穴あき日記〜奈良漬のブログ

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妖怪・怪異

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都知事の逆擬人化

新年早々、あまり目出たくない絵を紹介します。
 
コミケットは基本的に政治性の薄い同人誌イベントです。
しかし、東京都の青少年健全育成条例は直接的に創造的活動を制約するものであり、商業利益を目的としない同人活動にも大きな打撃となります。
当然、反発が出てくるわけです。
とりわけ、三日目は評論系のサークルが多く参加しています。
今回のコミケでは本格的な論文・評論集を出して批判するサークルが多く出ました。
表向きはサブカルやアニメの評論集であっても、目次を見ると、1、2の論考が収録されているものも少なくありませんでした。
 
マンガや小説を創作発表しているサークルの中でもいくつか散見されました。
中でも都知事×非実在青少年のBL本は、予想されたこととはいえ、やはりキツイなあと思いました。
原物を見ていないので、よくわかりませんが、都知事を美少年化したのでしょうか。
 
そうしたなかで、秀逸だと思ったのが、ここに掲げた怪作戦の蘭陵亭さんの描いた「威志孕童子(いしはら・どうじ)」の絵です。
イメージ 1
 
  都ニ出デ 筆ヲ奪ヒ 世人ヲ震ハシムル悪鬼ナルヘシ
 
おそらく酒呑童子をベースにしたものでしょうが、まるで江戸の妖怪絵のごとき趣向です。
大和絵仕立てのそれは、妖怪絵であると同時に、風刺画でもあるというもの。
直接的に武家批判ができない江戸庶民は、妖怪やら何やらに見立てて彼らを笑い、また批判したわけですが、その精神をこの絵に読みとることができるのではないでしょうか。
 
画力もあるし、実に痛快な一作です。

狐・命婦・野干

先日の記事で、室町時代の狸の短編物語『筆結物語』に出てくる遊女「星の前」の前の名が「他子(かりご)の命福(みょうぶ)」といったということに触れました。
http://blogs.yahoo.co.jp/warszawa11045/20005651.html
(命福は命婦の当て字が誤字でしょう)
で、このキャラクターが実は狐だったんじゃないかと想像しました。
狸と狐の婚姻説話となってるわけです。

ところで今日読んでた本に狐を示すらしい「命婦」が出てきましたのでちょっと紹介します。
『中世近世の禁裏の蔵書と古典学の研究―高松宮家伝来禁裏本を中心として― 研究調査報告1』という長いタイトルの報告書の中に、南北朝期の公家藤原家定という人の奏状が翻刻されています。
それにはこんなことが書かれています。

近衛亭には「変化(へんげ)の物」がいる。
寝殿西妻で蛇足を見た。(原文「見蛇足」)
また三河守頼綱(源頼光孫)が宿直の晩に毛ある物が出た。(原文「有毛之物出来」)
そこで頼綱は太刀を抜いて斬り付けたところ、鶏冠木(カエデ)の木に登って消えてしまった。
翌朝、明るくなってみると、血がべっとり付いていた。
野干(やかん)の仕業だったか。
かつて近衛亭は、このように様々な奇怪な出来事が起こった。

この記事のあとに、命婦を尊崇して神膳を供する家は、凶あるの時はこれを受け入れず、吉事がある時は常に出現すると書かれています。

「野干」というのは仏典の訳語ではありますが、日本では俗に狐をいいます。
近衛亭の怪異は狐のせいだというのです。
ついで書かれた命婦もまた祀るべきものとしての狐を指すでしょう。
つまり同じ狐でも使い分けが見られます。
野干は虎狼野干などの慣用表現から知られるように、悪いイメージで用いられます。
一方、命婦は稲荷信仰を前提とした表現といえます。
だから「尊崇命婦供神膳」と記されているのでしょう。

同じころの別の資料「花山院山水石由来記」にも次のようにあります。
「昭宣公の時、命婦、守護神として此の地に住す」
つまり昭宣公藤原基経の時代に命婦が守護神としてこの地に鎮座したとのこと。

室町時代の百科全書『壒嚢鈔(あいのうしょう)』には、なぜ狐を命婦というのか説明されています。
命婦は女官(にょうかん)の位の名。
狐をそれに準じる神の位(神階)のものとして、その異名が与えられていたようです。

