河本礫亭作・煎茶碗煎茶には、煎茶工芸と言う分野で、煎茶器を専門で作ってらっしゃる工房があります。
現在では、段々と数も少なくなってきて淋しい限りですが、何とか復興させていきたいと願って居ます!
陶磁器限らず、この手の工芸の分野は、世界に誇れる技術を持っているので、技術の継承を心から願うものです。現在では、時代の流れもあって「家に人を招く」と言う事自体が無くなりつつあり、それによって「器に拘る」と言う文化的価値が疎かに為ってしまいました。又、「おもてなし」と言う言葉も、空虚なものに為りつつあります。
ペットボトルと紙コップと言うのは、便利で楽チンなのかも知れませんが、味気ないものです…。
文化の断絶は、悲劇以外の何ものでもありません。粋な煎茶器も、文化として守っていきたいものですね。
さて、「河本礫亭の煎茶碗」、珍しいお茶碗を見つけました。礫亭は、とりわけ煎茶工芸を主体とした作陶をしてきた訳ではありませんが、昭和30〜40年代の茶文化の裾野の広さを思い起こさせる作品です。煎茶器としてみれば、見るべきところの無い作品ですが、専門の作家にはない面白みがある仕上がりとなって居ます。
しかし、便利な時代に為ったもので、パソコンの検索エンジンに「礫亭」と入れれば、インターネットの情報で様々な情報と作品が一瞬にして開示されます。流石に、昭和の名工と誉れ高い礫亭だけあって「なんでも鑑定団」にも取り上げられ、それ相応の値段が付いて居ましたが、残念ながら「Yahoo!オク」では悲惨な状況でした。
この辺りの骨董の値崩れも、諸外国と比べますと異常な状況だと嘆かざるを得ません。歴史を学ばないから、歴史に対する価値観も育ちません。そして、歴史を知らないから文化も育たない悪循環の輪の中に居ます。折角、世界最古の歴史を持ち、世界に誇れる文化を持つ国に生まれてきて「もったいない」話です。
私達の生活の総てが、先人たちが築いた礎の上に成り立っています。言い換えるならば、歴史と伝統こそが、私達を守ってくれているんです。自らの魂を歴史に繋げていく事こそが、先人に対する真の感謝の心です。「器に拘る」って、その一つだと思うんです。作品に出逢う時、歴史と伝統、技と心の芸術に胸ときめかせて下さいね。
歴史を取り戻し、未来へと繋いでいく事、それが今を生きる私達の努めです!!…by so-kei♪ |
煎茶の席作り
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灰作り今年は、煎茶道の祖と呼ばれる「高遊外賣茶翁」の没後250年の区切りの年に当たります。
それを記念して、10月12・13日(土・日)東福寺、17・18(土・日)枳殼邸にて茶会が開催されます!!
お茶券も想像以上に出て居りまして、4日間通算で1400人を超える方のご来場が見込まれます。
私ども松月流は、12日に行われます「東福寺茶会」へと参加させて頂きます。
今回のお茶会では、私が運営の責任者を任されて居りまして、安全と無事の開催を願って居ます。
2年間掛けての準備でしたが、決して十分とは言えないものの、心からのおもてなしに努めて参ります。
いよいよ開幕で御座います!お気を付けてお越し下さいませm(__)m
さて、松月流では、3月の靖国神社での献茶式並びに拝復茶席で通称「煎茶道イケメン隊」を結成致しました。
夢よ再び!と言う事で、「第二次イケメン隊」を募集しまして、新メンバーを加え再結成致します(笑)。
まぁ、若干イケてない男子も居りますが、男ばかりで袴姿の雄姿が今回のメインと為ります!!
