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今、親友の虹聖さまのブログを見ていたら、この映画を思い出したので、昔の別のブログで書いた記事ですが、転載してみました。2006年6月に書きました。 この間、神保町にある岩波ホールで『家の鍵』というイタリア映画を観ました。 粗筋は、障害を持つ息子と15年を経て初めて対面する父親の物語。最初は、見捨ててしまった息子への後ろめたさや、障害に対する恐れを感じているんですが、喜びや拒絶、理解を何度も繰り返しながら徐々に父子である絆を繋いでいく・・・というような内容です。 一応、原作は『家の鍵 明日、生まれ変わる』という本で、イタリア人作家、ジュゼッペ・ポンティッジャ氏が障害を持つ次男との生活を記した記録ですが、この映画とは殆ど接点がありません。 監督&脚本を務めたジャンニ・アメリオ氏も、本から影響を受けて脚本を書いたので厳密には原作ではないが、それでも本がなければ生まれなかった映画ということでオマージュとして作品に捧げています。 ************************************* 私は時々、こうした障害を持つ人々の映画を観るのですが、いつも「障害を持つ人も、そうでない人も同じだなぁ」と思います。 物事に対して同じように反応し、同じように考え、同じように感じる。体が少し動かないだけで他は何も違いはないんだなぁと。。。 例えば、初めて父親に会う少年パオロは、「ジャンニ(父親の名)は僕の父親だって言われた。きっと、からかわれたんだ」って何気なさを装って言うんだけど、ジャンニから「本当だよ」って言われるとちょっと安心する。 でも、次の日には朝起きてイキナリ、「家に帰らなきゃ!パパが一人ぼっちだ!」とパンツ一丁でホテルの部屋を出ようとする。 また、シャツを着せて貰う時に、左袖から通して欲しいのに右袖から入れられたりすると、「左からだと痛いんだ。昨日も言ったよ!伯父さん(パオロの育ての親)は間違えないのに!」と怒ったりする。 そういう突発的な行動は病気によるものだけど、障害を持ってない子供たちだって親の予測がつかない行動をする。子どもには子どもなりの理論があるんだけど、常識に囚われた親には理解できないから。。。 特に、映画のパオロとジャンニように15年目にして初めて親子の対面をしたなんて事になったら、会えて嬉しい反面、捨てられた怒りが襲ってきても不思議じゃない。。。 逆に、もし障害の為に感情を隠せないという事態がなかったら、表面的に笑ってても心の中で怒ったりして、そうそう簡単には仲良くなれなかっただろうと推察してみる。 きっと、あれやこれやで父親を困らせ、うっかり犯罪に巻き込まれ、危ない所を父親に助けられ、やっと仲良くなる、、、というようなストーリーになりそう。(笑) だって、十五歳の子どもにしてみれば、自分を見捨てた父親なんて「数日一緒に過ごしたくらいで許せると思うかよっ?!」って叫びたいくらの大罪なんだからね。 反対に親の気持ちを考えてみても、障害を持つ子どもの親と、持たない子どもの親。。。どちらも同じだったりする。 劇中で、パオロがドイツの病院へ治療の為に行くんだけど、そこでパオロより重度の障害を持つ二十歳の娘と、彼女を献身的に世話する母親に出会うワケ。 その母親に、「父親は逃げる」だの「パオロを恥じている」などとズバズバ切り込まれ、ジャンニは障害を持つ子どもの父親になる辛さと嬉しさを学んでいく。しかし、献身的に思えた彼女にも娘の死を願う気持ちが心の片隅に潜んでいると知ったりもする。 それは娘の将来を憂いて・・・というより、娘の為に何もかも投げ出さなければならない辛さから開放されたい、という意味が強いんだけど、それって障害を持ってない子どもの親も思うこと。。。実際、親が子どもを殺したニュースは、悲しいけれど嫌になるほど耳にするから。 子どもの教育だって父親より母親が熱心なのはドコの世界も同じ。 しばしば欧米では子どもの教育に積極的にかかわり、親子の関係を理想的なものにしていると思われがちだけど、実際には、、、 「パパ、何やってるのよ〜!」 とか 「パパは何もしてくれない!(自分の好きなスポーツ観戦は除く)」 、、、と妻子から言われてる父親を目撃したこと、何度かあります。(笑) そんな風に他の親子関係に置き換えてみると、みんな同じなんだなぁと思うワケです。。。それだけ、子どもを育てるのは大変だってことですよね。 最後に、私が一番好きなシーン。これから一緒に暮らそうと楽しそうに2人で話した矢先、何度言っても悪戯を止めないパオロをジャンニが叱りつけてしまいます。 その後、謝りもせず別の話を始めるパオロを見て、ジャンニが先行きの不安を感じたのか、泣き出してしまいます。その時のパオロの台詞が、、、 「どうして泣くの?僕がいるのに。そんなの、おかしいよ」 泣いた理由の分からないパオロは必死にジャンニを慰めるんですが、これって正に子育ての真髄なんだろうな、と感じました。 どんなに大変でも親が子どもを育てるのは、ただ子どもがそこに居てくれるからなんだと。 最初は、ちょっと痛々しいけど、途中何度も笑えるシーンがあって、最後は感動で泣けてしまう話です。きっとテレビでは放送されないと思うけど、ビデオになったら、もう一回見直してみたい作品です。
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