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空港で働いていて日常的に飛行機を目にしていると、どうしても飛行機のことを夢に見る ことが多くなるようだ。学生だった頃には夢に飛行機が出てきたことなど記憶する限りで は無いのに、働き始めてからというもの(特に飛行機の運航関係の仕事をするようになって からというもの)、航空ファンというわけではないのに夢に出てくるようになった。そして 地上で飛行機を見るのが仕事なせいか、僕の夢に出てくるのはたいてい事故の映像だったり する。 昨日の午前7時前に成田空港で起きた米貨物機の着陸失敗事故は、僕の夢にでてくるような 映像そのものだった。着陸寸前の飛行機が、意図していないのにも関わらず急に高度を失い、 地面に叩きつけられて炎上する、現実では見たくない映像だった。しかし鉄道にしろ航空機 にしろ、移動機関の宿命として人間にはこうした事故をゼロには出来ない。ごく僅かな確率 ではあっても、悪い条件が連鎖的に起こったときには人の命を奪う大惨事がおこるものだ。 朝の準備もそこそこに会社から緊急を告げる電話があり、空港に駆けつけた。僕が空港に 着いた時には消火活動がほぼ終わっていた頃だったと思うが、野次馬ではないので現場を 自分の目で確認に行くことはできなかった。幸いなことに僕は事故が起こったF社で働いて いるわけではないが、その会社にもたくさんの知り合いがいる。 成田空港では1978年の開港以来初めての惨事であったこともあり、限られた情報の中 から信憑性のあるものを選択したり、それによって自社の運航計画を立てたりする必要が あった。一番知りたかったのは滑走路の運用再開だったが、昨日の夜遅くまで誰にも時間 的な目途がたてられなかった。たまたま、F社の記者会見があるというので何かの情報を 得られないかと聴取に行ってみた。F社の代表者は日系米人らしくアメリカンアクセントが 強い英語を話し、日本人記者達との質疑の間には日本人F社職員の通訳が入った。 記者達の言っていることを聞いて、僕は驚いた。 「会社として、今回の事故に関する謝罪の言葉はないのか?」 「これだけの乗客や空港関係者に迷惑をかけているのに、なぜ謝罪しないのか?」 「航空安全の信頼性を崩したのではないか?どう責任を取るのか?」 要するに、新聞記者は事故を起こした会社などはケシカランから謝れ!と言いたいのだ。 F社代表者は神妙な面持ちを崩さず真摯に記者達のコメントを聞いていたが、傍で聞いて いた僕は次第に腹が立ってきた。そもそも航空の安全を保つために日々謙虚に努力を重ね ているのはF社のほうであり、マスコミではない。航空会社から見ても空港付けのマスコミ 担当者達は航空に関しては素人である。今回の事故にしても、ウィンドシアが背景のひとつ であると指摘されているとおり気象原因の事故であるにもかかわらず、単純に誰かが頭を 下げれば許せるという問題で片付けてしまっていいのか? 数時間後に2度目の会見があり、F社代表は「謝罪する」"apologize"という言葉を使った。 その途端に数名の記者が会見室から駆け出し携帯電話で「謝罪ありです!」と局や社の デスクに報告していた。まったく馬鹿な連中だ。事故というのは残念ながら航空交通の 一部分なのだから、こういうときに誰かが謝れば済むと考えているような奴は今後は 飛行機に乗らないで結構。余談だが航空関係者はみんな制服かスーツ姿で働いている のに、マスコミ関係者は無精髭と汚いGパンで空港の中を歩いていたりして、不愉快だ。 誰かを悪者に仕立て上げてみんなで叩けば「正義」が保たれるというようなこうした風 潮は、昨日の事故に限らない気がする。もともと大した資源は持たないのに自然災害に は頻繁に遭遇する日本人は相互共助の考え方で歴史を生き抜いてきた。いつの間にかア メリカ流の競争主義が曲解して導入され、自分の実力は大したものではなくても周りの 誰かを「悪者」にすれば自分だけは安泰でいられるというような、それこそ不公平な社 会になってしまった。ヘンジンと言われた宰相が「郵政民営化」を唱えたら、いつの間 にか国民の殆どが「郵便局なんかケシカラン」というようになってしまったのも、その 典型例だった気がする。 さて今回の事故、残念ながら操縦士の二人が命を落としてしまったが、俗にブラックボッ
クスと言われるDFDR(Digital Flight Data Recorder)とCVR(Cockpit Voice Recorder)は 回収されている。詳細な事故調査報告書は数ヶ月から2年程度の時間を経て公に明らか にされる。「謝れ」と怒鳴りつけていたマスコミ関係者は、是非とも難解な報告書を読 んで少しは勉強して欲しい。 |
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ひっくり返って炎上した動画が繰り返し再生されていましたが、乗客がいる飛行機だったら本当に悲惨なことになり、閉鎖も数日では済まないでしょうね。
私の場合は格安航空券を利用しているので便を選べないんですよね。たまたま今回乗ったのはエアバスやボーイングの機体でした。MDのこの飛行機は操縦安定性が良くないようですねぇ。
2009/3/25(水) 午後 3:54
とっくに日本に戻っています。たしかにマスコミの連中ってやたらとラフな格好で偉そうに振舞うことが多いですね。彼らは庶民の代弁者のような立場を取りますが、上から目線ですな〜。
2009/3/25(水) 午後 5:04
マスコミ、特にテレビには真実はほとんどないということにもっと国民は気付いてほしいですよね。
小沢代表の秘書の事件にしたって、あほらしくてテレビを切りました。
しかし、事故は貨物機で不幸中の幸いでした。
2009/3/25(水) 午後 9:47
こんにちは はじめまして〜♪
いろいろ読ませて頂きました・・・航空関係者でないといろいろ
本当の事がわかりませんよネ〜
私も事故の次の日に息子に聞いてみましたよ!
