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巨星墜つ



  20世紀を代表する偉大な俳優、クリストファー・リー氏が 7日に 93歳で亡くなられました。 若い方は 「 スター・ウォーズ 」 や 「 ロード・オブ・ザ・リング 」「 チャーリーとチョコレート工場 」 などを挙げるかもしれませんが、私らの年代だとやはりハマー・プロの 「 ドラキュラ作品 」 や  「 007/黄金銃を持つ男 」 のスカラマンガなどが真っ先に浮かびます。
  
 出演作品は 250本を数え、これはギネスブックにも記されているといいます。 ハマー・プロの 「 フランケンシュタインの逆襲 」 でのモンスター役で注目を浴び、のちの 「 吸血鬼ドラキュラ 」 は世界中で大ヒットとなり、ドラキュラ=クリストファー・リーといわれるほどの人気を博しました。 その後 50年以上にわたってさまざまなジャンルの作品で演技をこなし、まさに 20世紀を代表する名優となりました。
 
 今頃は天国で、朋友のピーター・カッシング氏やヴィンセント・プライス氏らと、懐かしい思い出話に浸っていることでしょう。
 
 氏の功績を讃え、一ファンとしてご冥福を祈りたいと思います。 合掌
 
 
 スター・ウォーズ エピソード I / ファントム・メナスの 3D版が公開されていたが、とくに興味もわかなかった( 2D版で十分 )ので観に行こうとさえ思わなかったが、作品中の登場人物に、バローラムという銀河共和国の政治家がいた。 通商連合による惑星ナブーへの妨害行為を終結させるべく、二人のジェダイ・ナイト、クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービを連合の総督の元へ派遣したのがこのバローラムで、この役は英国の俳優テレンス・スタンプが演じていた。

 先日、テレンス・スタンプが主演し、カンヌ国際映画祭 男優賞を獲得したウィリアム・ワイラー監督作品 「 コレクター 」 を連れが映画チャンネルで録画したというので観る機会を得たのだが、これまた奇怪というか陰湿な作品で、蝶の採集が趣味のうだつのあがらない銀行員が、宝くじに当選して地下室つきの豪邸を手に入れたことから、女子大生を誘拐し地下室に監禁、いたずらをするわけでもなく、ただ自分の描いたストーリー通りに彼女が振舞って自分を気に入ってくれることを望むという、ゆがんだ精神の持ち主である孤独な男の倒錯した愛情を描いた物語であった。

 映画はなかなか面白く( この場合の面白いというのは、笑えるとかそういう意味ではなく、ホラー/スリラー映画的に楽しめるか否かであることをお間違えなく )、テレンス・スタンプの狂気を帯びた演技は実に素晴らしいものだった。 テレンス・スタンプの出演作として、エドガー・アラン・ポー原作のオムニバス・ホラー 「 世にも怪奇な物語 」 がある。 第一話はジェーン・フォンダ、ピーター・フォンダ姉弟、第二話がアラン・ドロンにブリジット・バルドー、そして第三話がテレンス・スタンプ主演の物語という非常に豪華な作品だが、この作品においてはアルコールに溺れる俳優を演じていたのだが、これがまた実に素晴らしく、この人は演技でなく地でやっているのではないかと思ったほどだった。 この第三話の監督はフェデリコ・フェリーニ、音楽はニーノ・ロータである。

 連れが映画のコーナーをもっと充実させろとことあるごとに催促し、またネタ提供と称してあれを観ろこれを観ろといろいろ薦めてくれるのだが、願わくば一日が 24時間でなく 45時間くらいあったら毎日でも更新してやりたいと思ってはいるのだが…。 観る時間がなかなか無いにもかかわらず、先日もベラ・ルゴシ、クリストファー・リー、ピーター・カッシング、ヴィンセント・プライスなどの出演する DVD 数本を買い込んでしまった。 この調子でいくと、買って観た DVD よりも買ったけど観ていないものの方が多くなるかもしれない。 まさにコレクターですな。
 
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イメージ 1 ドラキュラ 血のしたたり
 
 原題 : Twins Of Evil
 監督 : ジョン・ハフ
 原作 : ジョセフ・シェリダン・レ・ファニュ
 脚本 : テューダー・ゲイツ
 撮影 : ディック・ブッシュ
 音楽 : ハリー・ロビンソン
 製作 : 1971年 イギリス ハマー・フィルム・プロダクションズ
 
