Wecker papa の独り言

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「第23章」 歴史の真相・・・。


松浦刑事は話を続けた・・・・・。

「あなたの先祖は、肥前(佐賀・長崎)の ご出身でしたね・・・私の先祖は、三重県の松阪に住まっていたのですが・・・元々は 肥前出身で、松阪に 移住した人でした。」
「私とあなたの接点は・・・130年以上前に 遡(さかのぼ)るんです・・・・・。」

「私の先祖は・・・松浦 武四郎・・・と、言います・・・・・。」


「我家には 代々、佐賀の島さん との友情が、語り伝えられているんです・・・。我々の先祖は、130年も前に、共にこの場所に立ち・・・この地の将来を語り合ったそうです・・・・・。」
「2人とも、アイヌの民を 守る使命をも 共有していたのだそうです。何故なら・・・2人が それぞれ、この地を無事に歩き廻れたのは・・・平和的で、友好的なアイヌの民の協力なくして、成し遂げる事が出来ないものだったからだそうです・・・・・。」
「しかし、鍋島直正公の後、開拓使長官に着任した・・・東久世(ひがしくぜ)公は、公家(くげ)あがりの・・・利権主義者だった・・・。」
「武四郎は、この時点で この地から身を引き・・・松阪へ戻って、余生を送ったんですが・・・あなたの ご先祖は・・・この地に残り、札幌の街の建設計画と・・・アイヌの民の擁護(ようご)に努力を続けられた・・・だが・・・1870年・・・着任 僅(わず)か1年で、島 義勇氏は・・・判官を 解任された・・・・・。」
「長官(ちょうかん)と判官(はんがん)との間に・・・何があったかは・・・言わずもがな・・・でしょう。」
「ご存知の事とは思いますが・・・札幌の街を五州第一の都・・・すなわち、 世界一の都市にすると言う、夢半ば(ゆめなかば)にして・・・義勇氏は、この地を追われ・・・東北地方の知事に任官しますが、彼の意思で、すぐに辞任します・・・。その後、義勇氏は 新政府の欺瞞(ぎまん)に耐えられ無くなった、お仲間と共に・・・佐賀へ戻り、1874年・・・佐賀の乱の首謀者の一人として・・・斬首(ざんしゅ)の刑を受けていますよね・・・・・。」
「その3年後には、西郷さん達による 西南戦争が起こり・・・結果、西郷さんも・・・殺されました・・・。」
「しかし・・・武四郎は 常々言っていたそうです・・・・・佐賀の乱、西南戦争・・・そして、その前1868年頃・・・明治維新 当時の 戊辰戦争・・・すべては、明治新政府の 策略(さくりゃく)だったと・・・・・。」
「当時、心清き人物は・・・明治維新の前後、次々と新政府の手によって 粛清(しゅくせい)されて行ったのだそうです。我々の知っている歴史は・・・それら粛清が終わり、生き残った勝者によって、歪曲(わいきょく)された物だと・・・武四郎は 嘆(なげ)いていたそうです・・・・・。」
「征韓論(せいかんろん)で、西郷さんが 死なねば為らなかったのなら・・・日清・日露の戦争は、どう説明出来るのか。 徳川幕府が大政奉還(たいせいほうかん)したにも拘(かかわ)らず・・・何故、榎本は 戊辰戦争を引き起こしたのか・・・。」
「しかも、張本人の 榎本 武揚 に至っては、明治末期まで 権力を持ったまま 人生をまっとうした。 勝 海舟、榎本 武揚 などの幕臣も又・・・心清き者では無かった・・・と言う事です。」
「武四郎は、自(みずか)らが 新政府の欺瞞(ぎまん)を 弾劾(だんがい)する魁(さきがけ)とならなかった事を・・・悔やみ続けたそうです・・・。」

「島さんに・・・申し訳が無いと・・・・。」


「私は、この北海道の地で 島さん、あなたが現れるとしたら・・・ここしか無い、そう信じていました。 私の体に流れる血が、そう確信していたのです・・・。 あなたも 私と同じ想いで、ここへ来られたのではないですか?・・・違いますか?・・・。」




