|
東日本大震災の発生から11日で4カ月。生産拠点を失った中小企業の中には再建を断念するケースも出ている。一時的に県外などに拠点を移すなどしながら、復旧を目指す企業もあるが、国の復興支援の遅れは雇用回復を遅らせ、復旧の足かせになる可能性もある。
薄型テレビなどの部品を製造する大村技研(本社・横浜市)の東北工場(岩手県釜石市)は、同社の売上高の8割を占める主力拠点だったが、津波で五つの建屋すべてを失った。高さ10メートルの工場の屋根に流されてきた乗用車が今も残る。建屋内はがれきであふれかえり、従業員の姿はない。 従業員は高台に避難し全員無事だったが、社員230人の半数が自宅を流された。木村道之社長は「社員がまず必要なのは現金」と、失業給付などを早くもらえるよう全員を3月20日に解雇し、受け取れる金額を一人一人に提示した。 顧客から預かっていた部品製造のための数百点の金型も失った。木村社長は金型の設計図面を同業他社に渡し、代替生産を依頼。設計図面は独自ノウハウが詰まった最重要の企業秘密だが、部品供給網を寸断しないための苦渋の決断だった。 復旧が進まない釜石を一時離れ、5月からグループ会社があった長野県飯島町内の工場跡地で、東北工場の20人を再雇用して一部業務を再開した。「一つ400万〜500万円の金型を顧客が再発注してくれた」(木村社長)ことも再開を後押しした。7月からは岩手県北上市の貸し工場でも生産を始め、さらに20人を再雇用。木村社長は「最終的には、全員で釜石に戻りたい」と力を込める。 三陸地域は、最盛期に約7800人を雇用していた新日本製鉄釜石製鉄所が89年に高炉を廃止、現在は250人まで社員が減った。地域の雇用は中小企業が支えている。高炉時代の名残から優秀な技術者も多く、「人材がいるからこそ、海外でも通用する品質が保てる」と、別の部品会社社長も現地での代替地を探し求めている。 しかし、岩手県の調査では、三陸沿岸の16市町村の製造業拠点(水産業など含む)163カ所のうち、70カ所が「復旧が困難」と回答。被害が深刻で回答できない事業所も多い。がれき処理すら進まない地域もあり、「地元で生産再開したくても、いつ戻れるかわからない」(被災した経営者)と、復興支援の本格化を望む声が高まっている。 |
全体表示
[ リスト ]