 ■キャスト
 ピーター・カッシング (グスタフ・ヴェイル)
 ダミアン・トーマス (カンシュタイン伯爵)
 メアリー・コリンソン (マリア)
 マドレーヌ・コリンソン (フリーダ)
 デヴィッド・ウォーベック (アントン)
 イゾベル・ブラック (イングリッド)
 デニス・プライス (ディートリッヒ)
 
 
 魔女狩りに執念を燃やす厳格な清教徒と、黒魔術に心酔する墜落貴族との対立を描いた、ピーター・カッシング出演の吸血鬼映画。 吸血鬼に翻弄される双子の姉妹には、米プレイボーイ誌 1970年プレイメイト・オブ・ザ・マンス・イン・オクトーバーに選ばれた美人姉妹が熱演。

■ストーリー
 中世のとある地方。 信心深い人たちの住む村では、清教徒グスタフ・ヴェイルをリーダーに、夜ごと魔女狩りと凄惨な火炙刑が行われていた。 規律や風紀を乱す者は、これすべて悪魔の仕業であると信じてやまないグスタフのもとに、姪で両親を亡くし 19歳になる双子の姉妹マリアとフリーダが、身寄りを求めてやってくることになった。 双子とはいえ性格は対照的、清楚で貞淑なマリアに対しフリーダはスリルと刺激を好む奔放な性格。 グスタフ叔父の家に向かう途中、山頂に建つ悪名高き貴族カンシュタイン伯爵の城を見つけると、フリーダは伯爵に見初められることを望むようになった。 しかし、厳格なグスタフ叔父が邪悪の根源として忌み嫌う伯爵に近づくことを許すはずはなかった。
 二人は姉弟で教師を務める村の学校に入学する。 音楽教師で弟のアントンは奔放な性格のフリーダに好意を抱いた。 だが、アントンと彼女の叔父グスタフとはお互いの信仰の方法を巡り反目する仲にあった。
 ある夜、カンシュタイン伯爵の館で生贄を供した黒魔術の儀式が行われていた。 生贄の流した血から、他界したはずのミルカーラ・カンシュタイン伯爵夫人が甦ってしまう。 この夫人こそ恐ろしい吸血鬼であり、伯爵はかつての愛妻との抱擁のさなかに首筋を噛まれ吸血鬼にされてしまう。 伯爵に会いたい一心で深夜にベッドを抜け出し館に訪れたフリーダも、彼の毒牙にかかり吸血鬼にされてしまう。 そしてこの日を境に、村では首筋に傷のある犠牲者が続出する。
 グスタフを中心に僧会が開かれ対策を講じているさなか、見張りの教徒の悲鳴が響き渡った。 そこには吸血鬼と化したフリーダの姿が。 グスタフはフリーダを捕え監禁する。 だが、フリーダを取り戻すために、カンシュタイン伯爵は恐ろしい策略をもっていた…。
 
 
 まずは本作の原題と邦題について。 「 Twins of Evil 」 が原題であるが、直訳すれば 「 悪魔の双子 」 である。 いったいどこをどうすれば 「 ドラキュラ 血のしたたり 」 などという邦題になるのだろうか? ドラキュラの名を冠していながら、本作はブラム・ストーカー原作の 「 吸血鬼ドラキュラ 」 とはまったく関係が無い。 本編には登場はおろかドラキュラという言葉さえも出てこないのだ。 本作は、シェリダン・レ・ファニュ原作の 「 吸血鬼カーミラ 」 からインスパイアされた作品であるが、ストーリーはこの原作に沿ったものではなく、映画用に創られたテューダー・ゲイツのオリジナルである。

