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欧州中央銀行(ECB)、米連邦準備理事会(FRB)、日本銀行など世界の5主要中央銀行は15日、欧州の新たな資金調達危機に協調対応し、年末に向け3回のドル資金供給入札を実施すると発表した。
この協調体制には、他にイングランド銀行とスイス国立銀行が参加する。 ドル資金供給オペレーションは、米国の民間金融機関が欧州債務危機のヨーロッパの金融システムへの影響を懸念し、同地域からドル資金を引き揚げていることに対抗した措置だ。欧州銀行の一部は、ここ数カ月に及ぶ引き揚げの結果、ドル資金の借り換えが難しくなっていた。 ECBは現在、期間1週間のドル資金供給しか実施していない。しかし新たな協調の枠組みでは、ECBが年末越え資金需要を満たす期間約3カ月のドル資金を無制限に供給する。計3回実施される供給の初回入札は10月12日で、以後11月9日と12月7日に行われる。 リーマンショック直後の2008年10月からECBは必要に応じドルの3カ月物の資金供給を行っていたが、最後に実施したのは昨年5月だった。 新資金供給入札の発表を受け、ユーロはドルと円に対し1%上昇、また、欧州主要株価指数もフランスの銀行の株価上昇に先導され、軒並み上げた。時価総額で仏銀最大手のBNPパリバが15%上昇したほか、第2位のソシエテ・ジェネラルが7.4%、クレディ・アグリコールが8%それぞれ上げた。これら仏銀は、債務危機が最も深刻なギリシャへの融資リスクが高いとして最近は売りの標的になっていた。 一方、欧州債券市場では、リスク回避資金の受け皿となっていた、ドイツ国債や英国債が売られて下落(利回りは上昇)した。 ECBは1週間物のドル資金供給の金利を市場より高めに設定し、民間銀行の利用が過度にならないよう調整してきた。今回の3カ月物供給の金利について、ECBはこの日、明らかにしなかった。 今回の5中銀協調について、シティグループの上級為替ストラテジストのグレッグ・アンダーソン氏(在ニューヨーク)は、「もし今後何らかの新たなショックが発覚した場合は分からないが、年末越え資金の確保という意味ではおそらく十分だ」との見方を示した。 |
世界経済と情勢
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金融危機を深刻化させた2008年9月15日の米証券大手リーマン・ブラザーズの経営破綻から3年。世界経済は一時緩やかな回復軌道に乗ったかに見えたが、欧州の債務問題が深刻化し、不透明感が急速に増した。各国の株式市場は動揺、外国為替市場でもドル、ユーロの二大通貨の信認が揺らぎ、歴史的な円高水準が続く。金融政策には手詰まり感が漂い、緊縮財政の動きが世界景気を「二番底」寸前に追い込む。 ▽負の遺産 「業務に必要な資本と流動性があるとの確信は揺るがない」。米金融大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)のモイニハン最高経営苦任者(CEO)は8月下旬、有名投資会社から50億ドル(約3850億円)の出資を受け入れるに当たり、こう強調した。 金融大手はバブル期に扱った住宅ローンをめぐり、賠償請求など「負の遺産」処理に依然追われる。バンカメの株価は年初から約5割下落。米景気の鈍化傾向と相まって、金融株が米株式市場の足を引っ張っている。 米住宅市場も改善の気配はない。ケース・シラー住宅価格指数はピーク時の06年から約3割落ちたまま。米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は、戦後の大半の米景気回復局面では「住宅部門がけん引役だった」と指摘。だが今回は「住宅不振と金融危機が相まって、自然な回復過程を遅らせている」と分析する。 金融危機以降の景気対策で米財政は悪化。債務上限の引き上げをめぐり与野党が激しく対立し、今年8月には米国債の初の格下げを招いた。そうした中、オバマ大統領は総額4470億ドル規模の経済雇用対策を提案。「(米国は)経済危機に依然直面している」と認めざるを得なかった。 ▽機運低下
「金融システムが直面する脅威を正確には予測できない」。金融危機を受けて発足した米金融安定監視委員会は7月に公表した初の年次報告書で、欧州財政危機による金融市場の混乱が米国に波及する恐れなど「不確実性の存在」を指摘した。 「金融行政の歴史的転換」との看板を掲げた米金融規制改革法が昨年7月に成立して1年余り。しかし、下院で多数派を握る共和党は人事や予算で規制の運用を妨害。さらに「経済が良くならないのは金融規制が原因だ」との非難も飛ばす。 米有力シンクタンク、ブルッキングズ研究所のダグラス・エリオット研究員は「金融規制改革法は完壁ではないが、目指す方向性は正しい」とし、将来の危機から消費者や市場を救うには必要な規制だと主張している。ガイトナー財務長官も「改革を葬り去らせはしない」と強調するが、骨抜きの恐れは強まり、改革の機運は大きく低下した。 |
