平成30年度自衛隊記念日観閲式が10月14日、最高指揮官の安倍首相を観閲官に迎え、埼玉県の陸自朝霞訓練場で行われた。整列した3自衛隊の隊員に訓示した首相は、自衛隊の創設以来4万回を超える災害派遣実績に触れ、「国民のため献身的に職務を遂行する諸君は日本の誇りだ」とたたえた上で、「全ての自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える」として自らも全力を尽くす決意を表明した。その後、隊員約4000人、車両約260両が行進し、航空機約40機が観閲飛行を行った。今回初めて在日米海兵隊と陸自の水陸両用車「AAV7」も計10両が祝賀行進し、強固な日米同盟を約1万7000人の来場者にアピールした。前日の13日午前は防衛省で首相が参列して殉職隊員追悼式、午後からは都内で防衛協力功労者に対する岩屋防衛相からの大臣感謝状贈呈式が行われた。
式典は朝方までの激しい雨が上がり、時折、薄日が差す中で始まった。執行はこれまでの東方総監に代わり、今年3月に新編された陸上総隊司令官の住田和明陸将が務めた。
午前10時半、観閲官の安倍首相が臨場し、観閲部隊指揮官の竹本竜司1師団長以下約4000人が車両約260両と共に整列。安倍首相は特別儀仗隊による栄誉礼の後、オープンカーに乗り、3自衛隊など29個部隊を巡閲した。
この後、訓示に立った首相は「全国25万人の隊員一人一人の高い使命感、強い責任感によって日本と日本国民は守られている」と述べ、隊員の「崇高な覚悟」に改めて敬意を表した。
その上で、自衛隊創設以来60年以上にわたって歯を食いしばり、自らの手で国民の信頼を勝ち得てきた努力をたたえ、「全ての隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整えるのは、今を生きる政治家の責任だ」と決意を表明した。
さらに、ソマリア沖・アデン湾での海賊対処活動や、ケニアでの国連平和維持活動(PKO)要員に対する重機操作教育など、・・・
平成30年度観閲式 安倍首相訓示(要旨)
国民の信頼勝ち得た60年
(2018年10月14日)
この朝霞の地で、私自身3度目となる観閲式に臨み、士気旺盛な隊員諸君の勇姿に接することができ、大変うれしく思います。
冒頭、この夏に相次いだ自然災害によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りします。被災された全ての皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。
現場には必ず諸君たちの姿がありました。
「民家が土砂に押しつぶされている」。土砂崩れの一報に、隊員たちは倒木を乗り越え、ぬかるみに足をとられながらも、休むことなく歩き続けました。体力の限界が近づく中、立ち尽くすご家族を前に最後の気力を振り絞り、全員を救出した。
さすが自衛隊。被災者の方々にそう言っていただける能力、そして何よりもその志の高さを改めて証明してくれました。
自衛隊の災害派遣実績は、実に4万回を超えています。自然災害だけではありません。悪天候で交通手段が断たれてしまう離島において患者の命を救うには一刻の猶予もない。こうした中での緊急輸送はまさに「国民の命綱」です。
「緊急搬送要請あり。直ちに出動せよ」。11年前、一人の女性の容態が急変し、危険な状態に陥っているとの一報が那覇駐屯地に入電されました。建村善知(たてむらよしとも)1等陸佐率いる4人のクルーは躊躇(ちゅうちょ)なくヘリに飛び乗り、鹿児島県徳之島に向けて漆黒の闇が広がる空へと飛び立っていきました。
現地は一面の濃霧が広がり、着地目標のグラウンドは視界不良。垂れ込めた雲が進入を阻みました。
「あと一度、進入を試みる」。容態は一刻を争う状況の下で、建村1等陸佐はこれまでの4800時間を超える飛行経験と自衛官人生の全てを傾け、着陸に挑み続けました。地上の管制官に近くの徳之島空港への着陸調整を依頼するなど、最後まで決して諦めませんでした。これに応え、地上にいる隊員たちも最善を尽くしました。
「ありがとう」――。管制官への感謝の言葉が最後となりました。4人が再び基地に戻ることはなかった。建村1等陸佐は・・・
グラフ特集 平成30年度自衛隊記念日観閲式
命と平和を守り、次世代へ
(2018年10月14日)
