穴あき日記〜奈良漬のブログ

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国文系の本(学術)

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編集者の「後記」に次のように記されています。
 
「近年、日本文学研究への世間の関心は以前ほど高くなく、雑誌投稿のチャンスも少なくなりつつある。とは言いながら、作品ときちんと向き合う院生の真摯な態度、堅実に積み上げた考察はひとつの原稿として残しておきたいものだ。」
 
本誌は立命館大学で出された学内誌です。
大学院生の論考を中心にまとめたもので、その内容は下記の目次の通り、多岐にわたります。
 
☆:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::☆
 
竹芝のあたり――更級日記から杜陀日記へ――
『夜の寝覚』の表現――「昔恋しき」老関白――
永禄五年一乗谷曲水宴詩歌――本文の形態について――
『釈教三十六人歌仙絵』日蔵の「寂寞の」歌について――行尊歌との関係を中心に――
交野の御狩――御鷹飼・鳥柴を中心として――
翻刻・立命館大学図書館西園寺文庫蔵『源氏物語』行間注記(桐壺巻)
 
☆:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::☆
 
竹芝といえば『更級日記』に記される武蔵国の伝説ですね。
ちょうど今、ブロ友のこおり砂糖さんが竹芝伝説をもとに小説を連載していらっしゃいます。
 
西園寺文庫蔵『源氏物語』は江戸前期の書写になるものです。
本文の随所に書入れが見られ、本誌ではそれを「行間注記」として翻刻しています。
一箇所、真字本(まなぼん)『伊勢物語』が引用されている点に興味を覚えました。
 
「かこともきこえつべくなん」という本文に対して次のようにあります(部分引用)。
 
伊勢物語ノ真字ノ本ニ 神言忠令(カゴト ウルハシミ)
此哥ノカゴトハチカイ也
年ヲヘテノチカイヲ云
ウルハシミハ真ニセヨ也
ウルハシウノ心モ有
友善(ウルハシミ)
カゴトハウラミノ心有
誰うらむる心也
誓かねてちかひ置也
又少事露のかことの心
 
真字本『伊勢物語』はあまり受容実態がよく分からないものですから、ささやかながら、これもまた参考資料になります。
愛知県立大学国文学会の機関誌『説林』の最新号です。
天草版『平家物語』が特集されています。
なんとも渋い。
 
本書は大英図書館に所蔵されているものが唯一の現存本です。
文禄元年(1592年)に天草学林(肥後熊本)で刊行されました。
ポルトガルの宣教師が日本語を学習するために口語性の高い文章で記されているものです。
したがって日本語の歴史を知る上で極めて重要な文献の一つです。
そこで去年6月、国語学の専門家による本テクストの公開研究発表会が愛知県立大学で催されました。
それが今回、機関誌に掲載されたわけです。
 
目次…
 
特集:天草版平家物語――原拠本と日本語の歴史――
天草版『平家物語』の原拠本の研究――日本史と本文の検証――
天草版平家物語と捷解新語――謙譲語を中心に――
天草版平家物語と平家正節のt入声
天草版平家物語と日本語史
 
「うひうひし」と「よだけし」の語義について
本能寺蔵『落葉百韻』訳注(六)付、考察及び式目表
『歳旦牒』翻刻(二)
 
まず気になったのは、天草版『平家物語』はいかなる『平家物語』に拠ったかという原拠本の研究。
『平家物語』は中学・高校の古文の教科書にも載っていますけど、昔は印刷ではくなく、手書きでしたから、書き継がれるうちに本文がどんどん変化していくし、中には書き写すにあきたらず、勝手に書き足したり、余計なエピソードを加えたりする人もいて、『平家物語』といっても一言で片づけられないくらい広がりのあるものになっていったんですね。
そのたくさんある『平家物語』の写本の中で、天草版を作った人の手許にあったものは何かということを明らかにすることがとても重要な研究テーマなわけです。
論文は長文な上、煩雑ですが、要するに、前半は覚一本(学校の教科書に採用されるようなもっともポピュラーな伝本)に近く、それ以降は斯道文庫本に近いということのようです。
詳細は直接お読みください。
『捷解新語』は朝鮮語による日本語資料。
日本語会話の学習用に使われたもので、これまた古くから日本語史の資料として重んじられてきているものです。
『平家正節(まぶし)』は平曲の譜本です。
当時の発音を知る上で重要な資料です。
 
 
天草版は面白い内容なので、文庫本になってもいいと思うものの一つです。
前回に続き、新刊学術誌のご紹介。
今度はかなりマニアックなので、ほとんど流通していないのが残念ですが、この手の機関誌としてはカラーの写真ページが充実しています。
 
まず目次―――
 
・國學院大學図書館所蔵『羅生門』の解題と翻刻
〈研究論文〉
・國學院の「国学」―「非常時」に於ける河野省三・折口信夫・武田祐吉の国学―
・國學院における三浦周行の法制史講義
・平家物語と絵画資料研究―國學院大學所蔵資料を中心に―
〈資料紹介〉
・國學院大學図書館所蔵『徒然草』版本類解題
〈資料翻刻〉
・國學院大學図書館蔵『清輔本金葉和歌集』の解題と翻刻
・國學院大學図書館所蔵 奈良絵本『田村の草子』解題と翻刻
・庄内藩佐藤氏旧蔵天保改革期前後「聞見録」
  ―概要紹介と巻一(三方領知替一件関係)翻刻―
 