私は、いつの間にか・・・・・彼の話に・・・驚きを持って、飲み込まれていた・・・・・。

昔は、同志・・・・・ しかし、今は・・・・・刑事と 犯罪者・・・・・皮肉な出会いである・・・・・私は、そう考えていた。

「第22章」 松浦刑事の告白・・・。


「まず最初に、結論からお話しましょう・・・・・。」
「内田所長を 殺害したのは・・・島さん、あなたではありません・・・・・。」


私は・・・言葉を完全に、失っていた・・・・・。


「これが、因縁と言うものなのでしょうか・・・東京で、私は あなたと出会ってしまった。 島さん、私は時々、内田耕平の設計事務所を 訪れていたんですよ・・・あなたは記憶に無いかも知れませんが・・・私は 幾度か、あなたを お見かけしていました・・・・・。」
「こう言っても・・・サッパリですよね・・・まず、私と あなたの上司、内田耕平との関係を、お話しましょう・・・。」


「あなたの上司、内田と 私は、中学の頃の同級生でした・・・。 多感な頃で、そう・・・中学3年の春・・・私達のクラス担任が変わりました・・・それは若くて可愛い女性の先生で・・・私は一目で好きになってしまいました・・・しかし、程なく・・・私は その先生の秘密を知る事になったのです。」
「その先生は、同僚の先生と不倫の関係にありました・・・それを知った私は ・・・小さい子供が、好きな子を苛(いじ)めるかのように・・・架空の噂話(うわさばなし)を作り・・・誰とは無く、伝えたのです。 そして、事件は起こりました・・・その先生は、不倫相手を傷つけ、自分は自殺を遂げてしまった・・・。」
「その原因を作ったのが、私であると・・・どこから?知ったのか・・・内田は、それ以降・・・私を脅し続けました・・・・・。」


「中学を卒業後、高校、大学と、彼とは離れ・・・音信不通で、安心していた私の前に・・・彼は突然、現われ・・・古傷を ほじくり返しました・・・・・。」

「その頃すでに、私は警部補に昇進していました・・・しかし彼は、私にこう言ったのです・・・・・お前のお陰で、人生にピリオドを打った人が居ると言うのに・・・お前は懲(こ)りずに、今もまだ、他人の人生を、追い回しているのか??・・・笑えるね!!・・・と・・・。」

「私は、中学時分の記憶が・・・一気に蘇(よみがえ)りました・・・・・。」
「こいつは、又、私を苦しめるつもりなんだ・・・だが?今頃になって現れるなんて・・・こいつの本心は何なんだろうか??・・・・・・・・しかし、すぐにその答えは 彼から返ってきました・・・・・。」
「設計士 兼 デベロッパーとして、成功を収めるために・・・私に、警察の内偵情報の漏洩(ろうえい)を求めてきたのです・・・・・。」
「私は、幼い頃の後ろめたい思いから・・・彼の申し出を承諾していました・・・・・。しかし、こいつに一生付きまとわれるのは・・・ゴメンだ!!!と、いつも思っていたんです。」


「内田の事務所に呼びつけられるたび・・・内田に苛(いじ)められている、あなたを見かけました。・・・その姿に、私は自分を ダブらせていたんです・・・・・。」

「私は・・・あなたに興味を持った・・・」

「私は・・・本人を前にして失礼ですが、あなたの事を調べたのです・・・。驚きました・・・しかし、それと同時に 執拗(しつよう)にあなたに注(そそ)がれる・・・私以外の視線の存在に 気づきました・・・・・。それが、知里さん達だったのです。」
「私は ある日、偶然にも 知里さんを見かけ・・・彼を、呼び止め・・・・職務質問を装って、何故、島さんの周りを嗅ぎまわっているのか 尋ねました・・・。知里さんは、自分の行動が 刑事に見破られていた事を・・・本当に驚いていました・・・。」
「ですが・・・彼の話を聞いて、今度は私の方が驚いた・・・。あなたも ご存知の エゾ共和国の亡霊・・・そして、アイヌの人達の想い・・・私には、到底 理解しかねる内容で、まったく信じられなかった。あまりにも、荒唐無稽(こうとうむけい)・・・今の東京で、こんな話をする人間がいるなんて・・・誰が、こんな話を信じるんだ・・・そんな思いでした。」
「しかし・・・彼の話を 何度か聞いているうちに・・・私達は意気投合するようになっていました・・・知里さんの情熱が、私にも心地よく感じられ出していたのです・・・。」

「話が逸れてしまいましたが・・・、私と あなたとは初対面ではないんです・・・。それから、勿論、札幌で 知里さんと あなたが出会ったのも・・・初対面では無かった・・・・・」

「あなただけが、気付いていなかっただけで・・・すべての計画は、着々と進行していたんです・・・・・。」


計画って??・・・私は、何も知らない・・・一体、何の計画だと言うのか・・・・・。

そもそも・・・私は、何をどう理解してよいのか・・・サッパリ分からなかった・・・・・。

「あなたが この話を理解出来ないのは・・・もっともです。」そう、刑事は話を続けた。

「まずは・・・内田耕平殺害事件を、ひとまず置いておいて・・・それより、ずっと前からの、事実を整理しましょう・・・ずっと昔・・・私達の祖先からの接点について・・・その辺りから・・・お話しましょう・・・・・。」