1万7000人の大観衆が見守る中、105ミリ砲を搭載した〝装輪戦車〟16式機動戦闘車15両で堂々と行進する15(善通寺)、42即応機動連隊(北熊本)などの部隊。右は陸・海・空合同音楽隊の指揮を執る樋口孝博陸自中音隊長
整列した陸海空自などの人員約4000人をオープンカー上から巡閲する安倍首相。その左は観閲部隊指揮官の竹本竜司1師団長
観閲行進の最後には陸自と米海兵隊が合同で祝賀行進を行った。日米の水陸両用車AAV7が5両ずつ並んで走行し、乗員が観閲官に対し敬礼した
ゲリラ・コマンド対処を想定し、ヘルメットに暗視スコープ、上半身に防弾チョッキを装着した32普連(大宮)の隊員たち
観閲飛行のトリを務めたのは三沢基地から参加した空自3空団所属のF35Aステルス戦闘機2機。編隊飛行の後、上空で展示飛行も行った
・・・他
平成30年度観閲式 予備自部隊、水機団、
即機連、女性自衛官が活躍
(2018年10月14日)
観閲式会場には市民ら約1万7000人が訪れ、車両部隊の迫力ある行進などを見守った
巡閲する観閲官の安倍首相に対し敬礼を行う女性自衛官部隊指揮官の千葉2佐(右から2人目)をはじめとする陸海空の女性自衛官たち
4000人整斉と行進
平成30年度中央観閲式では観閲部隊約4000人が整斉とした行進を披露した。予備自衛官部隊は初めて予備1陸佐が指揮を執った。また初参加の水陸機動、即応機動両部隊は精強性をアピール、女性自衛官部隊は徒歩部隊の最後に登場し、会場にさわやかな風を送った。
予備自部隊に魂を 吉原予備1佐が指揮 準備会議など入念に
車両行進部隊の3番目に登場した予備自衛官部隊。約130人の部隊の指揮を、8月15日付で東方初の予備1佐に任命された吉原和宏元1陸佐(富士通勤務、元関東処装計部業務指示課長)が執った。観閲式で予備1佐が部隊を率いるのは初めて。
8月20日に埼玉地本で予備1佐の辞令書を受け、同時に東方から予備自部隊長として観閲式への参加を命じられた。
アメリカンフットボールに打ち込んでいた防大時代を含め、観閲式への参加経験がなかった吉原予備1佐。任務を完遂するべく、自ら進んで32普連(大宮)の横山裕之連隊長の下に足を運んで指導を受け、また、観閲式の会議にも出席して準備にまい進した。
普通科連隊長(28普連=函館)も経験した吉原予備1佐は、「いかに魂のこもった部隊にするか」を念頭に隊員を指導した。式に向けた延べ5日間の訓練では、参加する予備自衛官を班ごとに同じ部屋に寝泊まりさせ、階級に応じて最先任の役職を指定するなど指導系統を一元化。訓練の成果を発揮し、本番では一糸乱れぬ車両行進を披露した。
大任を果たした吉原予備1佐は観閲式終了後、「・・・
殉職隊員追悼式 30柱の名簿を奉納
首相「遺志受け継ぎ、全力尽くす」
(2018年10月13日)
慰霊碑に30柱の殉職隊員の名簿を奉納する岩屋防衛相(10月13日、防衛省慰霊碑地区で)=代表撮影
殉職隊員追悼式で「職務遂行に全身全霊を捧げた皆さまはこの国の誇り」と追悼の辞を述べる安倍首相(10月13日、防衛省慰霊碑地区で)=代表撮影
平成30年度の自衛隊殉職隊員追悼式が10月13日、防衛省慰霊碑地区(メモリアルゾーン)で行われ、30柱(陸8柱、海15柱、空6柱、機関1柱)の殉職隊員の遺族をはじめ、安倍首相、岩屋防衛相、防衛省・自衛隊高級幹部、歴代防衛大臣ら約370人が参列し、昭和25年の警察予備隊創設以来の殉職隊員1964柱(陸1056柱、海455柱、空425柱、その他28柱)の冥福を祈った。
国歌斉唱に続き、昨年9月1日から今年8月31日までの間に公務による死亡が認定された30隊員の名前が読み上げられた後、岩屋大臣が30柱の名簿を奉納。陸自302保安警務中隊による特別儀仗隊が捧げ銃、陸自中央音楽隊が「国の鎮め」を演奏する中、参列者全員が拝礼、黙とうした。
追悼の辞で安倍首相は「国の存立を担う崇高な職務に殉ぜられた自衛隊員の御霊に対し、謹んで追悼の誠を捧げます。国民の命と平和な暮らしを守り抜く最も重要で困難な任務を志し、強い使命感と責任感をもって職務の遂行に全身全霊を捧げた皆さまは、この国の誇りです」と殉職隊員を悼むとともに、「尊い犠牲を無にすることなく、ご遺志を受け継ぎ、国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜いていく。世界の平和と安定に貢献するため、全力を尽くすことを固くお誓いします」と決意を述べた。
続いて岩屋大臣は「・・・