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中国と日本の経済社会事情を知る。さらにもう少し視野を広めて隣国、そしてアジア、また遠いところまで見詰めて行きたい。

中国の経済社会

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 このところ、メディアで一部沿海地域の企業の求人難が伝えられている。
 これまでは旧正月明けには、また里帰りしていた中西部の人たちがどっと沿海部に戻ってきていたが、最近はこの人たちの郷里である中西部の経済も徐々に発展をとげていることもあり、一部の人たちは、年老いた両親や幼い子供たちの面倒をみるため、あえてはるばる沿海部に職を求めることもあるまいと、収入、生計費支出を比較して、それほど差もないので、故郷に残る人が少しずつ増えている。
 沿海部の企業主たちは、福祉、給料の改善でこの人たちを引き付けておこうと頑張っているようだが、やはり、働き手を十分そろえることができず、困っているようだ。
 これは中国経済全体の発展によってもたらされた新しい動きであると見てよい。
 また、かつて沿海部に出稼ぎに行っていた人たちの中から、技術を身につけて故郷で起業している人も少しずつ現れている。
 沿海部の企業主の中には、いっそのこと中西部に工場を移した人たちもいる。
 専門家たちによると、こうした変化は当初から予想していたことらしい。
 つまり、中西部の経済の発展や都市化の漸進的発展により、中西部でも仕事が見つかるようになり、沿海部の企業は中西部にシフトするが、さらなるグレードアップによって、構造を改革することが求められることになろう、と当初から予測していたのである。
 今年の全国人民代表大会では、農村部への取り組みを強化することが打ち出され、すでに次々と措置が取られている。
 また、農村部の中等専門学校、職業技術学校の生徒への学費免除などもすすめられており、いまや新しいタイプの近代化農業技術を身につけた農業従事者を育成する段階に入ったのである。
 国務院では、全人代の政府活動報告で打ち出された諸措置を着実に実行に移すための分担も決められており、いよいよ新たなるグレードアップの段階に入ろうとしている。
 今年の春の農作業も始まっており、第12次五カ年計画の二年目の課題への取り組みが見て取れる。
 しかし、いいことずくめではないことも確かだ。
 例えば、石油、天然ガスの値上げで化学肥料も値上げを余儀なくされており、流通プロセスのカットなどで値上げ幅を押さえることも考えているが、しかし、究極的にはいくらかのコストアップは避けられないだろう。
 ディーゼル・オイル、電気料金などの値上げも不可避であろうし、そういうことで農産物、とくに食糧の価格の上昇も避けられないかも知れない。
 しかし、それは前進途上の困難としてあらかじめ織り込み済みのことであるし、上手な舵取りが求められる昨今である。
 中国政府の公式サイト22日付の情報によると、国務院は先日、発展改革委員会の『2012年経済体制改革重点活動の深化に付いての意見』を承認し、各地域各部門に対し、本腰を入れて徹底的に執行するよう求めた。
 『意見』は以下の事を求める。
 ◆国有経済の戦略的調整の徹底にあたって、国有資本の参入・退出分野を明確にした合理的な流動メカニズムを整備すること。
 ◆鉄道システムの改革法案を検討・制定し、電力体制の改革を深化し、ガス・電気関係の合理化に向けた改革構想と政策措置を打ち出すこと。
 ◆民間投資が健全に発展できる関連政策と実施細則を徹底して整備すること。
 ◆鉄道・市政・金融・エネルギー・電気通信・教育・医療などの分野への民間資本の参入を奨励すること。
 『意見』では、財政・税務体制の改革を早めるにあたって、以下のことを通して営業税の課税最低限引き上げの試験的実施業界・地域範囲の安定拡大を図る。
 ◆不動産税の試験的実施範囲を的確に拡大すること。
 金融体制の改革を更に徹底するにあたって、以下のことを行う。
 ◆小型・ミクロ型企業と「三農(農村・農民・農業)」向けの金融機関を積極的にバックアップ。
 ◆『融資通則』の改正。
 ◆民間融資の合理的なサポート。
 ◆金利の市場化改革の徹底。
 ◆新株発行制度と上場廃止制度の整備。
 また『意見』は以下の事も挙げている。
