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2011年を「2008年 続編」と捉える向きがいる。
5日のスタンダード&プアーズ(S&P)による米国債の格下げを、08年9月のリーマン・ブラザーズの経営破たんに置き換えれば、ある信じがたい出来事の発生で世界中の市場が震かんしたという点で、両者は一致する。 確かに、8日は世界各地で株価が大幅に下げた。ただ、市場の乱高下だけで、歴史の反復を証明するのは困難だ。 08年の金融危機と今日の危機には3つの根本的な相違がある。 まずは最も明白な相違だ。両者は発端がまったく異なる。 3年前の危機はボトムアップの形態をとった。過度に楽観的な住宅購入者の間に芽生えた危機は、ウォール街の証券化マシーン(それに、格付け会社の少なからぬ努力)によって増幅し、やがて世界経済に打撃を及ぼした。金融セクターの問題がもたらした危機だった。 これとは対照的に、現在の危機はトップダウンの形態を持つ。景気を刺激できず、財政均衡を保てなくなった世界各国の政府が、経済界の信頼を失ったのだ。 やがて、民間セクターの支出と投資が大きく減少し、高い失業率と低い成長率につながった。今回、市場や銀行は被害者であって、加害者ではない。 2つ目の相違は、おそらく最も重要なものだ。金融機関と家計は07-08年にかけて、安価なクレジットを大いに楽しんだ。 そしてバブルが崩壊した際、デレバレッジというクラッシュ・ダイエットが激しい景気後退ショックをもたらした。 今回の問題は正反対だ。景気低迷により、企業や家計は現金を貯め込み、借金を避けた。このため消費は落ち込み、投資は伸び悩んでいる。 3つ目の相違は、先に挙げた2つの相違の直接的な影響だ。発端を見てわかるように、08年の金融危機のソリューションは、痛みを伴ったが、簡素なものだった。低い金利や銀行の救済、金融システムへの資金の注入といった手段を通じ、各国政府はこぞって流動性を供給した。 ただ、負担は小さくなかった。各国政府は約1兆ドルもの資金をシステムに注入せざるを得なかった。また、納税者は不公平にも他人のツケを払うことになった。しかし、このソリューションにより世界的な恐慌は回避された。 今日の危機にこのようなソリューションは用意されていない。現在の問題は、流動性の欠如やレバレッジのかけ過ぎによってもたらされたのではない。企業と家計のバランスシートは、もはや債務で膨張していることはない。 本当の問題は、金融機関に相互信頼感が欠けていることと、政府に経済を成長軌道に導く能力が欠けていることだ。 レポ市場やインターバンク市場といった金融システムの目づまりをみれば、それは一目瞭然だ。S&P、もしくはイタリアやスペイン国債の買い手に尋ねてみればいい。政治家が問題を解決できると、どれだけ自信を持って言えるかと。 今回の危機はその性質から、前回の危機に用いられた兵器が役に立つことはない。 |
世界経済と情勢
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7日付英紙デイリー・メールは、「西側諸国を救えるのは、世界最大の共産国家・中国だけなのか?」と題するジョナサン・フェンビー(Jonathan Fenby)氏の記事を掲載した。
同氏は「米国の信用格付けが引き下げられた今は、米国さらには世界全体にとって大きなターニングポイントであり、世界最強の国家米国とオバマ大統領は、全世界を前に、なんともいたたまれない状況に陥っている」と指摘した。 米国や日本など西側先進国が深刻な不況に直面すると、誰もが世界第2の経済体・中国に視線を移した。中国が保有する外貨準備高3兆ドルのうち65%が米ドル建てで、米国債がその大部分を占める。 中国とその13億の民が、米国向け輸出から多くの利益を得たことは確かだ。 しかし、その一方で、廉価の中国製品が米国のインフレを抑える作用を発揮し、また、中国が大量の米国債を買い続けていることで、米国は低金利を保ち、資金の提供を受け続けた。 中国は明らかに強い勢いで進んでいるが、同時に多くの問題も抱えている。中国は米国に対し、さらに責任を負うよう望んでいるが、もしそれが、米国の輸出減少を意味しているのなら、中国もその代価を引き受ける必要がある。 中国は、全く新しい国際金融秩序を作り上げるよう望んでいる。 しかし同時に、人民元相場管理の手綱を緩めることなく、為替レート面で輸出優位を保ち続ける方針だ。 米国が苦境に陥れば陥るほど、中国の地位が不動のものとなる。国際金融市場の先行きが読みづらい中、ひとつだけ確かなことは、世界の権力の中心が、無情にも、東にシフトしていると言う事だ。 |
