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前回、前々回と紹介した「万物滑稽合戦記」ですが、そこに収録されている短編作品の1つに『世帯平記雑具噺(せたいへいき・がらくたばなし)』というのがあります。
実はこの本は原本が手もとにありますので、ちょっと取り上げておきます。
タイトルの「世帯平記」というのは「世帯」と「太平記」を合せた洒落です。
「太平記」と名のつく物語は近世前期から多く作られました。
『魚太平記(うお・たいへいき)』『獣太平記(けだもの・たいへいき)』『陰徳太平記』『英雄太平記』『鬼神太平記』『北国太平記』『三日太平記』などなど。
近代にいたってもそれは変わりません。
大河ドラマになった『真田太平記』ばかりでなく、『明治太平記』『おてんば太平記』『財界太平記』など、いろいろ、さまざまという点では近世以上に幅広いかも知れません。
ともかく、合戦物の代名詞といったところでしょう。
南北朝の合戦を叙述した中世の大作『太平記』がいかに後世の人々に愛読されていたかが窺われます。
さて、当の『世帯平記』ですが、「太平記」といいながら、表紙をみると、ちょっとおかしい・・・。
世帯道具の複合体の擬人化キャラクターが描かれています。
それはそれでいいのですが、よくよく見ると、背中に色々と武具(に見立てた道具類)を背負ってます。
これはいわゆる七つ道具でしょう。
ということは、モデルとなった武人は『太平記』の登場人物ではなく、むしろ『平家物語』。
すなわち武蔵坊弁慶なわけです。
本文をざっと見ると、別段『太平記』らしい文章もプロットもないようなので、あんまし『太平記』の影響ということを考えてはダメなのかも知れません・・・。
中巻の表紙もあわせて掲げておきましたが、これはどこか芝居がかっている気がしますが、芝居か何かをパロってるのかも知れません。
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