 米国では 1972年 6月に公開されているが、そのときのタイトルは 「 Twins of Dracula 」 であった。 その他ヨーロッパ各国でも概ねこのタイトルが各国語に訳されており、種村季弘著 「 吸血鬼幻想 」 の巻末に記載されている吸血鬼映画一覧によると、日本公開時も 「 ドラキュラの双子 」 になっている。
 IMDb のサイトによると、英国でもいくつかのタイトルが存在したようである。 初期の段階では 「 The Virgin Vampires 」 というタイトルになっており、「 The Evil Twins 」 というタイトルや 「 The Gemini Twins 」 なども候補に挙がったようだ。 結局、「 Twins of Evil 」 に落ち着いたわけだが、宣伝用と思しきポスターには 「 Twins of Dracula 」 が用いられたようで、悪魔の双子というタイトルでは吸血鬼映画としてのインパクトに欠けるとでも思ったのか、広く大衆に認知されている吸血鬼=ドラキュラ伯爵の名を用いることによって興行成績を上げたいと願う配給側の自信の無さが垣間見えるようだ。

 それはともかく、邦題の 「 血のしたたり 」 はどこからもってきたのだろう? 1970年頃に英国アミカス・プロが製作し、クリストファー・リー、ピーター・カッシング、イングリッド・ピットらハマー・プロの誇る怪奇スターが出演したオムニバス・ホラーに 「 The House That Dripped Blood 」 という作品があり、こちらの邦題は 「 怪奇!血のしたたる家 」 なわけだが、日本の配給会社がアミカス作品から 「 Dripped Blood 」 の部分を拝借して大衆ウケしそうな邦題を勝手に創造してしまったのではと考える。 そのせいで原題と邦題と内容に大きな乖離が生じ、ドラキュラ映画と思って観てみると、いつまでたってもドラキュラが出てこないため、これではドラキュラ・マニアから詐欺と言われかねない。 もし、そのためにこの作品の評価を悪くしているとしたら、非常に残念なことだと思う。
 洋楽のロックやポップスにも言えることだが、センスの悪い邦題は作品の質を貶めるばかりか、心血を注いだ製作者に対する冒涜にもなりかねない。 作品のタイトルはその売上を左右するだけに、重要性は十分承知はしているが、分かりやすさと称して頭の悪い人の目線、すなわちバカ基準でくだらない邦題をつけるくらいなら、原題のままなにもいじらないでほしいと常々思っている。
 
 先にも記したが、主演の双子姉妹は、1970年プレイメイト・ミス10月に誌上初めて双子で選出されたメアリー&マドレーヌ・コリンソン姉妹である。 さすがプレイメイトらしく胸もあらわに見事なナイスバディを魅せてくれるが、ハマー・プロ作品中、本作はとりわけ美人度が高いのも特徴である。 伯爵の愛人ゲルタを演じるルアン・ピータース、若いころのマドンナにもよく似た美人で、ついその爆乳に目が釘付けになるが、カロル・キーズという名でも活躍した歌手・女優である。 かつてピンクレディに 「 ラブ・カウントダウン/恋は秒読み 」 という曲があったが、そのオリジナルを歌ったのがこのルアン・ピータースである。 また、甦ったミルカーラ・カンシュタイン伯爵夫人役のカチャ・ワイス、伯爵ととってもエロティックなちょっと言葉にするのがはばかられるベッドシーンを演じているこのスレンダー美女は、スタンリー・キューブリック監督の 「 時計仕掛けのオレンジ 」 でもヘアもあらわにマルコム・マクダウェルと乱交シーンを演じていた。

 ストーリーはとてもテンポがよく、ひと時たりとも目が離せない。 神の御名のもとに凄惨な魔女狩りを断行するグスタフ。 アントンとの対立の中で、魔女狩りによって人の命を奪うことの正当性について心の葛藤が生じてくるのだが、その微妙に迷う心の動きをピーター・カッシングは見事に表現している。 そしてエンディングではその回答を自ら示すことになるのだが、それはここでは内緒。

 エロティックなシーンに残虐なシーン、ハラハラドキドキの手に汗を握るシーンから、プレイメイトのナイスバディ、ベテラン俳優による締まった演技まで堪能できる、ホラー映画の魅力が凝縮された個人的にはとても気に入っている作品である。 何度も言うが、邦題のドラキュラはまったく関係は無い。 ホントに酷い邦題である。
 