オイオイ・・・今、起こっている事すら理解出来ていないのに・・・もっと、昔?・・・私は 混乱を通り越して・・・呆(あき)れていた・・・・・。

「第21章」 再会、そして初めての再会?・・・。


ご先祖さまの、想いのこもった街が・・・そこに拡がっていた・・・・・。

ご先祖さまの想いと、夢が詰まった、札幌の街並みを・・・感慨深く、見下ろしている私に 近づく1人の男がいた事に 私は まだ気付いては居なかった・・・・・。



私は、突然の 人の気配に気付き、警戒しながら振り返った・・・・。

観光協会の 知里さんが、微笑みながら・・・私の前に、現れた・・・・・。

本当、予期せぬ展開に、私は ただ驚くばかりであったが・・・彼は私に・・・

「島さん、帰って来られたのですね・・・無事で、何よりでした・・・・・。まずは、トランシーバーを返していただけますか?・・・あれは、私の私物ですので・・・。それから、すべては弟から聞きました・・・アッ!言い忘れてましたが、あなたのお世話をしていたのは、私の弟です・・・・・。」
「私は・・・あなたの決断を、尊重しますよ・・・。」
「私達一族は 遥か昔から・・・あなた方一族を 見守り続けてきました・・・。ご存知ではないでしょうが・・・気付かれないように、守って来たんです。 しかし!あなたは 判官さまに 実に良く似ていらっしゃる・・・。正義感が強く、優しい心の持ち主です・・・。しかし・・・今回は、東京で 間違いを犯してしまいましたね・・・・・。」

「あれは・・・突発的な出来事で、私も お救いする事が出来なかった・・・。死体の処理だけはしましたが・・・無駄だったようです。 結果、あなたの立場を悪くしてしまった・・・申し訳ありません・・・・・。」

何を言っているのだ?・・・私は混乱していた・・・・・。

「私達は、あなたに・・・この土地に来ていただきたかった。お母様とも相談の上・・・計画が順調に運んでいた矢先の出来事でした・・・あの事件は・・・・・。」

「私達は・・・ほとぼりが冷めるまで あなたを森に隠す事にしました・・・。あなたは、大雪山系で遭難し・・・消息不明になる・・・しかし、実際は私達が あなたを匿(かくま)う予定でした・・・。」

「ですが・・・あなたは、森を出る決意をしましたね・・・私達に あなたを 止める権利はありません・・・・。立派な覚悟だとおもいますよ・・・・・。」

私は キツネにつままれた気分で聞いていた・・・・・。やはり・・・トランシーバーの声の主は 知里さんだったのか・・・それ位しか、理解出来ないで居た。

「私も、あなたと同罪です・・・死体の遺棄(いき)をしましたし・・・森で1人・・・殺してしまいました・・・。一緒に罪を 償(つぐな)いましょう・・・・・。」

そう言って、彼は 私に近づいてきた・・・そして突如、森に向かって・・・

「松浦(まつうら)さん・・・居られるんでしょう?・・居るのなら、出て来て下さい・・・・・。」

そう、叫んだ。

私には・・・何が起きているのか・・・これから、どうなるのか・・・皆目、見当がつかなかった・・・・・。

ただ、驚くだけであった・・・・・。

その時、樹木の陰から 見知らぬ1人の男が・・・現れた・・・・・。

彼は ゆっくりと私達に近づき・・・・・

「島さん・・・警視庁の松浦と言います・・・・・。あなたは今、内田耕平 殺害事件の重要参考人として、指名手配されようとしています・・・・・ご存知でしたか?・・・」


私は、薄々(うすうす)そうなっている事であろうと・・・想像はしていた・・・。

「詳しく、お話を伺いたい・・・・・・・・・と、言いたい所ですが、あなたより・・・私の方が、この事件については・・・良く知っているんですよ!・・申し訳ないですが・・・・・。」



