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「それにしても、近くで見たら意外とコンパクトな機体だな」
立花はシンチレーション検出器(放射線量を計測する機器)を機体に近付け、線量を計る。けたましくアラームが鳴り続けている。 「立花整備長、防護服着ないんですか?」 「んな長時間当たるものじゃないからな。それにあれは動きづらい」 しばらく機体を洗浄すると、けたましいアラームは鳴らなくなり、安全値まで線量が低下した。 「よぅし、サヤ。コックピットから出て良いぞ」 サヤが「了解」と言ったのと同時にコックピットが開いた。 「立花整備長、お久しぶりです」 「サヤか、立派になったな。五年前は餓鬼だったがいつの間にか大人に…」 待ってろ、今ステップを持ってくるから、と立花が言い終わったと同時に、サヤがコックピットから飛び降りた。 優に5m以上ある高さから飛び降りてきたサヤは、なにもなかったかのように平然と歩く。 「とりあえず、もう一機降りてくるからこの機体は格納庫へお願いします。立花整備長」 「わ、わかった。サ…金沢中尉の機体を格納庫へ収納!急げよ!」 ―― #7―地球降下作戦― 「如月、30分後再び地球降下作戦を行う。用意はいいか?」 「はい。あと今回はミサイルコンテナ付きでの降下ですよね?」 深山艦長が頷く。 「ミサイル弾頭はMS用だ。種類は対空ミサイルだがな。あと対艦ミサイルもあるが」 「60発中20発を対艦ミサイルに。ハープーンにしてください」 深山は首をかしげたが、考える前に整備士達に命令した。 「あと今回は複座だ。後部には―」 「私が乗ります、如月中尉」 深山艦長の後ろからナギ准尉がぴょこんと出た。 「ナギ准尉…?なぜ?」 「ミサイルを射つならレーダー要員が必要ですよね?それに、この機体たちのオペレータは私ですから」 深山に[長門]へ連絡しているのかと聞いたら、しているみたいだから良いと許可した。 「とりあえず、30分前だからコックピットへ。では艦長、いつか会うときにまた」 「ああ、如月。貴様は面白い奴だ。またいつか会おう。今は貴様を下へ降ろすこと。それが俺たちのミッションだ」 敬礼をし、コックピットへ潜り込む。 ― 「MSは初めてか?」 「訓練では一応乗りました。[一応]ですよ?」 「加速Gは半端ないからな。耐えてくれ」 「分かってます。…ん、第601隊が出ます」 [如月中尉。601隊隊長[大石(オオイシ)タツミ]大尉だ。これより我が部隊は貴様の援護に回る] 無線から大石大尉の渋い声が聞こえてきた。 「大石大尉、敵は一機だけです。しかし気を付けて下さい、相手は―」 [赤い吸血鬼(レッドヴァンパイア)、だろ?分かっている。だからこそ貴様を下へ送らないとダメなんだ] 任せろと言って無線が切れた。 「大石大尉、吸血鬼は生と死を超えたものだ。奴は凶悪だ」 ― [レッドヴァンパイア…アンダーソン。ここは無事だったわ] 「レイ、よく無事だった。例の物は?」 衛星軌道上のデブリ中に密かにある米軍基地。そこに一人の女性―レイと名乗る女性が居た。 [ええ。ゼネラルエレクトロニクス社から例の物は来たわ] MS用の簡易ハンガーが目の前にある。そのハンガーに、白い盾みたいなものが一つと、ライフルが一挺ある。 「GE社はなんと?」 [耐熱シールドは入射角3.5度で効果があるわ。浅いと大気に弾かれ、深いとシールドが燃え尽きる、とね] ヴァンパイアは、そうかと言葉にするとシールドを赤い[ファントム]に持たせる。 [ライフルはエネルギーパック式だから連射可能よ。パックの予備は残念ながら…] 「1パックで10発撃てるんだったか?」 [ええ、10発よ。威力を上げれば弾数が減るけどね] レイと言う女性の話を聞き終わる前に、ライフルを手に持つ。 [くれぐれも無理しないように…無事に帰ってきて] 「さあな。ガンダムは強いからな」 ピピピッとレーダーに光点が7つ映る。 「敵が来た。レイ、俺が戦っている間に離脱しろ」 [わかったわ…無事で] 無線が切れた。 ヴァンパイアは機体を180度回転させ、入口側に機体を向ける。右手にビームライフル、左手に耐熱シールドを持つ。 「獲物は7つ。全て喰らうまでだ」 スロットルを全開にし、一気に目標へと向う。 ― [601配置完了。敵見えません] [ヴァンパイアは怖じ気付いたんじゃない?] 