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欧州合同原子核研究所(CERN、スイス)は世界最大の加速機LHCの能力を、さらにアップするというニュースが来ました。元々日本の加速機より遥かに強力だった物です。
これと比較すると日本の加速機はエネルギーが小さいですが、粒子をぶつける方法がLHCと全然異なります。どちらが大発見をして次のノーベル賞をゲットするかです。
将来の子供たちの理科の教科書に、日本人ノーベル賞の学者がわんさか載るように、頑張って欲しいものです。特に現代の物理学は巨大な研究施設を必要とするビッグ・サイエンスに完全に移行しています。先進国間の競争です。
高エネルギー加速器「スーパーKEKB」に測定器が設置、再びノーベル賞狙う 11月から宇宙誕生の謎探る
スーパーKEKBに装着された「ベル2」測定器=4月13日、茨城県つくば市(原田成樹撮影)
宇宙誕生の謎や暗黒物質の正体を探る高エネルギー加速器研究機構(KEK、茨城県つくば市)の加速器施設「スーパーKEKB」に4月、高性能の「ベル2測定器」が取り付けられた。従来の施設「KEKB」は2008年の小林誠、益川敏英両氏のノーベル物理学賞受賞に貢献している。関係者は今年11月からの観測で、再度ノーベル賞を取りたいと意気込む。柳の下に2匹目のどじょうはいるのか−。(原田成樹)
消えた反物質の謎
1999〜2010年にKEKBで行われたベル実験では、現在の宇宙の成り立ちを説明するに当たって不可欠な「CP対称の破れ」が起きる理由を予言した小林・益川理論を裏付けた。
物質は原子より小さい粒子が集まってできており、最小単位を素粒子と呼ぶ。宇宙の始まりであるビッグバンは無から生まれ、最初は粒子と、電荷が正負反対の反粒子が同量できたとされるが、現在は反粒子は消滅し、宇宙は粒子でできた物質でほぼ占められている。こうなるには、粒子と反粒子で崩壊に時間差があることが必要だ。小林・益川理論は、陽子や中性子を作る粒子であるクォークが3世代、計6種類あればCP対称性が破れる−つまり粒子と反粒子で崩壊までの時間差が生まれることを示した。
ベル実験は、電子とその反粒子である陽電子を光速の近くまで加速させて衝突させて宇宙の初期に起きたとされるさまざまな粒子の反応を再現し、3世代目のボトムクォークを含むB中間子(クォークと反クォークからなる不安定な物質)と反B中間子で崩壊までにわずかな時間差があることを確認した。
50倍のデータ取得
スーパーKEKBは、ビーム電流をKEKBの2倍に増やすとともに、ビームサイズを小さく絞って電子や陽電子の密度を20倍に高めて、衝突性能を40倍に引き上げる。一方、衝突後の粒子の飛跡などを観測するためのベル2測定器も、線状のセンサーで観測していたのを二次元のピクセルセンサーで観測するなど、識別能力を高度化させている。ベル2測定器は、幅、高さ、奥行きとも約8メートルで、重さが1400トンに及ぶ巨大装置で、4月11日に同じ建物の中で約13メートルを移動してスーパーKEKBに装着された。現在ほぼ完成しているが、11月までに対になっているエンドキャップと呼ばれる部品の残る一方が取り付けられて完成する。
宇宙の成り立ちを説明した小林・益川理論だが、現在の宇宙に残った粒子の数を説明するには同理論のCP対称の破れだけでは不十分なことが分かっている。新たに始めるベル2実験は従来の50倍の大量データから、この誤差を埋める現象を導くのが目的だ。
性能を引き上げていく進捗や運転頻度などによるが50倍を取得するのは2020年代に入ってからになる。4月の施設公開では研究に携わる足立一郎准教授の口から思わず「ノーベル賞を取りたいです」という生きのいい言葉も飛び出した。「個人的には、理論が全く予想しないような未知の物理から来ている効果を発見したい」と続けた。同席した後田裕教授は、「宇宙を説明する物理的モデルがいろいろと提唱されており、それぞれにこういう量が観測されるはずという予想がされている。十分な統計量があればそれらを一つずつ検証していける」とベル2実験の意義を語る。
衝突性能で世界一
宇宙の成り立ちを探る加速器としては、全周27キロで、粒子の衝突エネルギーが13テラ(テラは兆)電子ボルトという世界最高性能を持つ欧州合同原子核研究所(CERN)の大型ハドロン衝突型加速器(LHC)が知られるが、スーパーKEKBも衝突エネルギーこそ3けた低いものの、衝突性能を表す指標「ルミノシティー」では世界最高を誇り、LHCを約80倍上回る見込みだ。
また、欧州のLHCでは3個の粒子からなる陽子同士を衝突させるのに対して、ベル2では電子と陽電子という粒子同士をぶつける。後田教授はその違いについて、「ベル2は豆と豆をぶつけるが、LHCは豆大福と豆大福をぶつける」と例える。LHCは宇宙誕生時の高エネルギー状態にこだわっておりとにかく高いエネルギーを使うが、ベル2の方がきれいなデータが出てくるのだそうだ。
ベル2実験にも、日本だけでなく世界23カ国・地域、101研究機関、700人超の研究者が参加しており、全周長で約10分の1しかないとはいえ、成果争いで一歩も譲るわけにはいかない。ガマの油に並ぶつくば名物の「高エネルギー加速器」から、今後も目が離せない。
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