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八百比丘尼異聞

日本で人魚といえば、長寿の源。
高橋留美子の漫画『人魚の森』でも描かれていますが、人魚の肉を食べたことで死ねなくなります。

室町時代の狸の物語『筆結物語(ひっけつ・ものがたり)』には人魚伝承を背景としたような長寿のエピソードがあります。

主人公の狸の后転(きんひろ)の先祖長転(ながひろ)が若狭の小浜に蝦夷船の奉行に派遣されました。
そこで出合った遊女星の前はかつて他子命福(かりごのみょうぶ)という宮廷に仕える女房でした。
二月の初午に稲荷の山でかどわかされ、小浜で流れの身となったのでした。

この女と長転とが男女の仲となって、女の子が生まれました。
妊娠中、星の前は毎日枸杞(くこ)を食べました。
その結果、生まれた子は不死の身となって今900歳に及ぶ身として生きているのだそうです。
その老女は白比丘尼、または八百比丘尼とも呼ばれました。

小浜は人魚伝説、また八百比丘尼を伝える土地です。
八百比丘尼の由来を人魚とからめず、枸杞を服用することによるとするところが異聞です。

また枸杞を食べた星の前が命福(みょうぶ)ということ、稲荷の縁日にかどわかされたことは、狐であった可能性が考えられます。
命福=命婦は狐の異名で、稲荷もまた狐の縁の深い神です。

中世の八百比丘尼の伝承として珍しいと思いますので、ちょっと記事にしました。

室町時代の海の怪異

室町戦国期の漁師の見聞談はほとんど記録に残っていません。
江戸時代になると、都市だけでなく、地方の知識層が身の回りの事柄を記録する機会が増え、そうした中でその土地の漁師の見聞談を書き留めることがありました。

およそ1530〜40年頃の漁師から聴いた話が『天文雑説(てんぶん・ぞうせつ)』という本に書かれています。
薩摩の国から船で京に上ってきた人の話です。
船に乗っていると、不可思議なことをいろいろ目撃するそうです。

・夜、船が大きく傾いたので、何かと思ったら、前方にものすごく大きな黒い物が船に横乗りし、また海に入っていった。その後、船上には油のようなものが沢山たまっていた。
・エイが天に昇るのはたびたび目撃した。その羽音はとても大きかった。
・海入道もたびたび見た。大きく黒色で目・鼻・手・足の区別が付かない。忽然として海上に現れる。
・海中に入る火の玉。

最初のエピソードはアザラシの類なのかも知れません。
夜の闇に船上に乗り込んで暴れ、海に戻った後、船には粘液が残っていたのではないかと思います。

エイが天に昇るというのは、外見からの類推なのかも知れません。

海入道は海坊主のことでしょう。
近世の海坊主と基本的な特徴が一致します。
どちらにしても、事例としては早いものと思われます。

海中に入る火の玉というのはちょっと神秘的ですね。
ほかに例を知りませんが、どうなんでしょう???

鬼瓦に籠る鬼

このところ、室町戦国時代の連歌書を読んでいます。
連歌は細かなルールが多くて、憶えるのが大変なんですが、やってみるとおもしろいようで、当時は大変人気がありました。

名高い連歌師に宗長という人がいます。
この人の作品でポピュラーなのは岩波文庫の一冊『宗長日記』でしょうか。
旅日記で、連歌師がどういう旅をしていたのか、旅先ではどういう所に滞在していたのかなどわかります。
最前線の砦に宿泊することもありました。
そうした所でも大いに歓待されており、殺伐とした戦地に風流なひと時を与える客人でもあったのでしょう。

さて、宗長が自分の句に注をつけた本に次の句が載っています。

 * * *

   野寺は人のゆくもまれなり
  瓦にもまことの鬼やこもるらん

荒れたる野寺、住む人も行く人も見え侍らねば、瓦の鬼、まことの鬼にやと云ふなり。
俳諧にや。

 * * *

荒野にぽつんと建つ寺。
そこには誰も住まず、また訪れる人も滅多にいない。
鬼瓦にも本物の鬼が籠っているのではないだろうか。

ちょっと奇を衒った句のようですね。
宗長はこれを俳諧かなと評してます。

無住のさびれた寺に鬼が棲むという状況は『今昔物語集』にしばしば出てくるところです。
その心意はずっと時代が下っても受け継がれていたのでしょうか。
そして無機質なものに霊魂が宿り、人に害をなすという付喪神の発想も読みとれます。
誰もいない荒野の古寺のおどろおどろしい鬼瓦。
そこに鬼が籠っていているからか、道行く人の近づきがたい雰囲気をかもし出しているのでした。

というと、なんだか怪談めいておりますけど、実際は軽いジョークで
「あの寺に人が寄り付かないのは、鬼瓦に本物の鬼が籠ってるからじゃないの?HAHAHA!」
みたいな感じでさらっと流すべきなんでしょう。


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