 資源関連製品の価格改革を徹底するにあたって、電気料金の安定した改革を推し進め、民生用電気料金の従量制の改革案を実施し、石油精製品価格の市場化改革を徹底し、適した時期に改革法案を打ち出すこと。
 所得分配制度の改革・社会保障制度の改革を徹底するにあたって、所得分配制度の包括的な改革方案を着実に制定し、公務員の特別手当・補助金を規範化し、事業体の能力給制度の実行を進め、国有企業の給与総額管理方法の改革を進め、都市企業の従業員の基本的な養老金(年金)に関して、全国的な統一方案の検討を急ぐ。
 東京で開催された「中日ビジョナリー経営者フォーラム」2012年年次総会で中国長江商学院の項兵院長を見かけたとき、彼は丁度、滔々とかの有名な「月から見た地球の理論」を語っていた。
 「月から地球を見ると、全世界が自分のもののように感じられる。偏狭な民族主義は絶対超える必要がある。そこからより良い未来が生まれる。民族ブランドがその典型的な例だ。トヨタやサムスンは日本人と韓国人の民族ブランドとして中国に進出したところで成功するだろうか?」
 彼は「日本製品のボイコット」には全く同意できないと述べ、「偏狭な愛国心から飛び出し、日本を含めた世界でもっとも優秀な資源の統合を行なうべきである。グローバル化の時代では、国家も民族の境界も益々曖昧になるものだ」と指摘する。
 300名あまりの日本企業経営者に対し、項兵氏は「中国は日本の中小企業の『命綱』であり、これ以上最適な綱を見つける事はできない」ことを強調した。
 中国の「国家資本主義」の憂慮に対し、項氏は「中国が今日まで発展できたのは、『国家資本主義』であるからではない。100社以上の大企業、90社近くの国営企業があるが、民間企業のGDP貢献度は68%で、80%近くの雇用を創出している。中国のモデルは『例外』ではなく、民間企業のリードのおかげである。しかし、その開放の度合いは唯一無二であり、日本やドイツ、アメリカなどのモデルを取り入れており、その点から言えば、中国は未来の動向を代表している」と述べた。
 項氏は「日本は製造業、管理面では依然、『囲碁9段のやり手』である」と評価した。「日本企業の多様性、重要性には他のアジア諸国は遠く及ばない。世界第三の経済体として日本の対中直接投資はトップに君臨している。比べて中国の対日直接投資は取るに足らないものである」。
 しかし、手厳しい指摘もしており、「日本企業は相対的に見て、とても保守的であり、日本政府は中小企業が中国に進出することに対し積極的ではなく、インドでの発展を望んでいる。それは『死に行く』のと同じことである。インドは『改革するが開放はしない』国である。インドで成功する外国企業は極わずかだ。中国は歴史的な好機にあり、距離も近く、文化の源も共通している。加えて日本は長きに渡って中国最大の海外投資家であり、豊富な経験を持っている。中国の台頭というこの千載一遇のチャンスを逃したら後悔してもしきれないだろう」と述べた。
 項兵氏の演説は抗えないような空気に包まれていた。
 演説が終わると、彼は昼食を取る暇もなく北京に帰って行った。
 項氏は「中国人は我慢、集中、精密な精神が足りない。我々は益々功を焦る傾向にある。しかし、良いものというのは数十年かけて作り上げるものであり、今日投入したら、明日には直ぐに成果が見られるというようなものではない。真のコア技術は結局、日本やドイツに持っていかれてしまう」と述べ、「中日が連携を強化することは、アジアと欧米諸国が肩を並べて戦う重要な条件である。プロセス、技術の蓄積において中国と日本の差は歴然だ。中国の『創業精神』と日本の『精密製造』が手を組めば、中日両国の市場だけでなく、世界の市場を満足させる事ができるだろう」と主張した。
 自動車大手の広州汽車集団(広汽集団)の曽慶洪・総経理は今後も海外メーカーとの合弁を進めていく方針を明らかにした。
 海外メーカーとの合弁を今年の広汽集団の成長戦略に位置付ける。曽総経理は今年に入り訪問したというダイハツ工業(大阪府池田市)を提携先として示唆した。
 曽総経理は、ダイハツが持つ低燃費・低コスト力を生かせば、中国で1台当たり3万元(約39万5,000円)程度の販売価格を実現できると高く評価。ただ、ダイハツ工業の広報室は「提携交渉などを行っている事実はない」とした上で、いろいろと打診されている中の一つではと説明。同社は2009年に中国市場から実質的に撤退しているが、再進出についても「具体的な話は聞いていない」としている。