是非、どちら様も奮って応援に駆け付けて下さい。
そんなこんなで、席飾りの方も今までに無い勇壮で男らしいしつらえにさせて頂きました。
私自身の燃える思いと、賣茶翁の心を少しでも一煎のお茶に表現出来ればと願って居ります。
そして、萩井一司先生が再現された賣茶翁所持型と言われる「灰炉」にて、お茶を沸かしてみます。
この「灰炉」に入れます灰は、本部教場に通われる先生がお稽古で使った炭から作らせて頂きました。
私の拘りの椚の炭を実際に涼炉で燃やし、お茶を沸かしたものを少しずつ大切に集めた貴重なものです。
それを、丁寧に篩いに掛け、一から作らせて頂きました思いの丈の詰まった火が起こると信じてます。
どの様に仕上がりましたかは、当日のお楽しみで、直ぐに壊れますので儚くも夢の詰まった作品です。
炭一つ、灰を入れるにも拘る奥深い「煎茶の世界」を堪能頂ければ幸いです(笑)。
その他の設えも、明代に遡れる手付きの器局に、手抜きなく、遊び心満載でお待ち申し上げて居ります!!
戦後生まれの我々が想像するのとは、全く違う本物の「自由」が賣茶翁のお茶には在ります…by so-kei♪ |
松月流本部改修工事完了「お茶室完成」公益移行認定事業の一環と致しまして、本部教場の改修並びに「茶室」の復元を行って居りましたが、無事に完成いたしました。色々と有りましたが、これで第一期の改修工事は完了となります。まだまだ、手を入れるべきところが沢山ありますが、そこは追々直していけたらと考えております。
今回のコンセプトは「光と音、映像と音楽の融合した茶室」と豪そうに言えば為るんですが、簡単に言えば「気軽に音楽や映像が楽しめるお茶室」と言う思いで作らせて頂きました。「煎茶の茶室には決まりが無い」と言うのが決まりなんですが、少々遊び心を入れまして、現代風のしつらえにさせて頂きました。
現在の煎茶道には、茶の湯(茶道)としての流れと、煎茶趣味(文人趣味)の二つの流れが渾然一体となって存在しています。煎茶道の祖と呼ばれる「高遊外賣茶翁」に習えば、一杯のお茶があれば、そこが茶席と言う思いも有ります。そして、何より「文人趣味」を紐解けば「文房のお茶」と言う境地にも辿り着きます。
文房とは即ち、書斎?アトリエ?と申しましょうか、「男の隠れ家」的な存在であります。「自娯の世界」とも申します。そこに気の合う友人を招いて、お茶でしょうか?お酒でしょうか?を楽しみながら、詩・書・画を嗜み、琴を弾き唄を歌い、「清談」に花が咲いたのが煎茶趣味の始まりでもあります。
そんな、古の文人趣味を現代風に解釈して、私自身が一番居心地の良い「隠れ家」を作ってみました!!
始まりは、この一枚からでした。老朽化の進む本部会館に於いて、雨漏りが酷く放置状態となっていた茶室に、「部屋の活用法思案中」と貼り付けられて居ました。先代の親父なりに、色々と思う所が有ったんだと思いますが、雨漏りは外壁の全面改修と大掛かりに直したものの、部屋の方は手付かずで亡くなってしまいました。
その気持ちを受けて、親子二代の夢の詰まった茶室にしたいと長年構想を暖めて居りましたが、ここへ来て漸く実現いたしました。親父は、「履歴書に、読書と音楽鑑賞が趣味だなんて書く様なつまらない男に成るな」と、いつも言ってましたが、兎に角、豪快で面白い人でした。
本来ならば、ビルの一角ではなく、風光明媚な小鳥のさえずりが聞こえてきそうな場所に建てられれば最高なんですが、このご時勢では、それは叶わず次の課題として夢に抱いておこうと思います。今回は、不肖渡辺宗敬、駄目な家元なりに、新しい提案が出来たらと言う思いで居ります。
茶室その1
軸:「竹葉々起清風」黄檗山57台管長村瀬玄妙猊下書
花:「平安長春」松・薔薇
本部教場には、しっかりとしたお茶室が他に2つ在りますので、四畳半と言う限られた空間で、如何に遊べるのか?男のロマン満載の部屋にしてみました。床の間の照明は、スポットライトにより陰影がクッキリと映し出され、部屋の照明はダウンライトによって柔らかな雰囲気が出る様になっています。名の残るお茶室は、実に光の取り入れ方が巧みで春夏秋冬飽きさせる事がありませんが、そんな思いを再現させて頂きました。
茶室その2
床の間には、本来軸を掛けますが、煎茶席では「山水画」や「花鳥図」も多く見られます。それならば、いっその事スクリーンを吊るして、様々な風景を映し出したり、映画を観ながら一煎のお茶を楽しんだらどうだろうか?そんな思いで、床の間シアターにしてみました。チョッと遊びすぎかなぁとも思いましたが、今の時代「賛否両論」の出ない様な中途半端な話では、誰も付いてきてくれません。合言葉は「はじけろ煎茶道」です(笑)。
さて、封切は、煎茶道最初にして唯一の映画「煎茶道のあけぼの」を上映させて頂きました。約40年前になりますが、親父の趣味が高じて、当時700万円の予算を投じて映画まで制作したんですが、日本も煎茶道界も良い時代でした。その殆どがロケ先でのスタッフとの飲み代だったとよく聞かされました(笑)。
よく反発もしましたが、そんな親父が大好きで、段々と似てくる自分が可笑しくて仕方ありません。まぁ、しかし、ファザコンと申しましょうか?どうやっても勝てそうにないので悔しいものです!!
