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ワーグナー
1.歌劇<ローエングリン>より第一幕への前奏曲
2.歌劇<タンホイザー>より序曲
3.歌劇<オベロン>より序曲
シューベルト
4.交響曲第8番「未完成」
エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮
レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団
CD・ステレオ・録音:1977年9月27日(1・2)、10月12日(3〜5)、東京文化会館大ホール、実況記録録音
MRAVINSKY in Japan Live Edition
キングインターナショナル ALT053
このCDの圧巻は、シューベルト「未完成」でしょう。
第1楽章
冒頭、弦のギリギリの弱音からして只ならぬ気配。弦に比して木管はやや強めに奏させることで、虚無的なまでの孤独感を漂わせるのです。魔術に掛けられた様に、思わずその世界に引き摺り込まれてしまいます。透徹した弦の美しさも無類で、幽玄の響きは夢と現実の狭間を彷徨うシューベルトの心を想わせます。
一方、意外なところでかなり思い切ったアクセントで気迫の強音を響かせる等、独自の視点から再構成された「未完成」ですが、有無を言わせぬ説得力を持っています。しかし、このオケのダイナミクスの幅は凄まじいものです。最強音でも普通のオケならこの辺で留まるであろう処が、更にその上が何気に出てしまうというレニングラード・フィルの力量には、真に感嘆させられます。
第2楽章
開始から背筋がゾクゾクする様な緊迫感が底流を流れ、オケの響きは壮絶なまでに悲壮感を高めていきます。それでいてムラヴィンスキーは、いつも冷静に音楽の内面を凝視している感があるのです。極めて完成度の高い演奏が繰り広げられます。
冷徹と燃焼が交錯する「未完成」、ムラヴィンスキーの芸術。
個人的には、クナッパーツブッシュ指揮・ベルリン放送交響楽団の演奏(1950年)が何よりお気に入りなのですが、このムラヴィンスキー盤も5本の指に入る名演だと感じます。
音質も、前回記事のモーツァルト39番よりは良いです。
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