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一向に落ち着かない世界の株式市場、まるでジェットコースターのような乱高下だ。 そのきっかけとなったのは米国債の格下げだった。 しかしその米国債の利回りは下がっている(米国債の価格は上昇している)。 一方、いつ暴落してもおかしくないと言われ続けている日本国債にも、今のところその気配はない。 リスク資産から投資マネーが逃げ出して「避難先」に向かっているとされ、金は史上最高値だが、どうして円も史上最高値なのかが、どうにもよく分からない。 円高は日本居住者にとってはありがたいことに違いないが、輸出を考えるとそうばかりも言えない。 ゴールドマンサックスの国際経済部のトップを長く務めた(1987〜2001年)デービス氏は世界経済の現状をどう見ているのか。 デービス氏は2001年から2004年までBBC会長も務めていた。また、英首相府の経済政策顧問と同時に財務省の外部顧問、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの客員教授でもある。 言っていることが正しいかどうかは別にして、現状をきちんと整理しているという意味では、非常に参考になる意見だと思う。 以下、「世界景気・なにがおかしくなったのか」と題するデービス氏の論考である。 ●サプライサイドの2つのマイナス要素 つい半年前までは、多くのエコノミストが実質GDPの成長率は2011年の予測を大きく上回ると考え、企業活動も過去最高になるという調査が出ていた。もちろん、西欧諸国の経済基盤がいまだに非常に弱いということはすべての人が承知している。しかし経済活動が通常の状態になる、すなわちGDPが2008年の金融不況前の水準に戻るには差し支えがないように思えた。 しかし今や、こうした期待がどうしようもなくひとりよがりのものだったことが明らかだ。米国の今年前半の実質GDP成長率は年率1%前後にすぎない。大陸欧州の第2四半期は第1四半期に比べて改善が見られない。ゴールドマンサックスやJPモルガンのエコノミストの現在の予測では、米国が二番底に陥るリスクは約3分の1だという。何がおかしくなったのか。 この経済の減速をもたらしたのがサプライサイドの理由なのか、デマンドサイドの理由なのか。原因となっていることが一時的なものなのか、それとも長期にわたるものなのか。これを理解することが重要だ。もしこれを理解できれば、次に何が起こるかをより予測できるようになる。 世界経済のサプライサイドには2つのマイナス要素が影響している。3月に起きた東日本大震災は日本のGDPを大きく押し下げた。第2四半期は本来2.0%程度だったはずだが、結果的にはマイナス2.4%になった。これによって先進国経済の成長率が0.5%押し下げられた。加えて日本のサプライチェーンが破壊されたことで、間接的に他国の成長率が年率1%ほど影響を受けた。しかしこのサプライショックは現在急速に回復している。これに伴って第3四半期は自動的に成長率が高まるはずだ。7月の米国の工業生産が0.9%増加したことは、この傾向を示すものと言えるかもしれない。 2つ目のサプライショックは、中東の政治的混乱に伴って原油のサプライが2〜3%減ったことだ。減った分は、部分的にはサウジの増産やIRA(国際エネルギー機関)の在庫放出で埋めることができた。西側諸国の消費者が払う石油の価格はなかなか下がらない。 もし石油価格が長期にわたって上昇すれば、先進国の消費者の購買力は今年約1%低下することになるだろう。ただ供給と需要の複雑な絡み合いがもたらす影響のために、GDP成長率へのインパクトはもっと大きくなるかもしれない。カリフォルニア大学サンディエゴ校のジェームズ・ハミルトン教授のモデルによると、石油ショックのために今年前半の米経済成長率は1.1%押し下げられた可能性がある。 残念なことに、ハミルトン教授によれば、原油価格が急落しても、このマイナス効果が今年後半に逆転する可能性は小さい。彼のモデルでは(他の多くのモデルも同様だが)、原油価格が上昇すると、消費者は車などエネルギーと関係が深い耐久消費財を買い控える。ただ価格が下がっても以前の消費スタイルにすぐに戻るわけではないのである。 ●デマンドサイドでは 次に世界経済のデマンドサイドに関わる要因を見て見よう。ここ数カ月というものマクロ経済政策は引き締め基調にある。そしてその一部は想定外だった。 米国では連邦政府の財政政策が非常に注目を集めたが、今年の政策と去年の政策の間にはほとんど変化はない。