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米国の信用格付け引き下げで世界各国が慌ただしくなった。
米国債保有1・2位の中国と日本は自国に及ぼす影響に備え計算機を叩いている。
中国は当惑しながらも推移を見守ろうという雰囲気だ。中国は外貨準備高の3分の2程度の1兆1600億ドルを米国債などドル建て資産で運用している。米国債の価値が下がれば金銭的打撃を受ける。
このため中国当局者は引き下げ前から米国に警告を送っていた。楊潔チ中国外相は4日、「米国が責任ある通貨政策を進め、ドル建て資産の安全性を保障するよう願う」と話した。これに先立ち中国人民銀行の周小川頭取も、「米国が債務問題を適切に処理し、投資安全と市場の正常作動を保障することを希望する」と強調していた。
中国政府は公式な立場表明をしないでいる。ただ官営メディアは声をあげている。新華社通信は7日、「中国は構造的債務危機に対する説明とドル建て資産の安全を米国に要求する権利がある」と強調した。続けて「米国が借金中毒を治すため自分の能力の範囲内で生きなければならないという常識を再確立する必要がある」と伝えた。
日本も戦々恐々としている。だが、米国債価格の下落よりも円の急上昇を心配している。 円は急騰している。投資家が不安になったドル・ユーロを売り、それなりに信じられる円買いに出た結果だ。 これに対し日本政府は4日に円高を阻止するため4兆5000億円を外為市場に注ぎ込んだ。 東日本大地震からの復興を急いでいる日本には円高が大きな負担となる。日本企業の輸出競争力を落とすためだ。景気低迷と金融システム混乱も懸念される部分だ。 五十嵐文彦財務副大臣は7日、NHKの番組に出演し、「外為市場介入は終わったのではなく、いつでもまた発動するだろう」と話した。急激な円高を必死に阻止するというメッセージだった。金融庁もこの日、「日本主要3大銀行の投資資産のうち米国債が占める割合は数%にすぎない」と強調し投資家をなだめた。しかし一部専門家は、「週明けには76円程度まで円高が進むだろう」と予想した。 ユーロ圏も表向きは、「米経済に対する信頼に変わりはない」と明らかにしながらも警戒を緩めていない。フランスのバロワン経済相は6日にラジオに出演し、「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が(米政府が認めなかった)数値に基づいて決定を下したのかいぶかしい」として米政府の立場に肩入れした。英国のケーブル・ビジネス・イノベーション・技能相もスカイニュースチャンネルに出演し、「十分に予想されたものであり、いま米国は非常に安定している」と信頼を示した。 だが、水面下では共助体制を構築し素早く動いている。主要7カ国(G7)は7日午前にカンファレンスコールを開いたのに続き、8日にはユーロ国中央銀行総裁が緊急カンファレンスコールを開催する。APは「G7財務当局者が中央銀行間の共助問題について緊急協議を行う。しかしどの水準でいつ接触がなされるのかは確定していない」と伝えた。 |
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国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事がフランスのサルコジ政権の財務相だった2007年、旧国営銀行と実業家との係争に介入したとされる職権乱用疑惑で、閣僚在任中の犯罪を扱う仏司法機関、共和国法院は4日、本格捜査を開始すべきだとの判断を示した。