十津川(トツカワ)リュウが笑いながら話す。 「私語を慎め、十津川曹長。ヴァンパイアは傷を負っている。冷静に詰めれば殺れる」 […了解、隊長] 味方の配置は非常にシンプル。ヴァンパイアが来る方向に、如月を守るように配置している。これを抜けるには、上から回るしかない。しかし紀伊の対空防御もある。 「これじゃ手も足もでないだろう?ヴァンパイア―」 一筋の赤い光が友軍機を貫いた。同時に機体が爆散するのが見えた。 「!?渡辺!…くそっ、どこだ!!」 辺りを見渡しても見つからない。どこにも居ない。映らない。 「全機散開(ブレイク)!動け!」 再び赤い光が友軍の、部隊の機体を貫く。 「与良!田中!」 [隊長、敵を詰めます!] 「十津川!待て―」 前に出た十津川が撃たれる。正確無比にコックピットだけを狙っている。 目の前で十津川のReGMが爆発する。 「有馬(アリマ)ユウ…如月の護衛に入れ!」 [隊長は!?] 「ヴァンパイアを引き付ける」 スロットルを踏み、前進する。見えた。赤いファントムが。 このままじゃ勝てない。 「…リミッター解除。ヴァンパイア…!」 ライフルを放つ。ヴァンパイアの赤いファントムは白い尾を引きながら螺旋回避する。 予測して撃ってもデブリを上手く使い、回避する。 「…っ!ちぃ!」 距離5000。近すぎる。 大石はビームサーベルを抜刀する。ヴァンパイアもビームサーベルを引き抜き、近距離戦闘をする。 左には青い地球が見える。これ以上地球に近付けば重力に引かれ、機体は燃え尽きてしまう。 ビームサーベルが激しくぶつかる。リミッターを解除したReGMは、一世代前のガンダム並の性能を引き出すことができる。それは同時に、機体の負荷が大きいと言うことにもなる。 [大石大尉!これ以上機体は持たないぞ!] 「立花…すまない。お前が手掛けた機体を…」 [まだ間に合う…!今すぐ引け!] 「それはできない!」 アラートが鳴り響くコックピット内で、叫んだ。 「今引けば…如月や有馬や紀伊に迷惑を…作戦が…!」 [だから] 立花の無線を切る。 「有馬…」 […隊長!今すぐ援護に―] 「馬鹿野郎!お前は紀伊を、如月を守れ!いいか、俺が居なくなったら、あとは頼んだぞ…」 [隊長!!] 無線を切る。同時に、核融合炉の出力をマニュアルで上げる。 「ふっ…ヴァンパイア、道連れだ…」 核融合炉が出力に耐えきれず、軋む音が聞こえる。それと同時に、機体が一気にヴァンパイアを道連れにし爆発した。 ― [大石隊長ぉぉぉぉ!!!!] 無線から有馬少尉の叫び声が聞こえる。目の前で大石の機体が爆発したからだ。 きっと、大石大尉は意図的に融合炉を暴走させ、爆発させたのだろう。 しかし、道連れにしたかのように見えた爆発に、ファントムは耐えていた。 「嘘…でしょ…あの爆発に耐えれる機体があるなんて」 「きっと、あのシールドだ。ゼネラルエレクトロニクス社の特注耐熱シールドだ。しかも戦闘用だ」 確かにヴァンパイアを見たとき、見慣れないシールドを持っていた。このシールドで爆発から逃げたとしか考えられない。 [隊長の敵(かたき)は俺が―] 「有馬少尉。紀伊の護衛に付け」 [如月中尉!しかし!] 「今お前が行けば、大石大尉は何故自ら散った?お前には紀伊を守らなければならないんだ!だから守れ。紀伊を」 [如月中尉…] 有馬少尉のReGMが徐々に後退していく。 ファントムとの距離はかなりある。沈黙しているうちに、牽制する。 「対MSミサイル10、2秒間隔で撃て」 「り、了解!対MSミサイル2秒間隔で発射します」 後部コンテナからミサイルが2秒間隔で垂直発射される。 「…っ!ヴァンパイアはまだ動くか!」 ミサイルを次々と迎撃しながら距離を詰めてくる。 「こっちは逃げれないからなぁ。けど甘いよ、ヴァンパイア」 機体下部から2発のミサイルを発射。 ガンダムとファントムの間で爆発し、高濃度のビーム撹乱幕を展開する。 「ビーム兵器は使えない。実弾で戦うしかない」 距離10000で紀伊からの援護射撃。レールガンの雨を潜り抜け、ヴァンパイアが近付く。 しかしガンダムはその間に軌道から離脱し、大気圏へ突入体勢をし、大気圏へ突入する。 それに続くようにしてファントムもシールドを前に構え、突入する。 ―― |

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