穴あき日記〜奈良漬のブログ

『熊楠と猫』発売中!/ツイッターID:@NarazakeMiwa

お伽草子

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全6ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6]

[ 前のページ | 次のページ ]

室町時代のお伽草子に『精進魚類物語』という擬人化作品があります。
精進とは精進料理のことで、納豆や豆腐をはじめ、野菜の類がいろいろ出てきます。
魚類は魚や貝、蛸、烏賊の類です。

納豆太郎糸重(なっとうのたろう・いとしげ)
蛸入道赤色
丹後鰤助(たんごのぶりすけ)
 *室町〜江戸期、鰤は丹後の名物でした

こんな名前の武士たちが壮絶な戦いを繰り広げます。

精進の勢力と魚類の勢力が合戦をするのですが、これが『平家物語』を彷彿とさせる迫力ある文章でつづられており、この時代の出色の物語作品だといえるでしょう。

これはなかなか人気があったようで、公家や武家の間で読まれた記録が残っています。
時代が下っていろいろな人たちの目に触れる機会も多くなったのでしょう。
読むだけに飽き足りず、二次創作をする好事家も出てきました。

『魚類青物合戦』、またの名を『青物魚類合戦状』と題する戯作が生まれました。
たぶん江戸中期〜後期のこと。
微妙にキャラの名を改めたもので、出版されずに写本として流布しました。
流布といっても伝本は2本しか確認されていないから、わずかな人々の間で回し読みされた程度だったものかも。
それから『精進魚類問答』という浄瑠璃風作品があります。
これまた写本で1本確認されるのみですが…。

こういう作品をみてみると、江戸時代の人も同人誌みたいなことやってたんだなーと思うわけです。

一方、こういった読み物のほかに、似た内容の語り物芸能(早物語)もあって、東北のほうでは近代まで知られていました。

これに関して、とある知り合いから、昔話研究者の故野村純一氏がそういう物語を紹介しているものがあると教えていただき、さらにコピーまでしていただきました。先月のこと。
『国文学 解釈と鑑賞』1985年10月号

これに鶴岡の鶴屋鴎涯(慶応2年〜昭和13年)という画家が大正8年に書いた『精進魚類軍記』という絵入写本が翻刻・紹介されています。
まさしく『精進魚類物語』の後裔!
はたして鴎涯の創作か、それとも手もとにあった写本を写したにすぎないのか、不明ながら、実に面白い内容です。
読み物と語り物との接点を考える上で非常に示唆に富む作品です。

『室町時代物語大成』第6巻(角川書店、昭和53年)をひさしぶりに通読しました。
この資料集は「室町時代物語」を幅広くとらえていて、
 1 室町時代成立の物語
 2 室町時代の物語風の江戸前期成立の物語
が収録されています。
そもそも室町時代物語は数多くあるものの、そのほとんどすべてが成立時期不明であるという事実を考えれば、真正の室町物語も、疑わしいそれも併せて収録し、後考にゆだねるという暫定的措置は適切だったと思います。
その後、徐々に、どうみても室町時代成立とはいえない、成立は江戸だというものがわかってきて、それらにはある程度傾向・特色がみられることもわかってきました。
この資料集が出てから30年近く経ちますが、確実に進展している分野だなと思います。
そして、もはや中世文学/近世文学という後付け的な時代区分の壁を取り払ってみなければ実態はつかめないものだということも、ますます思い知らされるようになってきたと思います。


〔今日買った同人誌〕
紙端国体劇場『Trick or You! 貴方が居ないと悪戯しちゃうぞ!』(2009年11月1日発行)
紙端(かみはな)さんの新作です。
何かのイベントに出したのかな?
宇都宮×高崎がメイン

動物文学や擬人化作品、人獣交渉の歴史や民俗などに関する集まり、〈異類の会〉。
その第2回例会の案内をここでもちょっとしておきますw
まだほんの数人でやってるだけですけど、興味のある方はご一報くださいヽ(^0^)

日時 11月10日 2:00頃
場所 都庁南展望台
※JR新宿西口改札前みどりの窓口(改札向きの壁際)で待ち合せてから展望台に向かいます。2時集合。

三浦億人
『戌猿合戦物語』についての一考察

〔本物語はお伽草子異類合戦物の流れを汲んだ近世後期の戯作と思われる。
 この点に留意してその性格や文学史的位置づけを試みたい。〕

http://irui.zoku-sei.com/

HP古典的奈良漬に明治大正期のお伽草子翻刻のことでちょっと覚書を載せておきました。
http://narazuke.ichiya-boshi.net/otogizakki.html
お伽草子、あるいは室町時代物語が文学的価値を認められていなかった時代、翻刻者はどういった目的で世に出そうとしたのか。
また翻刻に対する態度はどういったものであったのか。
今僕自身、未翻刻作品の翻刻・注釈作業をしているので、そのへんの事情に関心があるのです。

お伽草子に『さくらゐ物語』という作品があって、昨日、読み返しておりました。10巻11冊という破格の長編です。

諸先学のお伽草子の定義に共通することに、短編であることがあげられますが、本作は短編とはいえません。
なぜ『室町時代物語大成』に本作を収録したのか、その意図するところはわかりません。
おそらく絵入写本であること、歴史物語ではなく虚構であること、武家物の御家騒動の類型がみられることなどが理由だと思います。
とはいえ、成立は表現面からみると(たとえば「話をせん」など)、おそらく江戸前期だと思われます。だからむしろ仮名草子としたほうがいいのでしょう。
そうであっても、この長編は異色です。
戦国軍記の長編諸編や『熊谷伝記』『籾井家記』のような実録とも違うし、お伽草子・仮名草子とするのも分量面から素直に首肯できないものです。
室町期、軍記物語でありながらお伽草子の趣向もみられ、そのアイノ子のような性格をもつ作品に『義経記(ぎけいき)』があります。
むしろ本作はそれに近いのではないかと思います。

ちなみに内容的にもなかなか面白く、愛犬とのふれあいを細やかに描く場面が多いのは、古典作品中、出色といえるでしょう。
その意味で人獣交渉史の資料としての価値もあります。

虫の歌・拾遺

虫たちの歌会を物語に仕立てたお伽草子に『こほろぎ物語』という作品があります。
その中の歌を拾っておきました。→http://narazuke.ichiya-boshi.net/iruiuta.html

ところで、とある図書館で廃棄本が出てたので、見てみたら、ずいぶん専門的ないい本があったで持ち帰りました。
 須田春子『律令制女性史研究』
 柳井己酉朔『古代文学の特質』
 大野晋『上代仮名遣の研究』
 河上徹太郎『日本のアウトサイダー』
なかなかの収穫でした^^;

全6ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6]

[ 前のページ | 次のページ ]


.
奈良漬
奈良漬
男性 / O型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
検索 検索
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
友だち(2)
  • 太陽求めポチが行く
  • トーヤ
友だち一覧

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事