 
 ここ数年、ロードショーを観に行くことがすっかりなくなってしまった。 シネコンが全盛になってから切符の予約購入というのに馴染めず、つまり観たい時に予約で完売満席で観れないことが多々あり、仕事の休みの日が少ない当方としては、思いたったときでないと時間的余裕が作れないため、予約してまで観ることができないのである。 コンサート公演なども同様の理由でほとんど、というかここ 20年くらいコンサートにも行っていない。 最新作はというと、たしか 「 スターウォーズ エピソードIII 」 を最後に行っていないと思う。 そんなに話題になっていない映画なら当日買ってすぐに観れるのだろうけど、そもそも観たい映画がなにも無いのだからしょうがない。
 二番館、三番館興行の二本立て、三本立て上映の映画館も姿を消し、中高生の頃愛読していた 「 ぴあ 」 もなくなり、当方にとって、自宅以外で観る映画環境はすっかり崩壊してしまった。

 慣れている人にはなんでもないことなんだろうけど、まぁそういうことなのですっかり自宅鑑賞派になってしまった。 ビデオテープ時代に比べると、信じられないくらいに廉価で DVDは発売されているし、アタリマエのことだが、用事が入って一時停止しようが、寝っ転がって観ようが誰にも迷惑はかからないし、常識知らずのバカな客から迷惑を被ることも無い。 自宅部屋は一応 5.1chサラウンドの AVシステムにしてあるのでそこそこの音質で楽しめるようにはしてある。

 映画館がイヤになってきた理由として、人が多くまわりの声が耳につく、持ち込んだ食い物の匂いが不快、隣の客のワキガや加齢臭が不快、前の座席のアタマが邪魔、人目をはばからずイチャつくカップルが邪魔、切符の買い方が複雑でよくわからない、以上のような事象に遭遇すると費用対効果の点で著しく損をする、ということが挙げられる。 子供連れなんかいたら最低、コストパフォーマンス以前に金をドブに捨てるようなものだ。
 
 連れは映画検定を受けるほどの映画が趣味で、僕なんかまったく太刀打ちできないくらい邦画洋画に精通しているのだが、その彼女でさえ最近のシネコンにはあまり足を運んでいないようだ。 最新の作品もわずか数ヶ月で映画専門チャンネルや DVDで発売されるので、やはり時間のあるときに自宅でゆっくり鑑賞することのほうが多いようだ。 もっとも呼ばれて一緒に観ていると、ふと横で居眠りをしてたりすることが多いので、映画館に行っても居眠りのせいでお金の無駄、ということが映画館に行かない最大の原因かもしれない。 お疲れなのね…。

 久々にこのコンテンツを更新するので、最近の自分の映画事情を記してみたのだが、昨今は自宅でもなかなか観る時間が少なくていまだに開封していない DVDが何枚もある始末。 それでもまた買ってしまうのだからタチが悪い…。 アマゾンも繁盛するわけだね。

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イメージ 1 吸血鬼サーカス団
 
 原題 : Vampire Circus
 監督 : ロバート・ヤング
 脚本 : ジャドソン・キンバーグ
 撮影 : ウォルター・バイアット
 音楽 : デヴィッド・ホイッテーカー
 製作 : 1972年 イギリス 
      ハマー・フィルム・プロダクションズ

■キャスト
ロバート・テイマン (ミッターハウス伯爵)
ローレンス・ペイン (ミューラー教授)
エイドリアン・コリ (ジプシー女)
ドミニ・ブライス (アナ)
ソーリー・ウォルタース (村長)
アンソニー・コーラン (エミール)
ジョン・モルダー=ブラウン (アントン)
リン・フレデリック (ドーラ)
 
 ハマー・プロお得意の吸血鬼ホラー作品。 疫病の蔓延によって陸の孤島と化した小さな山村と、そこに突然現れた奇妙なサーカス団。 誰も思いつかなかった組み合わせによる異色作。  

