指の斥候たち

験なき物を思はずは 一坏の濁れる酒を飲むべくあるらし

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平成最后の日

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 平成時代もいよいよ今日で終わる。 TVでは壮大な祭りでもあるかのように大騒ぎしているが、大騒ぎする理由が全くわからない。 たんにカレンダーが一枚替わるだけではないかと妙に冷めている自分がいる。
 
 自分なりに思い返すと、平成の三十年間は今まで生きていた人生の半分以上を占めるのだが、思い出すのは学校に通っていた頃、つまり昭和時代の思い出ばかりである。

 高校を卒業して社会に出てほどなく時代が昭和から平成になったわけだが、二十代から今の五十代まで、一般的な人生ならその間に結婚をして所帯を持ち子育てをして仕事も頑張ってと充実したものになるのだろうけど、自分の場合仕事だけでその他は全く身につかなかった。 まあそれも人生なので反省もしなければ後悔もしていない。

 最近はなにをするのも一人だ。 たまに友人と飲みに行くことはあるが、ほとんどの場合飲みに行くのは一人、遊びに出かけるのも一人、先日久しぶりに高校時代の友人に会ったときにキャンプの話になり、デイキャンプで一人で出かけて料理を作ってビールを飲んで帰ってくるんだという話をしたら、めちゃくちゃ大笑いをされた。 なにが可笑しいのか全く理解できなかったが、おそらく彼にとってキャンプ=大勢で賑やかにやるもの、ということなのだろう。 たしかに以前は大人数でワイワイとやったものだが、最近はそういうのが全く苦手になった。 こうして一人、また一人と友人が離れていったのかもしれない。 今まで付き合った女の子とは全てうまくいかなかったが、自分のこういう考えを微妙に感じ取っていたのかもしれないな。 人間関係の 「 和 」 を保つということは、自分にとって一番難しいことなのかも、と思う。
 
 明日から年号は 「 令和 」 である。 首相談話によると、新年号には 「 一人ひとりが明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる、そうした日本でありたい 」 という願いが込められているという。 年号が替わったからといって自分の生活になにか変化が起きるとは思わないし、変化をしようという意気込みも無いのだから大きな花が咲くことはないだろう。 相も変わらず週末になれば興味の惹かれる場所に出向いて居酒屋で一杯飲んで酒肴を楽しんで帰ってくるだけだ。
 
 聖徳太子は 「 和を以て貴しとなす 」 と仰られたが、日常生活に 「 和 」 のほとんど無い自分には縁遠い言葉である。 新年号の 「 令和 」 は、語感の響きも良く個人的にはとても良い年号だと思っているが、居酒屋のカウンターで賑やかに談笑するグループや楽しそうなカップルたちを眺めながら一人グラスを傾けていると、和やかさに欠ける自分は 「 令和 」 が 「 零和 」 と思えてしまう 平成最后の日 であった …
 

 

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