yahoo.co.jp/warszawa11045/12574428.html

剣術の心極流は長谷川宗喜という剣士を祖とするものです。
どうも佐々木小次郎の巌流などと同系らしいです。

ところで柔術にも同じく心極流という流派がありました。
(今でもあるのかな?)
都内の或る大学図書館に心極流の伝書が所蔵されているので、昨日、見に行きました。
これは柔術書でした。
巻物仕立の本を写した冊子本です。
読んでみると、前半が柔術の心得、具体的な技の数々、後半が免許状の書式について書かれたものでした。

この中に、始祖を明記したくだりがあります。

 心極と称するは、真極夢仁斎の祖述を以ての故なり。(原漢文)

つまり、この流派は真極夢仁斎という人が立てたものでした。
調べてみると、俗名を宮川秀政といって、仙台藩のほうで伝えられたもののようです。

というわけで、剣術の心極流とは別物と判明。
徒労に終わってしまいました。
とはいえ、内容に面白い記事が随所にありました。
一例挙げると、夜、野宿したときの心得というのがあります。

 旅ナドニテ夏ハ枕ニ置ク。
 蚊帳切リ落トサレテモ
 脇差トモニナゲ上ゲテ出ル。
 冬ハ夜着ノ袖ノ下ニ置ク。

野宿するときの刀の置きどころを説いた条ですね。
夜討を受けた時の対処法といえます。
時代小説を書く時の参考になるかもとか思ったりしましたwww
しかし、これ、柔術なのでしょうか?
いまいち、剣術と柔術の境界線がわからないのですが…。

義経の従者常陸坊海尊が江戸時代まで長らえていたことは、事実かどうかはともかく、広く信じられていたもののようです。
その海尊については先日記事にしました。
http://blogs.yahoo.co.jp/warszawa11045/12213428.html

その海尊とともに衣川の合戦で壮絶な戦いをして生き残った人物に、清悦(せいえつ)という武士がいました。
その清悦もまた長命で江戸時代まで存命しました。

伊達政宗の七男宗高に仕える小野太左衛門が清悦翁から聞いた昔物語を聞書したのが『清悦物語』といいます。
東北を中心に書き継がれ20本ほど伝本が確認されるものです。
奥浄瑠璃として当地方で語られ、また歴史物語として読まれたようです。

僕の手もとにも仙台の本屋から得た『清悦物語』の一伝本があります。
表紙には『平泉高舘合戦清悦物語』とあり、巻頭には『平泉清悦物語』と書かれています。
本書については『昔話伝説研究』第20号に翻刻2本と解題があり、また以前、共立女子大学の院生の方が諸本について口頭発表したことがありました。
それらを参考にすると、伝本は19本。
それに僕の本を加えて20本、現存が確認されることになります。

大きく2系統に分けれらますが、印象としては南部家旧蔵本に近いようです。
まあ、詳細は追って調べることにして、ここでは巻末部分の一段にはこんなことが書かれています。


 清悦がおっしゃるには、常陸坊海尊は仙北に存命だという。
 その常陸坊も寛永7年(1630)、仙北で死去したという。
 常陸坊は義経自筆の印判を小さな箱に入れ、タケノコの皮で包んで昼夜大切に首にかけていた。
 死後、それを開いてみて、はたしてそれが常陸坊だったのだと人々は知ったのである。
 清悦の死去したのは寛永7年。
 常陸坊も同年同月8日という。
 小野太左衛門の咄である。

 寛永9年 小野太左衛門殿より聞書致す者、これを写す。


海尊はその名を隠しておよそ400年間過ごしてきたようです。
しかしときどき正体がばれて巷に知られることがありました。
没後、遺体のまわりを整理したとき、ついに正体が明かされてしまったわけです。

ちなみに清悦の語る弁慶像は後世のイメージとは随分違います。


  只今弁慶を絵に書く事は、色黒、山伏の様に書く事は以てのほかの偽りなり。
  色しろく、よき人体なり(中略)と清悦の御物語りなり。


弁慶は色黒の山伏として描かれますが、実際はそうではなく、色白の人士であったと、同輩の清悦がいっていたそうです。
また険悪な関係になってしまった頼朝は、義経の首を前にして涙を流したともいいます。

近世の東北の人々が読み、また聞いた義経の物語でした。

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貝原益軒について、先日ちょっと記事にしました。
http://blogs.yahoo.co.jp/warszawa11045/12071392.html

益軒の代表作としては、そこにも挙げましたように『養生訓』です。
今日では岩波文庫などで読むことができるものです。

ところで先月引越をして、いまだに荷物の整理を進めています。
そうすると、意外なものが出てくるものです。
戦時中に出た『養生訓』の中に画像に挙げた50銭紙幣が入っていました。

実は古本屋でページをめくっていたら、はさんであることに気付いたのです。
そのまま購入して、帰宅後、紙幣は別に保存しておきました。
その後、すっかり忘れていたのですが、荷物の整理をしている間にふと眼前に現れた次第です。

調べてみたら、戦時中のものではなく、昭和23〜28年の間に発行されていたものらしいです。
つまり今、僕の手もとにある『養生訓』の旧蔵者は、戦時中に書店で手に入れ、戦後、昭和23〜28年の間にこの50銭札を挿み、そのまま失念してしまいました。
その後、この本を読むこともなく他界し、遺族が古本屋に売りました。
古本屋は中を確認することなく値段を付けて店頭に置き、たまたま僕の目に入って、僕の所蔵に帰したということかなと想像しましたw


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