全体表示

[ リスト ]

とある飛空士への追憶

イメージ 1

ガガガ文庫発行    著/犬村小六    イラスト/森沢晴行
美姫を守って、12,000キロ!!

「美姫を守って単機敵中翔破、1万2千キロ。やれるかね?」レヴァーム皇国の傭兵飛空士シャルルは、そのあまりに荒唐無稽な指令に我が耳を疑う。次期皇妃ファナは「光芒五里に及ぶ」美しさの少女。そのファナと自分のごとき流れ者が、ふたりきりで海上翔破の旅に出る!? 圧倒的攻撃力の敵国戦闘機群がシャルルとファナのちいさな複座式水上偵察機サンタ・クルスに襲いかかる!

蒼天に積乱雲がたちのぼる夏の洋上にきらめいた、恋と空戦の物語。 
胸が締め付けられるような淡い想いと、熱いドッグファイトにしびれる、至福な時間を味わえた作品でした。

時は西と東の大国間戦争時代。
敵国に占領されかけた都市から一人の少女を皇都へ、敵のど真ん中を突き抜け無事届けるという、無謀にも思える果てしない挑戦と数奇な運命の中で出会った少女と青年のひと夏の淡い恋物語。

序盤から終盤へと続く敵戦闘機との手に汗握る空中戦は脳内の創造力をフルに働かせて空に舞う戦闘機を思い浮かべながら読むと、文章から伝わってくる緊迫した戦闘風景と何度も訪れるピンチを巧みな操縦で切り抜けるシャルルとファナが短い時間の中でも生と死の狭間に身をおくことで急速に惹かれあっていく過程がとても大胆かつ繊細に描かれていて読み応えがありました。

身分の違う二人の関係を上手く描写されており、それでも何とか「二人に未来を」と願いながら読んでいました。
それがどんなに辛く厳しい道でも、彼と彼女ならすばらしいものへと変ると信じて。
そんな読み手の想いも計算された上で描かれているであろう「甘い」だけの恋物語を演じるのではなく、決して叶わない望みだからこそ強くなる想いとそれに相反する結ばれぬであろう切なさが、あの蒼穹の空の描写とイメージがだぶりうるっときました。

読み終わった後の余韻は複雑な気持が混ざり合っていました。
胸の中がぽっかり開いたような、さびしさ、せつなさもあり、そして空に生きた青年への賞賛と彼の選択を尊敬しつつもどこかで「やって欲しかった」と言う願望にしばらく放心してました。
ラストは後を濁さないあの終わり方が最善であると感じつつも、色々気になるところはありますがすべて読み手の想像でと言うことなのでしょう。

何か大切なものを教えてくれたすばらしい作品でした。(イラストもとてもよかったです)
是非、映画など映像作品として見てみたい物語です。

この記事に

閉じる コメント(2)

顔アイコン

読後感が全くWhenさんと同じでした^^;
できたら短編でも良いですから、彼らのその後というのが読みたいです……
――本当に薄らと臭わせる程度でも良いから、先が知りたかったってのがあります故(爆

2008/3/6(木) 午後 1:29 彼方 返信する

顔アイコン

紙媒体でなくても良いというのが本音で。
新海監督にこれを原作として映像化してもらいたいです。そのときにちょっとしたエピソードが加味されればいうことなしですね。

2008/3/7(金) 午前 11:44 When 返信する

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

開く トラックバック(5)


.


みんなの更新記事