 広汽集団の合弁メーカーはトヨタ系の広汽豊田、ホンダ系の広汽本田やイタリア、フィアットとの合弁、広汽菲亜特があるほか、三菱自動車との折半出資合弁「広汽三菱汽車」が6月にも設立の予定だ。

■自主ブランド開発に70億元
 広汽集団は今後自主ブランド車の研究・開発(R&D)に70億元を投じる。中国の自主ブランド車は11年、奇瑞汽車、比亜迪(BYD)、哈爾浜哈飛汽車など7社が生産量を前年比で減らしている。広汽集団が10年に発売した自主ブランドセダン「伝祺」の販売台数は1万7,000台と好調だったが、曽総経理は「自主ブランド車は存亡の危機にある」として注力する方針だ。同社は今月1日に初の自主ブランドSUV(スポーツタイプ多目的車)「伝祺GS5」をラインオフした。
 14日まで開かれていた中国の全人代で、10年近く掲げていた経済成長率8%の旗を降ろし、7.5%を目標とすると発表された。狙いはインフレの抑制、環境負荷の軽減、貿易依存度の引き下げにある。だが、バランスのとれた安定成長を実現するには、雇用の吸収、バブル崩壊の防止、元の自由化など難題を乗り越えなければならない。(在北京ジャーナリスト 陳言)
 日本の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が、今年は3月5日から14日まで開かれた。日本と比べて会期は非常に短いが、ここでは集中的にいろいろな審議を行う。その中でもっとも注目されるのは、経済成長率の引き下げとその影響である。
●「保8」政策の終了にシーンとなった会場
 初日の5日には温家宝首相が「政府活動報告」を行った。2012年の経済成長率の目標を7.5%に設定するというくだりが温首相の口から出てくると、テレビに映った全人代の会場はシーンとなった。10年近く死守した成長率8%以上という「保8」政策が、今年で終了することとなったからだ。
 実際、中央政府はいつも低めの成長率を設定する一方、各地方政府は8%以上の高い率を設定して、2000年以降、成長率は8%以下に落ちたことはなく、さらに03年以降はずっと二桁の成長を実現してきた。今年は本当に7.5%の成長率に収まるのか。それより高い、8%か9%の可能性はまだ十分残っていると予測する中国のエコノミストは今もかなりいる。
 中央政府は「保8」を捨てて、これ以上のインフレ、環境問題の悪化に、ある程度の歯止めをかけようとしているだけで、経済の高度成長を放棄したわけではない。
「1%の引き下げは、100万人の失業者が出てくることを意味する」と、「保8」の際によく使われていた中央政府の報道官の言葉は、未だに人々の耳元で響いているはずだが、「曲がり角では車の速度を下げなければ、どんな結果が出るか」と、王岐山副総理は代表討議の場で発言した。
長期間にわたって速すぎた中国経済発展の速度は、これでやっとスピードを落とすことになる。同時にこれが国内雇用問題、環境問題、人民元為替などなどに大きな影響を及ぼすことは間違いないだろう。
●住宅価格は下落へ、都市部の雇用問題も深刻に
 経済評論家の牛刀氏は、経済成長率を7.5%に引き下げると、「住宅価格には致命的な打撃を与える」という。
 政府は、今年の消費者物価指数(CPI)を4%以下に抑えると宣言した。昨年はほぼ5%から6.5%の間で高く飛翔したCPIは、政府がCPI指数を高く押し上げた豚肉を緊急輸入するなどの措置を取ることで、このところなんとなく下げてきた。「デフレの時代がやってくるのではないか。デフレとなると、キャッシュは何よりも大事。住宅はもう投資の対象ではなくなり、ただのすみかに戻る。価格も下がってくるだろう」と、牛氏は予測する。
 政府は、2012年に都市部に新しく出てくる900万人の労働者の雇用問題を、この低い経済成長の中で解決しなければならない。都市部での失業率も、現在の4.6%ぐらいの水準を維持するとも約束した。
 住宅関連の家具、家電販売、学校、病院、美術館の建設、さらに道路、鉄道の敷設などは、住宅市場の変化によって急に需要が少なくなる。そうなると、農村から都市部への出稼ぎが減少するだけでなく、都市部での雇用も減っていくだろう。
 沿海部での開発は一段階してきたものの、中国中西部、東北の開発はまだ残されているので、新しいプロジェクトによって、それなりの雇用は創出されるだろう。だが、先行発展した都市部の雇用問題は、緊迫した情勢になってくるものと思われる。
