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ウルルにて

イメージ 1
 私たち母子が豪州3ヶ月を旅してから20年が経過した。
 
 旅も中盤に差し掛かる頃、
 私たちは2泊3日のキャンプツアーを利用してエアーズロックに向かった。
 
 無知は罪なりとは言ったもので、
 エアーズロック、先住民アボリジニにとってのウルルが、
 何たるかを知らない、知ろうともしないまま、
 無知で不勉強だった私は、ただ好奇心、
 ただ中央オーストラリアの大自然に飛び込みたい、
 そんな思いでエアーズロックを目指していたと思う。
 
 登頂口まで行って諦める人がいることに納得、
 緩やかなアプローチなどは存在せず、
 いきなり鎖が必要な急な登りだった。
 
 断念する人が多いもうひとつ原因に
 盛夏40度に及ぶとされる暑さも天気が味方をしてくれた。
 空一面を覆う雲のお陰で、気温も30度前後、
 子連れで急坂を登り切るにはかろうじて可能な朝だった。
 
 「行けるところまで行こう・・」
 
 3歳の子どもとふたり何処まで登れるものか、
 不安を抱えながら子供の手をしっかり握り歩き始めた。
 
 ふと横を見ると、ツアーメンバーの女性が横に立って、
 私が握っていた子供の反対側の手をとって笑顔で彼女が歩き始めた。
 
 今朝あったばかりの人に迷惑をかけるわけにはいかない。
 「ゆっくり歩いていけば私たちだけで行けますから・・」
 私がそう言うと、
 「二人の方がベターでしょ。」
 そう言って、急場を登り切るまで子供の手をずっと引き一緒に歩いてくれた。
 
 ようやく急場を凌いで彼女と別れた後、再びちょっとした急所が現れた。
 
 「今度はほんの数メートルだし、慎重に行けば超えられる範囲かな・・」
 そんな風に考えてると、今度は前方より男性が駆け寄ってきて、
 子供の手や足を取りサポートしてくれた。
 
 それからまた暫く行くと今度は高齢の女性から声をかけられた。
 「こんなリトルクライマーは初めてよ。写真を撮らせて欲しい。」
 
 あの日あの時、
 私たちは、たくさんの人とすれ違い、たくさんの人から励まされ、たくさんの援助を受けて、
 絶対に無理だろうと思っていたロック山頂に私たちは到達した。
 
 断りなく聖地に足を踏み入れたことに、お詫びしたい気持ちと共に、
 でもしかし、中央オーストラリア大自然に触れたことで、
 子連れというハンディを背負って、いやだからこそ、
 今も色褪せることのない思いを私たちは抱えている。
 
 険しくとも決して孤独ではないと。


 
 写真ノート:JUDY NAPANGARDI WATSONデザイン
  ノーザンテリトリー観光協会キャンペーンで頂きました♪
 
 ウルル登頂
  2009年
  俗称エアーズロックは、先住民アボリジニにとって
  限られた聖職者のみ登頂が限られる聖地であることより
  登山禁止の措置が取られた。
 
  2010年
  しかし観光業への配慮から登頂を当面認める旨
  豪首相が決定を下す。

 中学生時代の友人

 同期の誰よりも早くに結婚してから五年目の秋に母ひとり子ひとりで生まれ育った故郷に戻った。
 ある日、友だちが我が家を訪ねて来てくれた。
 久しぶりの再会だった。
 
 彼女のことは別の友人から話を聞いていた。
 勤務先会社では人間関係のトラブルを起こしていた。
 心を病み、神経科に通院していた。
 
 「○○神社で祭りがあるんだよ。」
 中学生の頃に一緒に行った縁日にまた行きたいと彼女は言った。
 子どもが喜ぶからと、
 「そうだね、行こう。」
 と私も頷いた。
 
 他愛ない話をして、彼女は帰った。
 彼女の笑顔は今も忘れない。中学生の頃と何ひとつ変わらず穏やかだった。
 
 二週間後、彼女の父親から、彼女の死を知らされた。
 死因は心臓発作、入院先でシャワーを浴びた後にと言っていた。

 父

  入退院を繰り返す度に母からは
 「相当悪いから。」 と度々聞かされていた。
 しかし多忙を理由に、親不孝な娘は見舞いも疎遠になっていた。
 
 「危ないかもしれない。」
 仕事帰りの夜の病院、娘が病院を訪ねたのは久しぶりで、
 母がたまたま不在だったので、娘はひとり言をポツリポツリと言って帰った。
 
 10年前、くも膜下出血で失った言葉で、父娘で話せる言葉は殆どなく、
 ようやく絞り出した言葉がお腹の辺りを気にして
 「なんだかなぁ・・」
 父はそう言って深く溜息をついていた。
 