このうち、『羅生門』絵巻の挿絵全16図は巻頭カラーで掲載されています。
ほかに本文の一部、『酒呑童子絵貼交屏風』『田村の草子』も一部カラー掲載。
 
『羅生門』『田村の草子』はお伽草子の一種で、前者は絵巻仕立て、後者は奈良絵本仕立てになっています。
『羅生門』はよく知られている内容で、渡辺綱が鬼の腕を斬るエピソードを物語草子化したもの。
『田村の草子』もやはり鬼退治の話です。
「平家物語と絵画資料研究」は國學院大學図書館に所蔵される『平家』関連の絵画資料の概要を述べており、便利です。
 
『徒然草』の版本解題は奈良漬執筆。
版本9種と注釈書8種について解説しています。
本学にはまだほかに取り上げなくてはいけない典籍がありますが、調査が行き届かず、今回はこれまで。
次号(来春)に続編を載せるつもりです。
画像資料をまったく挙げなかったのは怠慢でした。
今度は刊記など有効なものを載せたいと思います。
 
なお、個人的には『徒然草参考』に興味がありますので、本ブログでも折を見てご紹介ようと思います。
これは『徒然草寿命院抄』とはテクスト以前で繋がっている面白い注釈書です。
あまりに面白くて自分でも買ってしまったので、元を取らなくてはならんでしょうなw
 
またまた雑誌紹介をしようとしたら、違う方向に話題が進んでしまいました。
『汲古』第60号は「築島裕先生追悼号」ということなので、これは捨てがないと思ったわけです。
 
僕は先生とはまったくもって無関係な環境で生きてきましたので、専門的なところや人柄等についてはわかりません。
ただ、訓点語の研究の第一人者で古代・中世以来の日本伝来の仏典や漢籍に付された訓点資料を数多く紹介された方です。
ですから国語学専攻でなくとも、その紹介された貴重な資料の数々に接する機会がたびたびありました。
中でも、同じく訓点語研究の大家小林芳規氏らとともに刊行した石山寺資料叢書は何度となく手にしたものです。
 
ところで築島氏や小林氏の開拓した資料群に〈角筆(かくひつ)〉と称されるものがあります。
われわれならば書入れをするときに、鉛筆とかペンとかを使います。
前近代は墨なり朱なり色こそ違いますが、筆を使って書入をします。
しかしもう1つ方法があって、それは先をとがらせた木や金属の棒で書くことです。
これは紙面を汚さないし、また他に有用性があったことでしょう。
写真や影印版ではほとんど見過ごしてしまうものなので、原本を手にして、光のあたる角度に注意してみないといけません。
こういう資料があるんだという驚きは、学生時代に国語学の講義の中で教わりました。
で、書誌学資料のサンプルにでもと思ってその後何点か買い求めたことがあります。
(写真はまた今度載せます)
 
さて、ことのついでに、原本を手にしなければ分からない書誌情報として他にどんなのがあるかというと、それはまあいろいろあるものです。
(昨日も都内の大学図書館に奈良絵本の『平家物語』の書誌調査に出向いたのですが、そこで写真では絶対分からない制作時期を示唆する痕跡を見つけました。)
 
たとえばその1つに白界というものがあります。
これは要するに罫線のことですが、しかし墨で引いたものではなく、ヘラ押しして引いたものです。
イメージ 1
上の資料では四周と行間とに線が引かれています(『十八道念誦頌次第』奈良漬所蔵)。
これは文章を均等に書くために利用するわけですが、もう1つ昔は穴をあけて見当を付ける方法も採られました。
イメージ 2
各行の頭に黒い点がみえますが、これは針で開けた穴です(『歩立聞書(かちだち・ききがき)』奈良漬所蔵)。
こうすることで、一定間隔で書写することができるわけです。
 
まあともかくも、国語学の研究というのは、古典資料を原典から洗いなおすことから出発することがおおいので、畑違いの人間にしても得られるものはいろいろあるものなんですね。
雑誌『近世初期文芸』はその名の通り江戸初期の文芸に関する専門誌です。
主として仮名草子や俳諧を取り上げております。
この分野に関心のある人には看過できない内容の雑誌といえます。
 
新刊がつい先日出ました。
あまり世間に流布するものではありませんので、宣伝をかねてこちらで主要目次をご紹介。
 
 
・想本寺高政の自筆独吟『釈教之誹諧』註釈考―わが文芸的半生をふり返りつゝ―
・『嶋原記』挿絵考―挿絵校訂の意図―
・『恨の介』と『竹斎』(その二―承前②)―
・宮本武蔵『五輪書』再論(その二)
・秋田県立図書館蔵『慶長見聞集』翻刻―巻一(一)
・川北奉行斎藤筑後守広盛の事績―付 田村寛三先生追悼―
・如儡子(斎藤親盛)の伝記に関する諸問題(2)―「如儡子」は「にょらいし」か「じょらいし」か―
・仮名草子関係新刊書・目次紹介
 1『浅井了意全集 仮名草子編 2』
 2『浅井了意全集 仮名草子編 3』
 3『仮名草子集成 第47巻』
 
 
***異類の会***
持明院基春と鷹書―鷹の家の成立をめぐって―(例会報告)
http://irui.zoku-sei.com/Entry/49/

***メディアコンテンツ研究会***
『男の娘・女体化作品ガイド』―新刊表紙
http:// mediaco ntents. blog.fc 2.com/b log-ent ry-34.h tml

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