■ストーリー
 19世紀初頭、とある国のシュテッテルという小さな村。 村人シュルツの娘ジェニーが、地元の名士ミューラー教授の目前で何者かによってさらわれてしまった。 必死に追ったミューラーは、村の郊外に建つミッターハウス伯爵の城に、女と共に入っていくジェニーの姿を見る。 しかしその女は、行方不明となっていたミューラー教授の妻アナであった。 ジェニー以前にも村の少女たちが次々と消えるという事件が起こっており、また、伯爵は吸血鬼ではないかという噂も流れていたことから、すべての凶行は城主である伯爵の仕業とみて、村長とミューラー教授を先頭に村中の男たちが城を襲撃、ついにミッターハウス伯爵の胸に杭を打ち込むことに成功する。
 引きずりだされたアナは、吸血鬼に魂を売った女として城とともに焼き払われてしまう。 だが伯爵は死の間際に 「 村中の子供たちを殺し、必ず復讐してやる… 」 と不気味な呪いをかけ、そしてアナには 「 従兄弟のエミールがサーカス団にいる。 エミールを探し出し指示を仰げ… 」 と言い残して死んでいった。 アナは燃え盛る城に地下道を見つけ脱出した。
 落城から 15年後、シュテッテル村には原因不明の疫病が蔓延し、村人が一人また一人と死んでいった。 村は隔離され、町との行き来も制限され薬の入手もままならない。 村人の間には忌まわしい 15年前の記憶が蘇る。 ミッターハウス伯爵の呪いではないか、という噂が立ち始めたころ、ジプシー女の率いる奇妙なサーカス団がやってきた。 サーカスの曲芸は、疫病と死の恐怖を一時は忘れさせてくれたが、この一座こそ、この村の子供たちを皆殺しにし、伯爵の怨みを晴らすためにやってきたアナとエミール、その手下たちであった…。 
 
 
 本作は、吸血鬼をモチーフにした作品であるが、吸血鬼ドラキュラとはなにも関係は無い。 小さな山村が舞台というのはお決まりでいいとして、吸血鬼映画としては異色なサーカス団が登場するというところが面白い。
 登場人物が多いが、それぞれの役柄がわかりやすいこと、舞台がコンパクトなこと、テンポがいいこともあってあっという間にエンディングを迎えることができる。
 
 DVDの説明にはセルビアのシュテッテル村とされているが、登場人物のほとんどがドイツ人に多く使われる名前なのでセルビアという設定には疑問が残る。 また、字幕の一部にも誤りがありなんだかなぁという感じがしないでもないが、株式会社ウェストブリッジの発売するこの DVD、たったの \ 525 なので文句は言えまい。 日本語盤として発売してくれるだけでありがたいと思わなくては。
 
 子役俳優が多く出演する映画ではあるが、エロティックなベッドシーンあり、ほとんどスッポンポンの女優にボディ・ペインティングといういでたちでの激しいダンスシーンあり、スプラッター・ホラーもビックリの凄惨な惨殺シーンあり、おまけに見るもおぞましい腐乱死体ありで、現在の目で観るととてもこんな映画は子供には見せられるものではないと目くじらを立てる向きもあろうかと思われるが、1970年頃の倫理観なんてだいたいこんなもの。 現在は神経質になり過ぎていると思う。 
 
 サーカス団のメンバーに、いつも手回しオルガンを演奏している怪力の大男が出てくる。 「 フランケンシュタインと地獄の怪物 」 では、恐ろしいモンスター役を 「 時計仕掛けのオレンジ 」 では、暴行され妻を亡くし、自身は半身不随となる作家の用心棒役として知られるデヴィッド・プラウズという俳優、といってもピンとこないかも知れないが 「 スターウォーズ 」 のダースベイダー卿を演じた人といえば、あぁ〜あの人、となるかもしれない。 が、常にあの黒いマスクを被り素顔も出していないし、声も別の人による吹き替えなので、やっぱりピンとこないかも。

 
 夏といえばホラー映画、というのもいかにも昭和的な思考かな、とは思うが、やはりこの時季は怖い映画でも観てすこ〜しでも背筋を冷やして涼をとりたいと思うもの。 しかしながら、気持ち悪いからと局への苦情が多いのかそれとも青少年とりわけ若年層への悪影響を懸念するのか、最近はあまりテレビでも放映しなくなってしまった。

 少し前のニュース記事で、一時はハリウッドでリメイクされるほど世界を席巻した和製ホラー映画も、昨今は飽きられてしまったのか見向きもされなくなってしまったという記事を見た。 怖い画像、モンスターや気色の悪いシーンをこれでもかと見せつけるのが海の向うの方法論だったが、我が国のそれはドバッと見せる恐怖よりも、はっきりと見せないで心理的恐怖を煽るのが特徴で、欧米にはないスタイルがウケたのだが、やはり乱発が祟ったのだろう、背筋も冷やしたがブームも急速に冷えてしまったようだ。