縁側
今まで、物置代わりに使われていたので気が付かなかったんですが、南向きなので日当たりが最高です。更に、風の通りも抜群で、物凄く居心地の良い部屋に仕上がりました。現在は、忙しい盛りの時期ですが、少し仕事が落ち着いたら、ノンビリとお茶を楽しみたいですね。取り合えず、箱は完成しましたので、今度は本当の意味での「活用法」を考えて行けたらと思っています。
それもこれも、松月流会員の皆様並びに関係各位のご協力の賜物です。ありがとうございます。特別に披露行事は考えておりませんが、気軽に遊びにお越し頂ければと願って居ります。そして、お近くの方でご興味をお持ちの方は、ご案内させて頂きます。床の間に、軸を掛け花を生け、そこに自らの心を投げ掛ける茶禅一味のお茶の味に、遊び心と言うエッセンスを振り掛ける煎茶趣味の世界を是非楽しんで頂きたく願って居ります。
光と音が振りそそぐお茶室へようこそ!この時代だからこその「風流」が、ここにあります。…by so-kei♪ ※「煎茶道のあけぼの」は、DVDで配布を考えております。また、いつか動画配信もしたいなぁと…。
※床の間シアターの詳しい内容は、「ホームシアター」の書庫にて詳しく紹介予定です。 |
第26回日本煎茶工芸協会賞「南蛮急須」新しい急須が届きました!!
今年度の日本煎茶工芸展で「日本煎茶工芸協会賞」を受賞されました急須です。
この頃では、お茶はペットボトルで飲むものとなり、急須の無い家庭が増えていると聞きます。
お饅頭や和菓子を食べた事の無い子供、お茶の葉を見た事も無い子供達が居るのも驚きです。
確かに、便利な世の中ですが何やら味気無い世の中に為りつつあります…
今の時代、お茶に限らず、歴史と文化と言う側面から物事を考えられる人が減りました。
「もったいない」と言う言葉が、ワンガリ・マータイ女史によって世界に紹介されました。
現在の日本に於いて、この歴史と文化の断絶こそが一番もったいない事だと思っています。
日常茶飯事と言う言葉が示す通り、日本人にはお茶は切っても切れない関係でした…
私は、お米とお茶は特別なものだと信じて居ります。どちらも大切にして参りましょう!!