私は 突然の刑事の出現に驚き・・・又、その口から発せられる、発言に・・・言葉を失っていた。

何故? 知里さんは・・・この刑事の存在を知っていたのか・・・・・。

この刑事は、何故?私より・・・所長殺害の事を知っていると言うのだろう・・・・・。

「私は、ここに居る 知里さんの 知らない事実も・・・知っているんですよ・・・・・。」


刑事の その言葉に・・・知里さんの顔にも、明らかに驚きの色が、浮かんでいた。

一体、どういう事なのだろう・・・・・私は 松浦と言う刑事の 次の言葉を 待っていた・・・・・。

「第20章」 札幌・・・再び・・・。


私は 再び、札幌に戻った・・・・・。

まずは、サウナ店へ入り・・・シャワーを浴びながら・・・考えていた・・・・・。

刑事に逮捕される前に・・・あの男に、もう一度 会いに行こう・・・・・。

彼の言葉を信じる事で・・・私は貴重な体験をし・・・自分の進む道をも見つけられた。

彼は一体・・・何者なのか・・・知りたかった・・・・・。

早めに昼食を摂(と)り・・・私は、最初に訪れた「観光協会案内所」を目指した・・・・・。

確か?・・・彼の苗字は「知里(ちり)」であったと、思い出していた・・・・・。


カウンターには、彼の姿は見当たらなかったが・・・私は、カウンターに座っていた女性に、彼の事を尋ねてみた・・・・・すると・・・・・

「知里は・・・申し訳ございませんが・・・1週間ほど、休暇をとっております・・・・」

との事だった・・・残念であったが・・・仕方がない・・・・・。

私は 言い知れぬ想いを 胸に抱えて・・・案内所を後にした・・・・・。

これから、どうしよう・・・東京へ戻ろうか・・・それとも、交番に出頭しようか・・・。



しかし、その前に是非、行っておきたい場所があった・・・・・。


先日は 時間の関係で 登れなかった・・・「円山」であった・・・・・。

そこは街中にあり・・・軽装でも登れると、聞いていた・・・・・。

ご先祖が その山頂から・・・札幌の未来に 想いを馳せた場所であると・・・あの「知里さん」に聞いていた・・・・・。是非、登ってみたかった・・・・・。



円山は、地下鉄東西線「円山公園駅」を降りて すぐの所から登るのだそうだ・・・・・。

私は すぐに地下鉄に乗り、大通り公園で 東西線に乗り換え・・・円山を目指した。

「円山公園駅」を降りて・・・円山動物園方向へ行けば良いと聞いていた・・・・・。

私は 裏参道(うらさんどう)と呼ばれている、緩やかに登る その道を 円山の登山口を探しながら歩いた・・・・・。

右手には、ご先祖さまの銅像が建つ 北海道神宮の広い敷地が広がっていた・・・・・。

あまり人は歩いていなかったが、たまたま通りかかった親子連れに 円山の登山口について尋ねてみた・・・・・。

すると・・・「そこですよ・・・目の前・・・」と、快く教えてくれた・・・・・。

指された場所を見て・・・私は 一抹の不安を覚えた・・・・・。

そこは、裏参道の 神宮とは反対側であったが・・・薄暗い。ここは、こんなに燦々(さんさん)と太陽の光が降り注いでいるのに・・・そこは 夕方のように薄暗かった。

広場のようになっていたが、周りに生い茂る樹木のせいで、日が差していない・・・。

人の気配もなかった・・・・・大丈夫だろうか・・・しかし、今の私に恐れるものなど無い・・・・・だが、この不安が的中する事になるなんて・・・この時には・・・深く考えもしていなかった・・・・・。


