博客新人

中国と日本の経済社会事情を知る。さらにもう少し視野を広めて隣国、そしてアジア、また遠いところまで見詰めて行きたい。

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   米国の金融危機に端を発した世界的な景気悪化が欧州を揺さぶっている。1986年のビッグバンによる金融自由化でよみがえった英国は疲弊し、輸出王国・ドイツは経済成長率が戦後最悪に陥った。
   英国流の自由化路線で発展したアイスランドやアイルランドに加え、東欧諸国も危機に直面し欧州連合(EU)に支援を求めている。
   これに対し、余力のないフランスなど主要国は支援を渋るが、東欧経済が傾けばその余波は西欧を直撃するだけに、欧州の苦悩は深い。
   ≪英国≫
   「謝罪する以外にできることは何もない…」。「ロンドンの金融街シティーで最も尊大な男」と評されてきた人物が2月10日、英下院財務委員会で初めておわびの言葉を口にした。公的資金の注入を受けた英大手銀、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の前最高経営責任者、グッドウィン氏(50歳)だ。
   氏がRBSに入行したのは1998年。2年後、英大手銀行への敵対的買収を成功させ、地方銀行のRBSをトップバンクに仲間入りさせた。2007年10月には、RBSなど3行連合がオランダ大手銀ABNアムロを買収。氏の年間報酬は約400万ポンド(約5億4700万円)に達した。
   ビッグバン以降、英国が推し進めた金融自由化の申し子のようなグッドウィン氏。しかし、ABNアムロの資産には、米低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)の“毒”が充満していたのだ。
   昨秋の米証券リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)を機に、RBSの経営は悪化。昨年の最終損失は約241億ポンド(約3兆3000億円)と英企業史上最悪の赤字に陥った。株価は98%もの大暴落を記録、グッドウィン氏は辞任に追い込まれたのである。
   ≪アイスランド≫
   英国流の自由放任主義を採用し、国際的な金融自由化の波に乗った欧州の小国があった。人口約32万のアイスランドだ。
   だが、世界的な金融バブルの崩壊で「世紀のツナミ(津波)」(米連邦準備制度理事会のグリーンスパン前議長)にアッという間にのみ込まれてしまった。国内銀行はそれまでの海外拡大路線が裏目に出て、総負債が国内総生産(GDP)の10倍に膨れ上がり、金融システムが崩壊した。
   ≪アイルランド≫
   1990年代以降、外資を積極導入し、情報技術(IT)産業を中心に「ケルトの虎」と呼ばれる成長を実現したアイルランドも、危機のただ中にある。
   頼みの外資が引き揚げてしまい、開発と不動産バブルに踊った国内銀行の総負債は、GDPの「9倍」に上るといううわさも。アイルランドとアイスランドの違いはつづりの「R」(ル)と「C」(ス)だけだ−とメディアは両国経済の深刻ぶりを書き立てている。
   ≪ドイツ≫
   欧州経済の屋台骨を支えてきたドイツも例外ではない。2008年10〜12月の経済成長率が前年同期比2・1%減と、第二次大戦後最悪となるマイナス成長を記録。高級車をはじめ世界に誇る「メード・イン・ジャーマニー」の輸出が7・3%減と落ち込んだのが原因だった。追い込まれたドイツは、ある決断を下す。
   「世界最大の駐車場−」。ドイツ北部ブレーメンの近くに、独メディアがこう皮肉る港がある。行き先がなくなり、野ざらしとなっている輸出用の高級車が多いときで数千台。欧州最大の経済大国の現状を如実に物語っている。
   輸出の“花形”であるベンツを製造する独ダイムラーの昨年の純利益は、前年比65%減。BMWも昨年、約1万人のクビを切った。
   ドイツには、第一次大戦の巨額賠償金を課せられた1920年代、ハイパー・インフレに見舞われ、貨幣価値が1兆分の1にまで暴落した悪夢がある。それがナチスという怪物を生み出す土壌となっただけに、第二次大戦後のドイツは「健全財政」に固執してきた。
   「(群れをなして大移動をする)タビネズミが同じ方向に進むからといって、(ドイツも一緒に)突き進むわけではない」
   周辺国が大型の財政出動を準備する中、シュタインブリュック財務相が昨年末こう断言した背景にも、こうした“不文律”がある。
   メルケル政権はしかし、100年に1度という経済危機にはあらがいきれなかった。独産業界や、欧州景気の下支え効果を期待する他国からの要求を前に、総額1000億ユーロ(約12兆円)に及ぶ欧州最大級の景気刺激策を打ち出した。
   ≪フランス≫
   フランスの経済状態も良くない。2009年の成長率は1950年以来最悪の前年比1・5%減となる見通しだ。失業率も10%を突破する見込みで、社会不安への懸念が広がっている。
   こうした中、サルコジ政権はフランス国内の工場の雇用優先を条件に、ルノーなど国内自動車3社に総額65億ユーロ(約8000億円)の低利融資を行うと発表。これに対し「保護主義だ」と猛反発したのが、仏自動車工場のあるチェコをはじめとする東欧諸国である。
   ≪チェコ≫
   チェコは、1918年にチェコスロバキアとして独立した際、オーストリア・ハンガリー二重帝国の工業資産の4分の3を継承、有数の工業国になった。
   このため技術者のレベルが高く、西欧の自動車・家電工場などを積極誘致し、自国の成長に役立ててきた経緯がある。外資が逃げれば打撃は計り知れない。
   西欧諸国も、東欧の危機を座視できない事情を抱えている。「東欧への貸し付けの9割がユーロ圏の金融機関から」という試算もあり、融資が焦げ付けば、ただでさえ足腰が弱っている西欧の金融界にさらなる激震が走る。すでに、東欧の玄関口でもあるオーストリアの銀行株が軒並み値を下げている。
   ≪ハンガリー≫
   「欧州に新たな『鉄のカーテン』が出現しようとしている!」
   1日の欧州連合(EU)首脳会議の場でハンガリーのジュルチャーニ首相は、西欧のリーダーたちに東欧への支援を求めた。ハンガリーでも株価は昨夏に比べ50%以上、下落している。
   EUは、加盟各国が協力して経済危機に対応する重要性を強調するが、自国の経済対策で手いっぱいの英仏独など主要国は東欧支援に消極的なのが実情だ。それだけに、金融危機を通じて西欧との「経済格差」が一層広がり、欧州が二分されてしまう−という強い危機感がかつての「カーテン」の東側で募っている。

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