暫くの沈黙の後・・・3人は、声を潜め・・・密かに話を続けた・・・・・。
円山の登山道を・・・観光客であろうか、数人の登山者が、嬌声を上げながら 登ってきた時には・・・・・3人の姿は・・・・・登山道から消えていた・・・・・。
数日後・・・
警視庁は、大騒ぎであった・・・。
「島 義人」を追って、北海道へ行った「松浦 刑事」の消息が・・・消えたのだ・・・・・。
警視庁は、すぐに数名の捜査員を 北海道へ派遣したが・・・松浦 刑事の消息は、まったく掴めなかった・・・・・。
島 義人が、札幌を離れ・・・富良野へ向かった事は掴んだが・・・再び、札幌へ戻った事が確認された・・・・・それ以降の足どりは・・・まったく分からない・・・・・。
松浦 刑事は、数日前に ホテルもチェックアウトしており・・・その後の消息は、幾ら調べても・・・まったく、分からなかった・・・・・。
警視庁の捜査員は、後を、北海道警察に任せ・・・今回は、諦めて帰京した・・・・・。
前日の夜の落雷で・・・富良野岳中腹では、山火事が起こった。
消防の力は及ばず・・・ヘリによる消火活動が 開始されたが・・・焼け石に水・・・そんな状況であった。
しかし、不思議な事に・・・自然の力が働いたのか・・・極めて限られた場所を除いて・・・自然鎮火したのだ・・・・・。
しかし人々は、森が守られた事を喜び・・・深くは考えず・・・素直に鎮火を歓迎した。
現場の検証に向かった・・・消防隊員と、営林署員が 目にしたのは・・・普通ではない火勢による、異常な燃え跡と・・・それを取り巻く、不自然な鎮火の状況であった。
それ以上に驚かされたのは・・・その、燃え後の中から・・・人骨らしきものが見つかった事であった。
普通の登山道から外れた・・・この場所には、人など近づかない・・・一体?誰のものなのか・・・。
すぐに、警察と鑑識が呼ばれ・・・本格的な現場検証が、始まった・・・・・。
見つかった骨は・・・確かに、人骨と 判明したが・・・燃え方が激しく、身元確認は難しいであろう、と言うのが・・・警察の見解であった・・・・・。
それより、皆が驚いたのは・・・人骨が・・・複数の人間の可能性があると・・・鑑識から報告された事であった。
その頃・・・現場近くの 崖下の 沢を捜索していた 消防隊員が 複数の遺留品を発見していた・・・・・。
回収して、警察に引き渡し、消防隊員は帰っていったが・・・受け取った、警察の方は・・・大騒ぎであった。
何と、それは・・・紛れも無く・・・松浦 刑事と 島 義人の所持品であると確認されたのだ。
すぐに、警視庁にも報告され・・・回収された 骨と所持品は警視庁に送られた・・・。
科学捜査の結果でも・・・骨からのDNA採取は、不可能との見解が示されたが、所持品に関しては・・・「島 義人」と「松浦 刑事」の物と・・・断定された。
それから・・・人骨は、確かに複数である・・・との報告もなされた。
マスコミも嗅ぎつけた、この事件について・・・記者会見が行われたが・・・・
警視庁の発表は・・・・・
「1年前の、内田 耕平 殺害事件の容疑者 ・・・島 義人は、逃亡後・・・札幌に潜伏・・・その後、松浦 刑事に発見された、島 は・・・富良野岳方面へ逃走・・・松浦刑事も後を追って、富良野岳へ入ったが・・・不幸にも、2人共 方向を見失い・・・結果、遭難し・・・両名とも死亡したと思われる・・・・・。」
「この度の、現地における落雷火災により・・・発見された人骨は、限りなく両名のものと考えられるが・・・断定は出来ない。 しかし・・・現場近くの 沢から発見された遺留品は、すべて両名の物と確認され・・・ここ1年、富良野岳での遭難者の報告が無い事を 併せて考慮した結果・・・この遺骨を、島 義人と松浦 警部補のものと、断定せざるを得ないとの結論に達しました・・・・・。」
と言う 記者会見であった・・・・・。
これで・・・「内田耕平 殺害事件」も、被疑者死亡となり・・・その真相は、闇へと消えて行った・・・・・。
それから半月後・・・十勝岳の山中では、大勢の男達が、原生林の 樹木の下枝を掃(はら)っていた。
だが彼等は・・・明らかに・・・「営林署」の職員ではなかった・・・・・。
森に 「昼にするかぁ〜〜〜」と、大きな声が轟き・・・作業する男達は、一斉に手を休めた・・・。
皆、木から降り・・・それぞれが、思いおもいの場所で 食事と休憩を貪(むさぼ)って居た・・・・・。
その中の一人・・・・・私、「島 義人」は・・・清々しい汗をかきながら・・・・・
浅黒くなった顔を・・・眩しい太陽に向けていた・・・・・。
もうすぐ厳しい冬が来る・・・・・今は、それだけしか・・・考えていなかった。
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