しかも労賃の上昇、土地使用料の増加などによって、労働集約的な工業は、徐々に沿海部から内陸部に移転していく。先行発展した都市では、安い労働力は不足する一方、IT、バイオ、サービスなどの新規産業の創出が少ないため、失業問題は一段と目立ち始めるだろう。
 都市の活力が低くなり、13年ごろから住宅価格が大きく下がると牛氏は話す。本当にそうだったら、上がる一方の中国の土地価格は、やっと落ち着くようになる。中国語には「表玄関で虎を追い払ったが、裏門から狼が入ってきた」ということわざがあるが、今度は雇用という問題が、徐々に緊迫してくる。
●環境負荷は低減するが、まだ遠い豊かな民
 経済成長率が低くなると、中国の環境に対する負荷が間違いなく低減する。
 今日の中国では、大都市では北京、上海だけでなく、ちょっとした沿海部の都市でも交通渋滞で、空気、水がひどく汚染されている。
 今の中国は高度成長のために、資源・エネルギーを大量に消費している。しかも、エネルギー効率は極めて低い。IAEAの統計によれば、同じGDPを創りだすのに、中国では日本より8倍も多くエネルギーを使用している。
 今回の全人代では、例年より多くの人民代表(代議士)が、都市農村を問わず、ひどくなった環境問題の解決に政府の努力を促した。王梅珍代議士は、長江デルタ地域では都市の垣根を乗り越えて、各地域が連帯して大気汚染を防止することを強く求めた。また傅企平代議士は、農村土地の汚染防止に関する法律を制定することを主張した。
 経済成長率を下げないと、環境問題の解決には、本格的に着手できない。「これからセメントの生産能力を大きく削減していく」と、温首相は政府活動報告で話した。小さいセメント工場、製鉄所、化学工場は、普及しつつある自動車とともに、現在、中国最大の汚染源となっている。
「経済の安定運営は、すでに低炭素、環境友好的なやり方でないと継続はできなくなった」と、代議士で経済学者の励以寧氏は言う。その前提条件としては、経済発展のあまりにも早すぎた速度を、下げなければならないのだ。
 今までの中国は、環境を汚染しながら経済発展を追い求めた結果、GDPの規模では日本と同水準になり、国の税収は日本をはるかに上回り、中央政府が豊かになってきた。
 これからは市民が豊かになってくる段階に入るべきだろう。いつも特権階級が金持ちになり、一握りの人だけが中流階層になれる国は、本当に強い国とは言えない。温首相の活動報告書の中では、繰り返して物価の安定を約束し、市民の所得をかならず向上させると約束した。
 ただし、今までの高度成長では、高すぎたインフレ、高い税率などによって、経済発展の恩恵は、市民より政府がより多く受けてきた。経済成長率が低下してくると、市民の受けられる恩恵はさらに小さくなり、今度の全人代で多くの代議士が主張している「富民強国」(豊かな市民と強い国)への転換が実現できるかには、大いに疑問が残る。
●人民元の自由化及び経済の安定発展の可能性
 対外貿易を経済発展の重要な柱とする中国では、対外貿易依存度(輸出入総額の対GDP比)という特殊な計算データがある。日本の財務省関税局に相当する海関総署の統計によると、2011年は50.1%で、2006年の67%から大きく引き下がったとは言え、欧米日本の2割から3割の水準と比べて、依然として非常に高い。しかも対外貿易に影響を与える為替レートつまり人民元の完全な自由化については、今回も中国政府は許さなかった。
2月に訪米した習近平国家副主席は、人民元の自由化テンポを速めていくと繰り返して説明した。それは人民元高を容認すると理解するエコノミストは少なくない。人民元高によって、対外貿易依存度が、さらに低くなるだろうが、国内の商品価格をもう一段と引き下げないと、外国製品はますます中国市場になだれ込むだろう。
 中国経済が対外貿易依存から国内市場の創出へ、環境に対する高負担から低負担へ、高度成長から安定成長へシフトとするという方針は、今度の全人代で打ち上げられた7.5%の数字に現われている。またこのような発展モデルの変化は、中国国内で歓迎されている。
 ただし、胡錦濤・温家宝体制は残り1年となり、どこまで7.5%への引き下げを実現させていくか、またそれによって、雇用問題、環境問題、元の自由化という難題を解決して、安定成長を実現できるのか。世界の多くのエコノミストが、その行方をかたずを飲んで見守っている。

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