これにより、ラガルド氏が刑事裁判の被告になる可能性が出てきた。 ラガルド氏は介入に違法性はなかったと主張しているが、有罪なら最高で禁錮5年と罰金5万5000ユーロ(約620万円)が科される。 AFP通信によると、ラガルド氏の弁護士は、本格捜査がIMF専務理事の職務に影響しないとの見解を示した。 |
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◇第2次大戦後に再認識のうねりが 1953年、米国のトルーマン大統領は、英国大使館主催のチャーチル首相を歓迎する夕食会に出席した。 宴たけなわ、チャーチルは突然、トルーマンに1つの問題を提起した。 「われわれが神を前にして、日本に原子爆弾を投下したこのことで自らが果たした役割を説明しようとするとき、心はそれに答える準備ができているだろうか」。 ウィルソン・ミスカンブル神父がその著「THE MOST CONTROVERSIAL DESICION最も議論のある決断」で叙述した場面である。 トルーマンはこの問題を非常に好まず、すぐに話の腰を折ったという。 しかし、彼が間違いなく天国で1つの理にかなった説明をするとすれば、この書に記載された文字は、簡明すぎていても説得力はある。 1945年8月に原爆を投下したとき、トルーマンの決定はいささかも議論されることなく、同盟国側のほぼすべての人に支持された。 この核攻撃によって直ちに5000万の命を奪い去った戦争が終結するからだ。 しかし、戦火が消えると、広島と長崎この2都市の21万の日本人を殺した行為が問いただされるようになった。 その後の数十年、「原子爆弾を使用する必要はなかった」と考える人が着実に増え、批判の声が後を絶たなかった。 ◇原爆使用しない代価はより大きい 本書の作者、ミスカンブル氏はノートルダム大学歴史学部の教授であり、神学と道徳の知識に精通し、政治と軍事の政策決定プロセスも熟知している。 彼はわれわれに指摘しているが、トルーマンが大統領就任中、米軍の戦闘機は東京や京都などで通常爆撃を実施し、同じように十数万の日本人が亡くなっていても、外部から非難はむしろかなり少なかった。 同時に、日本軍の前線での狂気じみた抵抗も同盟軍に極めて多くの死傷者をもたらした。 そのうち硫黄島の死傷者は2万6000人、沖縄は7万人に上る。 後に第31代大統領となるハーバート・フーバーは、このような戦争の先例を引用し、通常の方法で日本本土に進攻すれば、50〜100万の士官と兵士が命を落とす可能性があると、トルーマンに注意を呼びかけた。軍側が出した予測数字と大差ない。 こうした情勢の下、トルーマンが当時、配備が可能でかつ戦争の形勢を最も大きく変えることのできる兵器を使用しなかったとすれば、それは実に不可思議なことである。 もし米国の公民が戦後、自分たちの大統領は自らの良心から原爆投下を拒絶し、そのために数十万の国民の軍隊が窮鼠猫をかむ敵と組み打ちしたことを知ったとすれば、巻き起こるその大衆の憤りはいかばかりか、まったく想像できない。 ◇軍国主義は究極の責任を負うべし
しかし、同様に軽視してはならないのは、日本への原爆投下に付帯する1つの結果として、こうした恐ろしい兵器が長期にわたる冷戦時代に実戦に投入されることはなかった。 各方面がその怖さを深く知っていたからだ。 長崎を破壊する命を下した後のある日、トルーマンはドアを閉めた会議の席で閣僚たちに、「気がつけば、また10万人を殺すことになり、わたしは恐ろしくなる」と話し、さらに「わたしはすべての子どもを殺すという考えは決して好きではない」とも語っている。 ミスカンブル氏は本書のなかで、究極の責任を以下のせいにしている。 「ねじ曲げられた日本の新たな武士階層、彼らは熱狂的なかつ忠誠を尽くす精神で武装した軍隊を率いて、全民族をある種の自殺行為に巻き込もうとした。彼らがこの戦争を長引かせた愚鈍さと背信を放棄しようとしていることは、絶対に軽視されてはならない」 |