しかし実際には、今年の財政で最も変わるのは、連邦政府あるいは州政府などの支出が削減されることだ。これが今年第1四半期、第2四半期を通じてGDPを1%押し下げた。英国では財政支出のカットはGDPの2%に及ぶし、欧州周辺国の緊縮財政の影響はさらに大きい。 1年前、先進国が財政支出を膨らませる時代はもう終わったと思ったが、2011年になってこれほどの緊縮が行われるとは予想していなかった。政府というものは、財政上で問題が起こると短期的に財政を引き締めで対処する。しかしどうやって長期的に持続可能にするかという問題を解決はしない。これは完全に間違っているが、しかし政治家は同じことをする。近い将来にこうした傾向が変わるとは考えにくい。 さらにここ数週間というもの、米国やユーロ圏では政策的失敗のおかげで苦しんでいるが、このために金融業界に「ストレス」が生まれ、信用保証料率が上昇している。これによって、ECB(欧州中央銀行)やFRB(米連邦準備理事会)がQE2(量的緩和第2弾)の「出口」を模索した時よりも金融環境がタイトになってしまった。金融がタイトになってどうなるかはまだ分からないが、米国の消費者信頼度は30年ぶりの低水準となったし、企業活動の数字もあちこちで下がっている。 最後に取り上げる要因(これが最もしつこいということになる可能性がある)、西欧諸国における企業の債務返済問題である。これによって家計は石油や政策のショックに耐えうる力が弱くなる。一時的な衝撃を受けたときに、家計は貯蓄に手をつけるのではなく、消費を減らしてきた。この結果、消費の減退が世界的な景気停滞の主たる要因となってきた。 リチャード・クー氏が言ういわゆる「バランスシート不況」である。日本を除く世界が経験してきた戦後の不況とは異なる。しかし日本と同じように慢性的でしつこい需要不足である。現在の欧米の政治状況から考えると、この問題を解決するのは極めて難しいということになるかもしれない。 ●日本政府はどのように需要を生み出せばいいのか
以上が、デービス氏の見解だ。さて日本の状況はどう考えたらいいだろうか。問題は、日本経済における需要不足。だからこそバブルが弾けて以来、政府は公共投資にカネをつぎ込み、結果的に国債が積み上がってきた。以前だったらこれで景気が浮揚したはずだが、今の日本では公共投資が次の投資を生み出すということにならない。最終需要が不足しているからである。そしてその状況は今も基本的に変わっていない。 一方で財政再建は待ったなし。景気を浮揚させるために財政支出を増やすのはもはや玄海に来ている。デフレを脱却し、経済成長を実現できれば財政再建の道も開けるだろうが、そのためには需給ギャップを埋めて、需要を増やす手段を講じなければならない。それが何か。ポスト菅に向けて民主党内でさまざまな動きがあるが、どの「候補者」の意見を聞いても、その一番大事なポイントが見えてこないのが残念である。 |
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先週英ポンドが上昇したことで、投資家が新たな資金の避難先への関心を高めていることが明らかになった。
世界経済の回復に対する懸念が高まり、ユーロ圏の債務危機がくすぶり続けるなか、ここ数週間にわたって珍しく多くの資金がポンドに流入した。オーストラリアドルやカナダドル、ブラジルのレアルなどその他の通貨も、円やスイスフランなど従来、資金の安全な避難先とされてきた通貨とともに買われた。 バンク・オブ・ニューヨーク・メロンのシニア通貨ストラテジスト、サイモン・デリック氏は「長期的にはこういった通貨の多くが安全な避難先と見なされる可能性がある。主要通貨は資金の安全な避難先ではないことは明らかだ」と指摘した。 米国はトリプルAの格付けを失い、ドイツの経済成長は実質的に足踏み状態。7月に利上げした欧州中央銀行(ECB)が利下げに転じるとのうわさも流れ始めた。こうした事態を受けて新たな避難先を求める動きが加速。その結果、ユーロとドルはさらに魅力を失った。 一方で、スイスフランと円の高騰はスイスと日本の経済に悪影響を及ぼす恐れがあるため、両国の中央銀行は自国通貨の魅力を減じる措置を講じている。 避難先を求める資金の一部はカナダドルやオーストラリアドルに流れている。この2つの通貨が魅力的なのは、資源価格の上昇が両国の経済で大きな役割を果たしているからだ。また、カナダもオーストラリアも主要国の多くを苦しめた金融危機の影響をほとんど受けていない。 新興国通貨であるブラジルのレアルは通常であれば、避難先として注目を集めることはなかっただろう。しかし、レアルに買いが集まっていることから、投資家が米国やユーロ圏の問題を避け、経済の規模が大きく安定度の高い国への関心を強めていることがわかる。 最大の避難先となっているのは英国かもしれない。経済に悪材料があるってもだ。