 僕自身はあまり邦画は観ないのだが、個人的に邦画ホラーの最高峰といえばやはり天地茂が民谷伊右衛門を演じる 「 東海道四谷怪談 」 だと思う。 敬愛する作家故澁澤龍彦氏ももっとも恐ろしいホラー映画のひとつに選んでいた。 りんぐだらせんだなんとかだといっても、昭和世代には(といってもこの作品は僕の生まれる前の作品ではあるが)、東海道四谷怪談のほうが恐ろしいのである。

 同様に、洋画でもさまざまなホラー映画があるが、古いとかダサいとかチープとか演技下手とかストーリー破綻してるとか終わってるとかサンザン言われたとしても、ハマー・プロのホラーが最高なのである。 それは、もはやありえないとか考証が違ってるとかマンネリとかラスト15分だけ見れば十分とか入浴シーンだけでいいとかサンザン言われてもなお時代劇の最高峰として崇められている水戸黄門と同じような理由だと思う。

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イメージ 1 ドラキュラ 血の味
 
 原題 : Taste The Blood Of Dracula
 監督 : ピーター・サスディ
 脚本 : ジョン・エルダー(アンソニー・ハインズ)
 撮影 : アーサー・グラント
 音楽 : ジェームズ・バーナード
 製作 : 1970年 イギリス ハマー・フィルム・プロダクションズ
 
 ■キャスト
 クリストファー・リー (ドラキュラ伯爵)
 ジェフリー・キーン (ウィリアム・ハーグッド)
 リンダ・ヘイドン (アリス・ハーグッド)
 アンソニー・コーラン (ポール・パクストン)
 イズラ・ブレア (ルーシー・パクストン)
 ジョン・カーソン (ジョナサン・セカー)
 ラルフ・ベイツ (コートリー卿)
 ロイ・キニア (ウェラー)
 
 ハマー・プロのドラキュラ・シリーズ第五弾。 当初は、当時アメリカでは最も人気のあった怪奇俳優ヴィンセント・プライスを起用する予定であったが、予算の都合でお流れになったという経緯を持つ。
 
■ストーリー
 東欧のとある国、イギリスから骨董品の仕入れをしながら各地を巡っていたウェラーは、ドラキュラ伯爵の断末魔の叫びを聞いてしまった。 伯爵は真っ赤な血の灰と化す。 ウェラーはその場から灰と遺品を持ち去った。
 数年後のロンドン。 町の有力者でもあるウィリアム、サミュエル、ジョナサンの仲間三人は、家族に対しては謹厳実直な男たちであったが、その裏で淫靡な刺激を求めるという放蕩的な二重生活を送っていた。 この日は怪しげなクラブで好色な遊びに耽っている最中に、若い没落貴族の子孫コートリー卿に現場を見られてしまった。 コートリー卿はここで取引を申し出る。 ウェラーの骨董屋で高額のついたドラキュラ伯爵の血と遺品を三人に買わせ、ドラキュラ伯爵復活の儀式を行うというものだった。 三人の躊躇も好奇心に負け、取引を承諾する。 四人は町外れの廃教会に集まり、そして怪しげな呪文とともに儀式は始められた。
 儀式の最中で、杯に血の灰を入れコートリーの生き血を混ぜると、それは真っ赤な液体になった。 コートリーがそれを飲むと急に苦しみだす。 恐ろしくなった三人は、コートリーを殴り殺し、一目散に逃げ出した。
 だが、死んだコートリーの身を借りて、ドラキュラ伯爵は復活したのだった。 恐るべきことに、コートリー卿はこのドラキュラ伯爵の秘めた弟子だったのだ。 伯爵は惨殺された弟子の復讐を誓う。 伯爵の魔の牙は、三人のみならず、三人の息子や娘たちにも伸びていく…。 


 前作 「 帰ってきたドラキュラ 」 の続編である本作は、善と悪、光と闇といった背反する事象がテーマになっている。 キリスト教の原理もこの善悪二元論が下敷きになっているわけだが、本作や、本作の元になったブラム・ストーカーの小説も、世界中に吸血鬼伝説が存在しても、キリスト教を信仰する国でなければこのようなストーリーは作ることができないであろう。

