穴あき日記〜奈良漬のブログ

『熊楠と猫』発売中!/ツイッターID:@NarazakeMiwa

国文系の本(学術)

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全7ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

[ 前のページ | 次のページ ]

宇治平等院の学術雑誌

宇治の平等院は平安時代の歴史や文学に欠かせない舞台。
高校の日本史の教科書にも写真が載っていました。
僕は教科書を処分するとき、それを切りぬいてずっと机に貼り付けていました。

そこの宝物館が2001年に建て替えられ、さらに平等院ミュージアム鳳翔館と改称されました。
なにせ国宝級・重文級のものが多々あるので、対象自体やその保存に関する科学的調査研究の最先端を行っていると言っていいでしょう。

さて、この鳳翔館が刊行している機関誌『鳳翔学叢』の新刊第5輯が出ました。
冒頭20ページが『魚山目録』という声明(しょうみょう)資料がカラー写真で掲載されています。
文安2年(1445)の古写本で、極めて貴重。

このほか、下記の論文、資料翻刻が載ってます。

 * * *

・『宇治関白高野山御参詣記』(京都府立総合資料館本)の紹介と諸本について
・京都大学附属図書館平松文庫蔵「定家朝臣記」翻刻・解題
・平等院鳳凰堂天井の伏花鏡
・文化庁蔵の雲中供養菩薩像
  ―京都即成院観音菩薩跪坐像を中心に―
・平等院鳳凰堂 建築装飾調査及復原
・平等院鳳凰堂天蓋蛇骨子の漆芸技法
・平等院雲中供養菩薩蔵模刻と鳳凰堂内壁懸架作業について
・石質含浸処理について
  ―院内元禄12年茶祖上林竹庵政重碑―
・重要文化財 浄土院養林庵書院耐震改修について

 * * *

このように、歴史史料や建築史、保存科学の論考が充実した雑誌です。

国文学科という名称を使う大学は、今日、どれだけあるのでしょう。

文学の需要の減退というのが見られるのか分かりませんが、すくなくとも日本の古典文学はますます肩身が狭くなったいるのは事実でしょう。
不人気なのはたしか。
学生はほとんど近現代文学を専攻。
古典作品を読む学生も『源氏物語』が素晴らしい、面白いとはいうが、それ以外に山ほどある面白い作品を読んだ上でそう評価しているのか、それしか読んでないからそう言っているのか、常々疑問に思っています。
記紀神話から黙阿弥・魯文まで多種多様な文学が展開しているのに、右にならえで『源氏物語』がいいって、あまりに読書量が貧困じゃないかと思わざるを得ないんですね。

高校時代は『源氏』『徒然草』『百人一首』くらいは通読する人はいるでしょうが、それは結局大学受験対策を兼ねているようで、道楽で古典を楽しむ姿勢とは違うように思います。
古文の授業で隠れて『宇治拾遺物語』や江戸小咄集からY談を見つけ出したり、『万葉集』の意味不明な歌を無駄に暗誦して楽しんだり、そういうことはしないのだろうか…。

今日は日本史さえ選択制になっているとか。
国語よりも英語、日本史よりも現代の国際社会の理解に比重を置く風潮であれば致し方ないかと思っています。

大学もそうした流れを汲んでか、〈国文学〉を〈日本文学〉に改め、〈国語〉を〈日本語〉に改め、さらに〈日本文学〉を改め〈日本文化〉とか〈日本語・日本文学〉にするところも。

今や国文学科というのは希少種になりつつあります。
まあ「わが国の文学」とするよりも他人行儀に「日本という国の文学」と捉えたほうが、相対化できて、学問的にはいいのかも知れませんけどね。

ああ、書いてたら、なんだか暗い気分になってきてしまったorz

ということで閑話休題。
国文学科のある大学の一つに実践女子大学があります。
ここには古代から近代にかけて優れた研究者が教鞭をとり、また研究者も出ています。
機関誌としては大学の紀要のほかに『実践国文学』、また付属の文芸資料研究所から『年報』などが出ています。
先月両誌が出ました。
まず『実践国文学』第77号の論考、資料翻刻は次の通り。

・開元寺版大蔵経の〈修〉の世界についての一、二の問題
  ―墨丁追刻と題記入れ木―
・宮沢賢治と黄瀛
  ―詩的邂逅の意義―
・【翻刻】『三升増鱗祖』について(一)
・尾崎紅葉『金色夜叉』を中心とした文語体作品の文体について
  ―文末表現を手がかりに―

ついで『(実践女子大学文芸資料研究所)年報』第29号掲載論考、資料は以下の通り。

「源氏物語へのアプローチ」講演記録
・講演会「源氏物語と万葉集」
・シンポジウム「源氏物語の古筆切」
  古筆切の発生と源氏物語
  時代を映す仮名のかたち
  源氏物語には五十四帖以外の巻があった
  古筆嫌い
・雅楽講演「源氏物語の雅楽」解説