「奥に見える、小さなお地蔵さんの石像を 辿って行けば・・・山頂に行けますよ・・・」

そう、親切に教えられ・・・私は、登る事にした・・・・・。



登り出してすぐ・・・思っていたより、急な勾配である事に 悩まされた・・・・・。

そして、樹木が深く・・・とても札幌の街中とは思えないほど、静かであった・・・・・。

暫く登ると、わりと緩やかになったが・・・人は相変わらず 見当たらなかった。

でも・・・この路は、130年前に ご先祖さまが歩いた路・・・そう思うと、不思議と勇気と元気が湧いてきた・・・・・もう少し、登ってみよう・・・・・。

それから又、暫くすると・・・崖側(がけがわ)の樹木が切れ・・・札幌の街並みが、眼下に拡がった・・・・・綺麗な景色であった・・・・・。

「第19章」 決意・・・。


たった一人・・・この森で迷った時は、早く この森を抜け出したい・・・と、必死だった。

しかし・・・今は・・・違う・・・。

私は 東京で とんでもない事をして・・・ここへ逃げて来たんだ・・・・・。

内心・・・ここで迷った事を 嬉(うれ)しくさえ思っていた・・・ここで、死ねるかも知れない。

これで現実から・・・本当に逃避(とうひ)出来るかも知れない・・・昨日は・・・そう思っていた・・・・・。

あの、刀(かたな)の男達に 追いかけられるまでは・・・・・。



正論が、正論として・・・受け入れられないのは・・・今も、昔も・・・変わらないらしい・・・・・。



私は東京で、設計事務所に勤務して 7年になる・・・・・。

今年の初めから・・・都市計画を立案するチームの チーフとして、その仕事だけに打ち込んできた。

私にとっては 初めての大仕事・・・張り切って、 都市造りに没頭した・・・・・。

最近になって、やっとプランの目途が立ち・・・私は得意げに、上司に その旨を報告した・・・しかし・・・私のプランは、上司によって すぐに却下された・・・・・。

コストが掛かりすぎて、設計事務所の儲(もう)けが 目減りするから・・・と言うのが理由であった。

だが、住む人達の事を考え・・・この街に住んで良かった・・・と、住人達に思ってもらいたい・・・それが、私の都市造りの理想であった・・・・・。

しかし・・・それでは、ダメなのだそうだ・・・・・。

私は納得がいかず・・・上司に食い下がった・・・でも、それは事態の悪化を招いただけであった。

結果・・・私の居場所は、設計事務所の中で・・・しだい次第に・・・狭(せば)まって行った・・・・・。

挙句の果てに・・・チーフの座も・・・追われた・・・・・。



私達の仕事は・・・夢ばかり追っていても ダメなのだそうだ・・・・・。

経済活動の中に居るのだから・・・充分な利益を生まないプランは・・・「プラン」と言えないらしい・・・・・。

思い余った私は・・・あの夜・・・所長の「内田」に直談判(じかだんぱん)に向かった。

一人、事務所に残っていた「内田」は・・・私が来た事が、迷惑そうに・・・

「青臭い正義感は 捨てたまえ・・・君も若くはないんだから、それ位 分かるだろう・・・」

と、私の顔も見ずに・・・言い放った・・・・・。

腹がたった・・・・・。


深夜の事務所で・・・私は 所長の「内田」に・・・跳びかかっていた・・・・・。

その後(あと)の事は・・・良く覚えていない・・・・・。

しかし、私の下には・・・力(ちから)なく横たわる「内田」が居た・・・・・。

とんでもない事をしてしまった・・・私は、怖くなって逃げ出していた・・・・・。


その翌朝・・・私は 北海道へ来た・・・逃亡者のように・・・。




そんな事を考えていた、私の耳に・・・若者の声が、再び滑り込んできた・・・・・。

「島さん・・・130年前、我々の先祖に理解を示してくれた あなたのご先祖 島 義勇さんを・・・我々の先祖は救えなかった・・・。だから・・・今こそ・・・私達は、あなたを救いたいんです・・・。罪滅ぼし・・・なんです・・・・・。」

私は 言葉もなかった・・・・・。

「本当に、札幌へ戻るつもりですか?・・・札幌では、刑事が待ち構えています・・・。今、戻れば・・・確実に捕まります。それでも、いいんですか?・・・・・。」

この若者は、何故か私の事を すべて知っているようだ・・・・・。

だが、有り難かった・・・心の底から、有り難かった・・・。理由はどうであれ、私の事を見守ってくれている人が居た・・・その事が 分かっただけで有難かった・・・・・。

しかし・・・私はもう逃げないと 決心していた・・・この場所で 朽ち果てようなどと・・・今はもう・・・考えても居なかった・・・・・。

しっかりと自分の行動に 責任を取らなければ・・・・・その想いだけが、私の心を支配していた・・・・・。

私は、私だけの人生を 生きている訳ではない事を知った・・・・・。先祖代々、脈々と続いてきた人生の・・・「今」を担(にな)っているのだ・・・私一人の人生ではない・・・ご先祖さまの想いを・・・私が勝手に、踏みにじる訳には行かない・・・・・。


北海道へ来て・・・良かった・・・そう、しみじみと思っていた・・・・・。

私は その事を 若者に告げ・・・・・森の出口を尋ねた・・・・・。

私はやっと・・・目的地を見つけたのだ・・・自分の意思で・・・・・。


私の話を 黙って聞いていた若者は・・・無言で、出口の方向を指差し・・・そして、黙って・・・森の中へと、消えて行った・・・・・。

私は 再び、一人になった・・・・・。

気がつくと・・・周りはすでに、明るくなりつつあった・・・・・。

若者の指差した方向へ 暫く進むと・・・突然、森が切れ・・・腰までの草原に出た。

私の目には、まだ少し先ではあったが・・・見覚えのある 砂利道(じゃりみち)が映っていた・・・・・。

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