穴あき日記〜奈良漬のブログ

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近代文化人

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『熊楠WORKS』No.37

和歌山県田辺市の南方熊楠顕彰会が発行している機関誌です。
去年暮に初めて訪れた時は入手できませんでしたが(どこに置いてあったのだろう…)、執筆者の一人からいただきました。
熊楠研究の最新情報が詰まっています。
主要内容は下記のごとし。
 
・自筆資料に見る南方熊楠8
 神島産「キノクニスゲ」という名称
・南方熊楠と英国の女性科学者
・リスター父娘宛て南方熊楠書簡の最新状況―ロンドン調査報告
・“キン”を科学的に理解しよう
・南方熊楠「日光山記行」を歩く2
 日光山内到着から奥日光、日光下山まで
・南方熊楠が見た『遠野物語』
・資料紹介
 2010年度東京古典会 雑賀貞次郎宛書簡
・南方熊楠と牧野富太郎…すれちがう調査
・書簡の杜―南方熊楠を巡る人脈―4 松崎直枝
・「熊楠」生物覚え書13 本州最南端のブナ林
・南方熊楠の伝記を正す3
 
これだけみても、熊楠の幅の広さがよく分かります。
この中でとくに2010年東京古典会に出た雑賀貞次郎宛書簡については僕もすこ〜し絡んでいるので、ちょっと思い入れがあるものです。
これから丁寧に読んでいきますw
 
 
これ、定期購読できるんですかね?
今度問い合わせてみよう…

努力家の書き物

成功した文筆家はさておいて、物書きはおおむね苦労人が多いと思います(笑)
僕のような論文書きなど、書けば書くほど赤字になります。
それは金を費やしても明らかにしたいことがあるからです。
まあ、大学に就職したいから業績稼ぎにがんばるという人もいます。
そういう人はたいてい専任職に就いたら研究意欲を失います。
会議が忙しいとか、大学教育に専念するとか、いろいろ都合のいいことをいって、研究をおろそかにします。
 
同人作家の場合はどうでしょう。
基本、好きだから書くという人が多いでしょう。
もちろん、アニメイターとか漫画家とか、将来の夢に目指して活動をする人も多いはず。
中にはお金のためと割り切ってる人もいるでしょう。
マンガ『ドージンワーク』はそうした人たちの人間模様が描かれていて面白いです。
実は僕も専門とは別に書きたいことがあって、今度のサンシャインクリエイションに初参加します。
こっちで身を立てるわけでもないし、まず赤字になるから金のためでもないですwww
要するに好きでやるんです。
 
それはそうと、山浦松太郎『伝説物語 三条左衛門』(昭和6年刊)という本のあとがきは、本書が出版されるまでの苦労が事細かに述べられています。
 
・自分は印刷工で、月2回しか休みがない。
・工場の昼食時間の30分のうち、13分ばかりを使い、毎日2行3行、たゆまず書いた。
・書き上げた原稿は非常に汚いので、清書で月2回の休日を潰した。
・出版費を工面するために故郷の家を売った。
・自分は短命の家系だから、時間を惜しんで娯楽に興じなかった。
 
そこまでして出した本だそうです。
『三条左衛門』という作品それ自体もさることながら、このあとがきに胸を打たれました。
著者はいいます。
 
「志さへあれば、目に見えぬ神の力で、何時かは恵まれた目が来る様であります。
唯人は一時感情に駆られて向上心を持つ丈では駄目であります。
其の心を永く何処までも持続して行く事が肝心であります。
意志の強さが必要となるのであります。」
 
良い事を言います。
が、中々真似が出来ません。

石黒忠篤のこと

戦前の農政家に石黒忠篤という人がいます。
この人は新渡戸稲造や柳田國男とも交流があった人で、のちに農林大臣にもなりました。
父は著名な軍医で日本赤十字社の社長忠悳、妻は法学者穂積陳重の娘です。
昭和30年に没し、その2年後には『石黒忠篤先生追悼集』が出ました。
また昭和44年には日本農業研究所編『石黒忠篤伝』(岩波書店)も出ています。
 
今日、鈴木棠三『俗語』(昭和36年、東京堂)を読んでいたら、忠篤とその子息孝次郎についてこんなエピソードが載っていました。
 
 ***********
終戦後、先生の息子さんが骨董屋を始められることになった。何しろ、乃木大将の葉書、手紙だけでも大きな箱にいっぱいあるといわれる家で、先代が骨董好きだったから、よそから仕入れなくても売る物には困らないはずである。
 その骨董屋の屋号を、三日月商会とつけれらた。半分ヤミ、いや、ヤミの方が多いという意味だったようだ。物価統制の時代でも、骨董にはヤミ値はなかったのに、進んでこういう名をつけられた先生は、やはり謙厳な人だったと思わずにはいられない。
 ***********
 