・文芸資料研究所蔵絵入版本『栄花物語』翻刻・影印
・常盤松文庫蔵 奈良絵本栄花物語 三冊
・翻刻『論語義疏』(大槻本)
  ―学而篇・為政篇―

『芸文稿』第3号

『芸文稿』という雑誌を今日頂きました。
年に一度出版し、今年は第3号です。
本格的な文学論文から評論、資料紹介まで種々の文章が寄せられています。
今回は次のような内容となっています。
 
・森鷗外と百物語
 ―鷗外の参加理由・百物語の招待客―
・『大外智仁 教訓一夕話』の一典拠
・江戸時代雑感
 ―その③「水戸黄門―閨門の争い」―
・『源氏物語』鑑賞(その三)
・『紫式部日記』鑑賞(その一)
・鈴木重嶺(翠園)関係資料(7)
・昭和女子大学図書館所蔵「翠園文庫」について
 ―鈴木重嶺(翠園)旧蔵書―
・陶玄亭散人日録 抄〔その二〕
・野間道場あれこれ(その一)
・ウェブ日記抄・2
 ―平成13年(2001)―
 
以上です。
専門性の極めて高いものとしては、昭和女子大学図書館に寄贈された鈴木重嶺関係資料の紹介があります。
幕末明治の歌人で豊富な資料が残されています。
とくに短冊など自筆資料や貴重な古写真が多く掲載されているので有用でしょう。
 
(参考)

『三田国文』第50号

慶応義塾大学の国文学の雑誌『三田国文』第50号は、その区切りとして創刊号から本号までの総目次が付されています。
昭和58年創刊なので、30年近く前から続いているんですね。
創刊号には西行の和歌、『うつほ物語』、『拾遺風躰和歌集』、三条西実隆、『宗安小歌集』から下北半島の能舞の三番叟や韓国の芸能など幅広い内容です。
斯道文庫に代表されるような慶応らしい国文学や折口信夫の学統を継承する芸能研究が鮮明に表れている印象を受けます。
 
最新の50号は次のような内容です。
・高浜虚子編『新歳時記』の三版種
・戦時下日本浪漫派言説の横顔
 ―中河與一の〈永遠思想〉、変奏される〈リアリズム〉
・陽明文庫蔵「道書類」の紹介(六)『〔二十三問答〕』翻刻・略解題
・バイエルン州立図書館蔵『源氏小かがみ』(巻四)解題・翻刻
・『鶏鼠物語・下』翻刻
・「三田国文」総目次(創刊号〜第五十号)

この中では『鶏鼠物語』が個人的にとくに面白いものですかね。
この作品はお伽草子の異類合戦物の一種です。
鶏を大将とする鳥類と鼠を大将とする畜類が合戦をします。
これを蝙蝠が仲裁役となって和睦するという物語です。
蝙蝠は鳥でも獣でもあり、どちらでもありません。
両者を兼ね備えた存在ですから仲裁には適しているんでしょう。
年度末になると、いろいろ学術誌をいただく機会が増えます。
それらは市場に流通するものではなく、たいてい入手しがたいものです。
『國學院大學 校史・学術資産研究』という雑誌もそうした1冊で、学校関係者などに送られたり、また執筆者が配ったりするものでしょう。
たまたま僕も執筆者の方からいただきました。
 
内容は研究論文、資料の紹介と翻刻です。
目次を挙げましょう。
 
・國學院大學図書館所蔵『舟のゐとく』の解題と翻刻
・近代国学における「神道」と「道徳」に関する覚書
 ――皇典講究所・國學院における法制史学の変遷――
・國學院大學図書館蔵『伊勢物語(武田本)』の本文
・國學院大學図書館所蔵『二十一代集』について
 附 契沖書入本『新古今和歌集』校異
・國學院大學図書館所蔵『鎌倉大草紙』について(下)
・「寛文八年戊申武家官禄帳」について
 ―寛文・延宝期における武家官位と領知高――
 
この雑誌に先んじて、『図書館紀要』というのが出ていましたが、もう廃刊してしまったのでしょうか。
その雑誌では国学院大学図書館に所蔵される貴重な典籍の数々が紹介されており、面白いものでした。
それがなくなり、役割がこの雑誌に移行したようです。
 
なお、本誌巻頭の『舟のゐとく』は江戸前期に成立したお伽草子で、個人的にはこれに一番興味があります。
絵巻としていくつか伝本が知られていますが、国学院本は新出の絵巻のようです。
実見していませんが、口絵のカラー写真を見るに、17世紀後半の作のような印象を受けます。
 

全7ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

[ 前のページ | 次のページ ]


.
奈良漬
奈良漬
男性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
検索 検索
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
友だち(2)
  • トーヤ
  • 太陽求めポチが行く
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事