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両親に支えられながら、東京駅に降り立った。当時の私は、病気だった。
新宿に名医がいると知り、藁をもすがる気持ちで上京しました。
その際、宿泊したのが「京王プラザホテル」でした。
上京するのも初めて、また、名医とは聞くものの、6年の原因不明と言われ続けた病気が、果たして
快方に向かうのか。不安だらけの滞在でした。支えなしで歩けない私を、東京駅からいろいろな人が
横目で見ていました。人目につかないホテルに入ってしまいたい。
私はそんなことを考えていた気がします。
ホテルに入ると、ロビーには、着飾ったお客たちで賑わっていました。本来、ホテルは、結婚式の招待
客や、観光客、ビジネスマンなどがいる空間。病人の私には場違いな雰囲気です。自分でも情けない思い
で、立ち尽くしていました。そこへ、にこやかなホテルマンが近づいてきました。
「なにか、お困りですか?荷物をお持ちします。」
私は、東京に降り立ってから、初めてほっとしたのを覚えています。
両親も同じ気持ちだったと、後に話してくれました。ホテルマンは、部屋へと案内してくれた後に、
事情があるのだろうと、何気なく私たちの滞在の目的を聞くと、困ったことがあれば何でも言って下さい
と、部屋を出て行かれました。
私は、次の日診察を無事に終え、結果が出るまでの数日間を、東京で過すことになりました。
ホテルを予約しているのは、2日間。私と母は公衆電話から新宿のホテルに電話をかけました。
運悪く週末をはさんでいたため、空室はありません。そこに、あのホテルマンが現れて、笑顔でホテルを
探してくださいました。私は、あの時のことを今でもはっきり覚えています。
それから、一ヶ月に一度、上京し診察を受けました。もちろんホテルは、「京王プラザ」です。
あれから月日は流れ、日帰りで上京できるようになった今も、お茶を飲みに訪れます。
私にとって安心できる場所だから。
ホテルマンは私の回復した姿を喜んでくれています。まるで、以前から知り合いだったかのように。
「京王プラザ」には、愛があります。もてなすという言葉を超えた・・・。
大好きな場所。それが私のプラザストーリー。
日高 ようこ
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