 本作はストーリーもよく練られていて、テンポが非常によく冗漫さは感じられない。 登場人物は割と多いほうだが、相関関係がシンプルなため混乱することはない。

 恐怖映画としてみても、ショッキングな殺人シーンや、上記のドラキュラ伯爵の復活の儀式のシーンなど、非常に恐ろしいシーンが散りばめられていて見応えがある。 バックに流れる音楽も、いつものバーナード調というか、焦燥感を募らせるようなアップテンポの曲ではなく、シーンを邪魔しないような効果的なスコアに仕上がっている。 それだけに物足りないと思う人もいるかもしれないが、フレーズの一部は、ハマー・プロ製作の作品紹介ビデオのテーマに使用されるほど、印象に残る曲である。

 俳優陣も、多くのベテランが演じるためとても安定感がある。 中でも、没落貴族の子孫を演じるラルフ・ベイツの演技は素晴らしい。 特徴のある口元演じる不敵な笑い、独特の台詞回しなど、他のハマー作品 (ジキル博士とハイド嬢など) でも観ることができるが、本作では登場シーンは決して多くはないものの、この人が出てくるだけでピリピリとした緊張感が漂ってくるようだ。 ファンなので悪くは書かない。 しかしこの人も映画、TVなど多くの作品で活躍し、円熟味も増して俳優としてもこれから、というときに病のため帰らぬ人となってしまった。 わずか 51歳の短い生涯であった。

 ドラキュラ伯爵を演じるクリストファー・リーも、本作は台詞も少なめだが余裕の演技で魅せてくれる。 数あるドラキュラ作品の中でも、最も官能的な吸血シーンが観れるのも本作である。 あまり有能とはいえない刑事役に、ハマー作品ではおなじみのマイケル・リッパーも。

 女優陣も、アリスを演じるリンダ・ヘイドンをはじめ、怪しげなクラブのダンサーや売春婦たちの豊満な胸元と太腿とお尻につい目を奪われてしまうが、それはそれとしてルーシー役のイズラ・ブレアなど美人度も高く、あらゆる点でもお勧めできる作品だと思う。

 
 勢い勇んで開始したこのコンテンツ、しばらくぶりの更新となってしまったが、やる気がなくなったのではなく、やることが多すぎて手が回らないという状況になったからである。 仕事が終わって自宅に戻り、映画を観るための約二時間をなかなか確保できない。 性格上 「 〜しながら 」 ということができないため、集中できないものは後へ後へと追いやられてしまうのである。 購入してもまだ封を開けていない映画作品がだんだん積まれていく光景は、買ってきても作らない積んどくモデラーの面目躍如たるデジャヴである。 なにごとも暇を見てコツコツ続けていかないとならないことは百も千も万も承知ではあるのだが…。

 昨年あたりから、あの名作やあの話題作といった DVDが、一本 1,000円という破格値で販売されていて、VHSビデオ全盛時代を知る私ら世代にとっては、まるで夢のような時代になった。 ブルーレイディスクも昨今はディスカウントが盛んで、かなり割安感を感じるようになってきたが、VHSや DVDでは発売されていたレアな作品も、ちゃんとブルーレイに置き換えられるのだろうか非常に気になるところである。

 また、ハマー・フィルム・プロダクションの作品には、米国ではすでに発売されているのに国内盤が未発売のものも多く、今か今かと待っているような状況なのだが、国内の景気を鑑みると、今後ブルーレイで発売されることは困難のような気もしてくる。 他国では発売されているのになぜ国内盤が出せないのかこちらの業界の仕組みには疎いのでよくわからないが、ハマー・プロの公式サイトにある作品リストを眺めては溜息をつくのもだんだん飽きてきた。 手っ取り早いのは、こちらが字幕を必要としないくらい英語に堪能になれば何も悩まずに済むのだが…。

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イメージ 1 帰ってきたドラキュラ
 
 原題 : Dracula Has Risen From The Grave
 監督 : フレディ・フランシス
 原作 : ブラム・ストーカー
 脚本 : ジョン・エルダー
 撮影 : アーサー・グラント
 音楽 : ジェームズ・バーナード
 製作 : 1968年 イギリス ハマー・フィルム・プロ
      ダクションズ
 
 
 
 