 帰宅して就寝後、深夜二時頃に電話が鳴った。
 「お父さんが亡くなったのよ。」
 母からだった。 

 百合の人

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 桜の頃になると一際賑わいを見せる都内でも有名な墓地敷地より上野の森を抜ける、
 緑豊かな散歩道が好きだ。
 
 同じ道を辿るうちに気づいた。

 その墓前にはいつも百合の花が供えられていた。
 今夏、猛暑の中にあっても週一回、花が枯れてしまう前には必ず新しい花が供えれらていた。
 
 ある朝、いつものように百合の墓前を通り過ぎようとすると、初老の男性が佇んでいた。
 「奥さまだったのかな・・暑い中、お疲れさま」
 心の中で呟きその場を通り過ごした。
 季節も変わり秋になった今でも、百合の花は変わりなく墓前に供えられている。
 

 
 父は、友人は、あの日あの時、穏やかな気持ちでいてくれただろうか。
 映画『メッセージ そして愛が残る』を観てごく身近な人の死を思い出していた。
 
 
 写真家の星野道夫さんが好きです。
 
 彼がアラスカで撮った1枚の写真が忘れられない。
  鯨が獲れたという報せを聞いて、
  一人海に向かって、歌い、踊り、泣く老婆の姿がそこにあった。
 
 星野氏曰く、
  アラスカでは、動物も人も変わらない。
  しかし同時に、彼らにとってのマクタック(鯨の表皮)の味の意味は
  商品に囲まれ暮らす僕たちにはわからない、とも。

 楽しみ方も多様化し、ひとりでも不自由しない暮らしにあって
 純粋に生きるということに私たちは鈍感になっているのかもしれない。
 
 私に星野道夫さんを教えてくれた人の言葉が忘れられない。
  自然に対する興味は、人間に対する興味に似ている。
  外部への働き掛けは、やがて自分への内面に関わってくる。



 私が小さい頃に学んだ鯨
  漁は命がけであったこと、、またその鯨には捨てる部分がなく、すべて有効に活用されるというもの、
  子供心にクレヨンにまでなっていることに、妙に嬉しく、また有り難く思ったものでした。
 

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月下美人

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2009.7.25 18:20〜30 開花始まる

イメージ 2
2009.7.25 18:50 

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2009.7.25 19:58〜 満開  

 ある夏の日、サボテンの節から花芽がひとつ現れる。
 日一日と成長した花芽が自らの重みで大きく垂れ下った日の夜に饗宴は始まる。

 都会の日夜電灯が灯る場所にあって、花はどうのようにして時を知るのか、
 太陽が地平線彼方に沈み空の彼方が完全に暗くなる頃を見計らって、
 まるで白い風船のように、花はフワッと膨らみ、夜のうちに萎む。

 漆黒の闇夜に灯る月明りの如く "A Queen of the Night(英名)" 一夜限り、ゆえに儚く美しい。




 "シンビジュームは放っておいても咲くのよ"
 欄の花が咲いても、最近ではさして感動した様子のない母も、
 月下美人に限っては、思い入れも大きい様子で、それはそれは小さな花芽を見つけたのも母で、
 "もう少しで咲くわね・・" 変化の様子を毎日のように私に報告してきた。

 "2、3日で咲くわね・・うっかりしてると見逃すわよ" 母が言ったので、
 "じゃあ見逃さないように玄関先に移動しよう" 母の部屋近く玄関先まで鉢を移動した。

 花芽に白みが増して、まさに開花と思われたその日、この日に限って、母は旅に出掛けた。
 それまで続いた雨も嘘のように晴れた週末で、
 "宿が取れなかったら帰ってくるから・・" そういって母は家を出た。

 母の予想通り、その日の夜に花が咲いた。

 母は、旅先で無事に宿はとれたようだ。
 私は、刻一刻と変わる花の姿を見逃してはいけないと、
 鉢を玄関先から自分の部屋に移動して、夏の夜長、ひとり花を愛でていた。



原産:メキシコ熱帯雨林地帯、サボテン科
野生状態で受粉を担うは小型コウモリ、開花時に漂う蜜の香りも甘く芳しい。

環境に由来する生理状態の履歴に依存してつぼみ形成、開花するとされる。
生育状態によって年に二度咲くこともあるが
我が家の月下美人は年に一度、盛夏のころに毎年、花を咲かせる。

moon bell

西新宿 雨のち快晴

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雨上がり、今朝は空気が澄んでいた模様。

向い側に京王プラザホテル
日の出より約1時間遅れて都庁にも朝陽が昇ってきます。




2009/6/7am Special Thanks>y

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