失業率の上昇や小売売上高増加率の低下、インフレ率の上昇を受けて、英国の成長見通しは改善するどころかさらに悪化する可能性が高い。 しかし、英国は米国とは異なり、全ての主要格付け会社からトリプルAの格付けを付与されている。世界の外貨準備でポンドの割合は4%に過ぎないが、ドルの割合は60%だ。また、ポンドはオーストラリアドルやブラジルレアルなどの通貨より流動性が高い。これらの点を考慮すると、ユーロ以外の通貨に投資を分散させたい各国の中央銀行にとってはポンドを検討する余地は十分にある。 もちろん、米国経済が回復して、連邦準備理事会(FRB)がさらに多くの非伝統的な政策措置を採用する必要があるとのうわさが出なくなったり、あるいはユーロ圏の政治家が域内のデフォルトの脅威を払拭する方法を見出すことがあれば、新たな避難先への関心は失われるだろう。 しかし、ユーロ圏の債務危機がさらに悪化して、投資家が英国の銀行が抱えるユーロ圏へのエクスポージャーや、ユーロが崩壊した場合に英国が引き受ける経済的コストに注目し始めれば、ポンドもリスクにさらされよう。 |
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世界の金融・株式市場の動揺が止まらない。投資家がリスク資産からいっせいに資金を引き始めた。
引き金は米国だった。7月22日以降、ニューヨークダウは下落を始めた。8月2日に債務上限引き上げ法が成立しても下げ止まらず、8月5日には、史上初の米国債格下げが拍車をかけた。7月22日から8月5日までのダウの下落率は9.8%。欧州、新興国、資源国、そして日本の株価も、ほぼこれに歩調を合わせた。為替・商品市場においても、安全資産とみなされている円やスイスフラン、金にマネーが集中した。 週明けの8〜9日、世界のあらゆる市場はパニックに陥った。ダウの5.5%をはじめ、世界の株式は軒並み前日比2〜5%急落。ブラジルに至っては前日比8.1%もの下落に見舞われた。7月22日からの同国の下落率は19.3%に及ぶ。むろん日本も例外ではなく、8日の日経平均株価は2.2%下落し、9日には9000円を割り込んだ。4日の日本の介入でいったん1ドル=80円台をつけた円の対ドルレートも、9日には戦後最高値に迫る76円台をつけた。 市場関係者は、9日のFOMC(連邦公開市場委員会)声明発表を、固唾を飲んで待った。 FRB(連邦制度準備理事会)が打ち出した対策は、「超低金利政策を少なくとも2013年半ばまで継続する」というものだった。各国の株価は、これを受けていったんは大幅に反発するも、翌日には再び急反落した。超低金利政策の継続だけでは、混乱の引き金を引いた米国の景気減速を発端とする世界経済の失速懸念を払拭するにいたらなかったからである。 8月初め、ISM製造業指数、個人消費支出など、同国経済の失速を示唆する指標が相次いだ。年後半には上向くとみていた投資家は、あてがはずれリスク資産からの逃避を始めた。米国債格下げは財政支出による景気刺激が難しいことを決定付け、失速懸念をさらに膨らませている。 これに、欧州の財政危機が負の相乗効果を生み出している。ギリシャなどすでに財政危機にある国に対する支援策は資金繰りをつけることに終始し、財政再建を促進するものではない。加えて、ギリシャ支援では民間投資家にも負担が求められたことを嫌気した投資家は、危機国に次いで財政基盤が脆弱なスペイン国債やイタリア国債を売っている。 それどころか、スペイン、イタリアが被支援国へ転落した場合を先読みし、財政負担が増大するみられるフランスへ疑いの目を向けつつある。10日にはフランス国債のCDSスプレッドは1ヵ月前の倍の1.68%に達した。これは米国の3倍の水準だ。財政に負担をかける政策をとることは不可能だ。 頼みの綱は、中国を筆頭とする新興国だが、ここでも景気減速懸念が浮上してきている。原因は、一向に沈静化しないインフレである。対応策としての連続的な金融引き締めが、各国の景気を鈍化させ始めている。今後は少なくともこれまでと同じ高成長は期待できない。 そして、各国とも、景気浮揚に向けて打てる手がきわめて限られている。先進国はいずれも、リーマンショック後のなりふり構わぬ景気刺激策によって、財政赤字が大幅に拡大した。新たな財政支出は不可能に近い。強行すれば、格下げリスクが襲う。残る手段は金融緩和だが、商品市場の過熱という副作用をもたらした量的緩和の第三弾は望み薄だ。新興国は、インフレが足かせとなる。財政支出にせよ金融緩和にせよ、景気刺激策はインフレを加速してしまう。 世界経済は減速を甘受するほかはない。投資家のリスク回避志向は継続し、株価は低迷、円高傾向は続く。外需の落ち込みと円高は、政治の混迷で復興需要が出遅れている日本経済に大きな打撃となる。 世界は夢から覚め、冷たい現実に向き合いつつある。 |