■キャスト
クリストファー・リー (ドラキュラ伯爵)
ルパート・デイヴィーズ (アーネスト大司教)
イワン・フーパー (神父)
ヴェロニカ・カールソン (マリア)
バリー・アンドリュース (ポール)
マイケル・リッパー (マックス)
バーバラ・ユーイング (ジーナ)
 
 ハマー・プロ四作目のドラキュラ映画となる本作は、前作 「 凶人ドラキュラ 」 の続編というストーリーになっている。 主演はもちろんクリストファー・リー、彼の毒牙に狙われるヒロインは、ハマー・プロのドラキュラ作品の中でも屈指の美人度を誇るヴェロニカ・カールソンが演じている。

■ストーリー
 東欧の某国、人々に恐怖と災いをもたらした吸血鬼ドラキュラ伯爵が葬られてから一年。 惨劇の舞台となった小さな村には平和が戻ったかのように見えた。 しかしある日、教会の鐘に血まみれで宙吊りにされた若い女の惨殺死体が発見される。 あろうことか首筋には血を吸われたと思しき二つの牙のあとが…。 この事件以後、教会の神父は自暴自棄となり勤めを放棄し酒に溺れるようになっていった。 主を失った教会は荒れ、村人も信仰心を失って次第に荒んでいった。 事態を重く見たアーネスト大司教は、いつまでも纏わり憑く忌まわしき吸血鬼伝説から村人の信仰心を取り戻すため、悪魔祓いの儀式を行うべく神父を伴って山の頂のかつて伯爵の住まいだった古城に向かった。 儀式は無事に済ませたのだが、途中で力尽きた神父が足を滑らせて崖から転落、負傷し流血した場所は、あの滅びたはずのドラキュラ伯爵が眠っていた場所だった!
 神父の傷口から流れ出た血によって蘇生したドラキュラ伯爵は、神父を下僕として意のままに操り、再び村を恐怖に陥れる。 そしてその毒牙は、アーネスト神父の一人娘マリアに向かう。 恋仲のポールは、マリアを救うためドラキュラ伯爵に毅然と立ち向かうのであった…。


 タイトルの 「 帰ってきた〜 」 というのは、ヨッパライありウルトラマンありで、21世紀にもなってしまうといかにも陳腐なものに感じてしまうが、原題の 「 Dracula Has Risen From The Grave 」 を直訳してもあまり気の利いたタイトルにならないのでこれ以上のツッコミはやめておこう。
 
 ストーリーは、細かな設定の部分ではブラム・ストーカーの原作に則ってはいるものの、本作では英国からヨーロッパへの移動もなく、ひとつの村で完結していることからコンパクトでわかりやすい。 またテンポがいいので最後まで息をつかせない作品に仕上がっており、一部ではマンネリの始まりと酷評される向きもあるが、僕自身はまったくそんなことは感じないハマー・プロのドラキュラ作品でも三本の指に入れてもいい秀作である。

 ショッキングなシーンや伯爵のサディスティック且つエロティックな魅力が数多く散りばめられており、ヒロインのマリアの美しさも相まってとても見所の多い作品だ。 マリアとは恋仲でマリアを救うべく伯爵に立ち向かう青年は、ブルジョワ階級の紳士でもなんでもない村のパン職人の見習いで、マリアに対して一途な故に肝心なところでドジを踏むいうのも、庶民からすると感情移入がし易くつい自分自身を投影したくなる。

 前作 「 凶人ドラキュラ 」 ではただの一言も台詞のなかったクリストファー・リーだが、本作では悪魔の響きのような低い声を披露してくれている。 字幕を読む限り伝わってこないのだが、最初の犠牲者となる酒場の女ジーナとの会話にややコミカルに感じた部分があったが、作品の印象を壊すようなものではない。

 大司教役のルパート・デイヴィーズの円熟味のある演技が作品を引き締める。 また、オープニングの教会の鐘から逆さまに宙吊りになった血まみれの女におののき、以降言葉が喋れなくなる少年も、ストーリーからは無視されがちだが素晴らしい演技をしている。

 音楽は前作から引き続きジェームス・バーナードが担当。 美しくも恐怖の旋律はあいかわらず素晴らしい。 前作からの続編という設定だが、前作を見ずともこの作品単体でも十分にハマー・ドラキュラ映画の魅力を堪能できるだろう。

 

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