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「船弁慶」(ふなべんけい)は断トツで上演回数が多い能です。
能には動きのゆっくりした演目が多いですが、この「船弁慶」はアクティブな動きが多くて、華やかです。 他にもこの「船弁慶」には能としては、いろいろ特異なことが多いです。 それなのに一番上演回数が多いわけは、ストーリーを多くの人が大体知っているし、難解さはゼロで誰でも(外人も含めて)親しみやすいからでしょう。 あらすじ
源義経が兄の頼朝の迫害に追われ、静御前と別れて奥州に逃げるために今の兵庫県尼崎市の大物(だいもつ)から船に乗って航海します。 すると空が一天にわかに曇って暗くなり、かつて壇ノ浦で滅ぼした平知盛(たいらのとももり)の幽霊が現れます。 平知盛は貴族化した平家の中にあっては際立って荒々しい武闘派だったとされ、壇ノ浦で勇壮に闘い、最後を悟ると碇と共に海に沈んだとされています。その幽霊が恐ろしい形相で薙刀を持って恨みを晴らしに来たのですから、義経一行大ピンチです。 能の構成
前半と後半にはっきりと分かれています。(こういう能が多いです)
前半は静御前との分かれの場です。 主役(シテ)は誰でしょうか?? 当然義経だと思うでしょう。 いいえ、静御前です。 後半の主役(シテ)は、これも義経ではなく、平知盛の幽霊です。
普通は前半のシテと後半のシテの全く違ったキャラクターを一人の能役者が演じますが、交代するときもあります。 前半と後半の間には、狂言方の役者が土地の漁師としての設定で舞台に出て、前半のあらすじをおさらいのように、説明してくれます。 この狂言方は能楽師ではなくて、狂言を専門に演じる役者です。発声は能楽よりも現代語に近く、聞き取りやすいです。 後半はこの能の見せ場で、囃子方に太鼓も加わって華やかになります。
知盛の幽霊は義経を打とうと薙刀で襲い掛かります。 義経も刀で応戦しますが、それよりも武蔵坊弁慶が数珠をしゃらしゃらと揉んで義経を守りお教の力で幽霊を退散させます。 この能で際立って特徴的なことがあります。
義経を演じるのは子方(能役者の子供で既に練習を初めている)なのです。 数珠ひとつで薙刀に立ち向かう弁慶の強さを強調するために、壇ノ浦で八艘跳び(次から次と舟を跳び移って戦った)をした勇猛な武将の義経もこの能では敢えて少し非力なキャラクターとして描き、そのために子供に演じさせるのです。 表現をとことん優先させる、何とシュールな描き方ではありませんか? 子供の義経が前半では恋人の静御前と別れを惜しむ様子に外人の観客は???です。 それではyoutubeで後半の華やかな部分を見てください。
地方の神社での奉納の演能のようです。 奉納は神様に能を演じて楽しませることが目的ですから、入場料などはありません。 こういうラッキーなチャンスに出会えば能をタダで楽しむことができます。 富永神社祭礼能「船弁慶」その時義経少しも騒がず ↓
能は日本が世界に誇る仮面劇です。
日本文化よ、永遠にあれ!
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子役は「その時義経少しも騒がず。打ち物(刀のこと)抜き持ち現の人 に向こうが如く。言葉を交わし。戦い・・」と言っています。
わりと有名なセリフです。
今でも「あわてないぞ」という時に「その時義経少しも騒がず」と慣用的な言い方がされています。
2012/5/21(月) 午後 9:35
内緒様、了解です。
2012/5/21(月) 午後 10:31
先人が護り今日まで継承してきたものは偉大です・・
傑作
2012/5/22(火) 午前 6:15
カマちゃん様、
室町時代から脈々と受け継がれてきたということは凄いですね。
傑作ありがとうございます。
2012/5/22(火) 午前 7:11