さて、この日本煎茶工芸展ですが、今年で26回目を迎えました。最高賞は「文部科学大臣賞」まであり、今年度から「京都府知事賞」が新設されました。我々煎茶家にとっては、「道具は、ひとをもてなす」と言う言葉が有る様に、無くてはならない欠かせないものです。そして、使うのも人・作るのも人です。一煎のお茶に心がこもる様に、道具一品一品にも魂が宿って居ます。作家の先生方、職人さんとも、魂と魂とがぶつかり合う交流をしたいと願っています。
水野陽景作「南蛮急須」
「日本煎茶工芸協会賞受賞作品」ときちんと箱に記して下さいました。こう言う箱書きを見ますと、受賞の嬉しさや真面目な作陶姿勢が伝わって来ます。毎年の様に何かしら頂いて居ますが、この手の裏書を初めて見ましたので、思いの詰まった作品を頂いて私自身も嬉しかったです。
南蛮手急須
個人的には、奇をてらった奇抜な作品よりも、伝統を踏まえた上で少しだけ自分の色を加えた作品が好きです。この南蛮手と呼ばれる急須は、古くは「急火焼・キビショウ」と呼ばれ直接火に掛けてお酒やお茶を煮るものに行きつきますが、日本では青木木米・仁阿弥道八らに名品が見られます。何と言っても、この手の急須で煮たお茶は独特の旨味があるのが特徴です。写真では解りませんが、このキリッとした立ち姿も惚れ惚れとします。
葉止めUP
南蛮手と言う古い急須を写しつつも、常滑焼の独特の「葉止め」を組み合わせています。この葉止めが実によく出来て居り、お茶の切れも味も抜群でした。急須と言えば常滑と言われますが、長年の研究と研鑚の成果です。現在では中国からのまがい物も出回って居ますので、是非本物の良さに触れてもらいたいものです。
砥鹿神社「お茶まつり」へ
一目見て気に入って、一度使って更に惚れ直しました。6月17日の砥鹿神社での「お茶まつり」の献茶式奉納では、こちらの急須で一煎を献上したく存じます。恥ずかしながら、この頃知った話ですが、世界最古の土器は1万6千年前の日本の縄文式土器だそうです。普段は、磁器のものが多いのですが、この話を胸に深く刻む為にも今回は「土もの」の急須で、「トホカミエミタメ」と心で念じながらお茶を淹れてみようと思います!!
人と人の心を繋ぐ一杯のお茶を淹れていきたいと願います。心に清らかな風が吹きます様に…by so-kei♪ |
◇道具飾りへの思い◇
◇道具飾りの5原則◇
第1原則「道具は、単に置くに非ず。飾り付けるべし」
・煎茶を楽しむ為には、大小様々な道具の存在があります。正面があり、裏表の区別があるものもあります。折角の大切なお道具も、向きが間違っていたり適当に置いてあったりしては台無しです。それぞれの道具に愛情 と優しさを持って接してあげてください。 ・TPO(季節・会場・行事の内容)に合わせ、茶種の区別に合った飾りつけをしましょう。
煎茶は、煎茶らしくスキッと。番茶は、番茶らしくザックリと。玉露は、玉露らしく荘厳に重々しく。 第2原則「道具飾りは、三角形をイメージすべし」
・三角形は、辺と辺で囲まれた図形の中でもっとも角が少ない図形です。そして、力学上は三角構造と呼ばれもっとも強固な形となり、潜在的にも脳の中に植え込まれているので見て安心出来る形です。 ・日本で一番美しい山、富士山をイメージして、飾りつけるとバランス良く収まるはずです。
第3原則「道具飾りは、間を大切にすべし」
・日本人の感性の「空間の美」という概念があります。ゴチャゴチャと並べるのでは無く、道具が活きる最も適切 な位置、それぞれの距離感を掴めるように成ってください。また、棚や器局には、スマートにその空間にあった サイズのものをお使い頂きたいと願います。箸瓶の使い方で個性が光ります。 第4原則「道具飾りは、美しくあるべし」
・茶席は、小さな宇宙に例えられますが、自然の美しさを写し録り絵画を描くように飾り付けて下さい。 ・煎茶の世界は「詩」の世界です。目を閉じた時に、小鳥のさえずりや小川のせせらぎが聞こえれば最高です。そして、いつまでも余韻に浸れる情緒溢れる美しさを目指してみて下さい。 第5原則「道具飾りは、調和を大切にすべし」
・席作りを、舞台やドラマに例えますと、主役が沢山いる劇は焦点が定まらず意外にも面白くないものです。そして、主役ばかりが目立つのは、見ていて嫌気が差してきます。主役を活かす為には、脇を固める名わき役の存在が欠かせません。道具飾りも同じです。良い物ばかりを並べる必要はありません。お互いに良さを引出し合える工夫をして見て下さい。 一番の基本は、「道具は飾るもの、並べるに非ず」もっとも美しく映える場所こそがある筈です。by so-kei♪ |





