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モーツァルト・レクィエムニ短調K.626
ブルーノ・ワルター指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック
イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ)
ジェニー・トゥーレル(アルト)
レオポルド・シモノー(テノール)
ウィリアム・フィールド(バス)
ウェストミンスター合唱団(ジョン・ファインリー・ウィリアムソン合唱指揮)
(CBS SONY 15AC662)録音:1956年3月10、12日モノラルLP
ワルターは一見柔和でロマンティスト、時にテンポがないとか批判されていますが、内面は非常に厳しい人ですね。
ワルターは、1947年から1949年までニューヨーク・フィルの音楽顧問でしたが、これはその後の録音です。(別途、記事にしたミトロプーロスが、ワルターの後、同オケを引き継ぐことになるのです。)
晩年のコロムビア交響楽団との演奏も立派(特にマーラーの「巨人」やベートーヴェンの「田園」)ですが、ニューヨーク・フィルやウィーン・フィル、ベルリン・フィル等を振ったものも素晴らしく、素直に心に滲みてくる気がします。
ワルターは、ウィーン・フィルから最も敬愛された指揮者の一人だったそうです。
マーラーの弟子・親友でもあり、同曲の演奏でも多くの名演を残しています。クレンペラーも同じユダヤ系且つマーラーの弟子で、その演奏も素晴らしいですが、音楽表現スタイルは著しく異なります。
ワルターのリハーサルは、怒号が飛ぶようなものではなかったと言われます。
演奏表現がまずい時、ワルターはウィーン・フィルを前にして、しくしくと泣いたそうです・・・曰く「何故、貴方達は美しい音を出さないのですか?もっと歌って下さい」と。
レクイエムK.626・・・死者を弔う「鎮魂歌」、モーツァルト最後の作品〜一部、弟子のジュスマイアの補筆等という見解もあり。
このワルターのモツレク、声とオケが一体となって美しき魂の叫びと祈りを描いています。オケに恐怖政治体制を敷くことなく、これだけの表現を成し遂げてしまう人間性・カリスマ性には真に敬服します。
モツレクはウィーン・フィルとの録音2種(1937.6.29及び1956.7.26)もありますが、個人的にはストレートな厳しさ・輝きに満ちた、このニューヨーク・フィル盤が好きです。
ウィーン・フィルとのアイネ・クライネ・ナハト・ムジークや弾き振りしたK.466の、あの甘美な世界が・・・この演奏の、どこか根底にある気がします。
ワルターの厳しさに裏打ちされた夢見るようなロマンティシズム。
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