先生とは忠篤のこと。
息子さんとは孝次郎。
ウィキペディアによると、昭和22年に株式会社三日月なる会社を建てたようです。
ネットでちょっと調べた限りではもうこの店はたたんだようで、ヒットしませんでした。
上掲鈴木の文章を見ると、この社名は社長の孝次郎ではなく、父忠篤が名付けたもののようですね。
忠篤が骨董趣味をもち、乃木希典の書簡などずいぶん持っていたことが知られます。
今どうしているんでしょう…。
市場に流出してしまったのなら残念ですが、時世がら仕方なかったのかも知れません。
 
石黒家の墓は東京の谷中霊園にあります。
昨夏、猛暑の中、行ってきました。
イメージ 1
逆光で読みづらいのですが
「石黒氏之墓」
「昭和二年三月
     石黒忠悳立之」(側面)
とあります。
画像は前面。

南方熊楠の字

近々、神田神保町で年に一度の東京古典会の大入札会が催されます。
そこに南方熊楠(みなかた・くまぐす)の書簡が出ます。
誰、もしくはどこの機関が落札するのでしょう。
どこでもいいですから、死蔵せずに公開していただきたいものです。
http://www.koten-kai.jp/catalog/index.php?cPath=1700
※1452番の一部及び1453番

さて、熊楠の字は近代人の中でも随分むつかしいほうではないかと思います。
これでも前近代の古典籍はけっこう読めるほうだと自負していますが、しかし、これはなかなか判読できずに、自信がめげてしまうことがよくあります。
今、熊楠の自筆日記を読む勉強会に参加させてもらっていて、周りの人がすらすらと読んでいるので、こっちも頑張らねばという気でおります。

が、生前交流のあった人でも、熊楠の字はむつかしかったと思われ、たとえば、民俗学関係で関係していた本山桂川(もとやま・けいせん)がそのことで書いております。

本山いわく――

一体翁は欧文となるとペンで細字を鮮かに書かれるが、日本字はいつも毛筆で然かも素人目には頗る拙く、くしやくしやと書立てられ、時としては、薄い墨がかすれて紙についてゐないことがある。おまけに行文が中々読みづらい。それをどうやら読み下せるやうになるまでには、こつちも相当の年功を経ねばならぬ。

誤字誤植についての叱言は翁の原稿を取扱つた大抵の編輯者が、一度や二度喰はない者はあるまい。「俺の字は俺には読める」といふ当り前の事を他人にも延長される所に、翁の理論の矛盾がある。


こういう同時代を生きた人の記事を読むと、読み始めて半年ばかりの小生などは読めなくて当然だなと少しは慰みになります、ハイ。

ちなみにこの本山の引用は『グロテスク』昭和4年7月号に掲載されているものです。
タイトルからして妙な雑誌であることから察せられるように、当時、警視庁から睨まれていた刊行物でした。

折口信夫の憂国

国文学者にして歌人であり、詩人でもあった折口信夫(おりくち・しのぶ)。
釈迢空(しゃく・ちょうくう)の号でも知られます。
昔は耽読し、文体さえも真似しようと努めたものでした。

さて、平野謙が紹介した折口のエピソードにこんなものがあります。

昭和18年の日本文学報国会理事会で、前年、作家の久米正雄が満州国皇帝を「現人神(あらひとがみ)」と文章に書いたことが問題になりました。
当時の一般的通念では現人神=天皇ということだったので、これが不敬に当たることとして問題化されたわけです。
しかし、折口は天皇おひとりが現人神ではないことを述べて決着したそうです。
権力をもった軍人に対してハッキリ物が言える気概というものがあったのだと思います。

また弟子の演劇評論家戸板康二の『折口信夫坐談』(中公文庫)に終戦近くの情報局での会合時のエピソードが載っています。
そのときの議題は、来るべき本土決戦のために、具体的にどのように国民の士気を高めるかということでした。
その将校に対して
「宸襟を如何せむ、といいながら、宸襟をないがしろにするようなことではいけません。
 無神経にことばをつかうのはいけないと思います。
 ことばに責任をもっていただきたい」
と諌めました。
また沖縄の情報についても
「沖縄のことについても、ほんとうのことを知りたいと思います」
と訴えています。
折口の学問形成の重要な場所が沖縄であり、また教え子もいます。
「そういう者たちが、弁当持ちや郵便配りをして死んだかと思うと残念です」
と赤裸々に心情を吐露しています。

その時の歌が残っています。

 たけり来る心を 抑へとほしたり。報道少将のおもてに 対す

すでに養子の春洋(はるみ)の硫黄島での戦死がほぼ確実視されていた頃のことであり、抽象的で都合のいい物言いに対して憤懣やるせない気持ちでいっぱいだったのでしょう。
ソ連に対する和平工作をしながら、無責任なことを口にして民意を軽んじ、結局ソ連との関係は破綻し、その一方で、発する情報に対する国民の信頼をも失ってしまう愚かさ。

僕はこの一週間の尖閣諸島不法侵入者に対する菅・仙谷らの言動をニュースで知るたびに、上の報道少将と重なって見えて仕方ありませんでした。

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