2009/3/26(木) 午前 8:11
>かわはらさん 事故の原因を単一に絞って風シアやMD11型式であったから、という見方は良くありませんがどうもMD11は開発時に技術屋さんが机上で考え過ぎながら設計した感じがします。いずれにしても、航空機事故は原因が明らかになるまでそれなりの解析時間が必要です。今回の事故が将来の安全に活かされる(ツームストーンセイフティですが、)事を願いましょう。
2009/3/26(木) 午後 3:26 [ boeing787 ]
>Blackさん そうなんですよ。それから、空港付け記者であるにもかかわらず飛行機の事にかんしては不勉強な連中が多いです。事故が起こったばかりで原因もはっきりわからない段階で謝罪するなんていうことも、国際的な慣行としてはあり得ないことです。それを「迷惑なんだから謝罪しろ」というのはナニサマの積もりなんでしょうね。
2009/3/26(木) 午後 3:29 [ boeing787 ]
>Harryさん バンキシャで岐阜県の裏金に関する虚実の報道をしたということも明らかになりましたよね。なんでも証言者に金銭を渡していた(=つまり裏金を渡していた)という笑えない状況です。うちは引越し2年を過ぎてやっとテレビをアンテナに繋ぎましたが、それでも電源を入れることはほとんどありません。テレビは見ないのが一番です。
今回の事故が旅客便だったら…想像するだけでも恐ろしいですが、もともと事故は航空という巨大システムに内包されているものですので、最悪の事態を想定したマニュアル造りなど国内の空港でも進むと思います。
2009/3/26(木) 午後 3:41 [ boeing787 ]
>takasumi25さん 初めまして。豊かさを希求する中年男のブログへようこそ。息子さんは操縦士なんでしょうか? 航空関係者なら事故の原因について「まだまだ明らかになるまで時間がかかるよ」とおっしゃってませんでしたか?
2009/3/26(木) 午後 3:43 [ boeing787 ]
winterさん、 お疲れさまでした。早い復旧への関係者の方の尽力に敬意を表するとともに、今回の事故が何らかの形で活かされることを願います。また、亡くなられた操縦士の方のご冥福をお祈りします。(本当はもっと適切な言葉があるのでしょうが思いつかず・・・)
2009/3/29(日) 午前 7:58 [ kae*uc*an*67 ]
あれはダウンバーストや横からの突風の類が原因の天災じゃないでしょうか?
謝罪しなければならないのはこんな取材をするメディアの方です。
報道関係は監督官庁が新規参入を拒んで閉鎖的な社会が出来上がり、結果としてこんな状態でも生き残れてしまう。
困ったものです。
2009/4/5(日) 午後 0:03
>かえるちゃんさん パイロット2人もアメリカ人であったもので、あまり翌日以降のニュースでは注目されることがなくなりましたが、もし300人程度が搭乗する旅客機だったら、おそらく報道は今でも続いていたと思います。現在、当該会社には業務上過失致死の容疑で警察の捜査が入っているそうですが、刑事罰よりも原因究明と再発防止が重要ですよね。
2009/4/12(日) 午前 9:49 [ boeing787 ]
>sniperさん ダウンバースト現象をご存知とは、流石ですね。70年代にNYでTWA機が落ちたときにその事故の原因解明からダウンバースト現象の存在が明らかになりました。(発達した積雲の下に時々吹く急激な下降流のことです。)それまで未知の気象現象であったわけですが、ひょっとすると今回も今まで知られていなかった気象現象が原因の一端としてあるのかも知れません。
日本では報道のあり方を検証する仕組みが殆どなく、「新聞=社会正義」のように思ってるマスコミ連中が多すぎますね。そういう新聞記者には一度、新聞勧誘員の強引な販売方法でも取材してもらいたいもんです。
2009/4/12(日) 午前 9:54 [ boeing787 ]
昨日、シンセンから上海への中華航空の国内便がキャンセルとなり足止めを食らいました。原因は霧による天候不良のようでした。リスクが予想される時は、このように飛行機を飛ばさないことも当然しているわけですよね。そういう中でも予測しきれない自然現象というものもあるわけで、責任追及の考え方もおかしなものですよね。
2009/4/12(日) 午後 7:01
>かわはらさん 計器着陸方式の場合、視界不良の場合にはふつう卓越視程で800メートル・雲底までの高さ200フィートが必要になります。霧などの自然現象はどの方向にも一様に800メートル以下の視界が広がっていることというのは無く、「西を見ると3キロ見えるけど東を向くと10メートル先も見えない」ような状態になります。そういう場合の運航判断は難しくて各航空会社によって違うわけですが、そうした不可避的な事由によって遅延や欠航にしてもモンクを言う乗客というのはいます。マスコミってそういう連中と似ていますよね。恐らく「庶民の味方」と自負しているのでしょうが、「大衆的なバカ」の視点からしか物事を見ていない気がします。
2009/4/14(火) 午後 5:58 [ boeing787 ]
自然界ですから、霧の視界が方向によって違うこともあるし、場所によって違うこともあり、一概に視界何メートルと言っても実態はわからないですよね。
飛ばさないことで不便はありますが、事故がおきてからでは遅いですからね。
2009/4/14(火) 午後 8:26
>かわはらさん 亀レスですみません。気象が悪い季節が過ぎたと思ったら、今度は新型インフルエンザの検疫が悩みの種となりつつあります。
2009/5/6(水) 午前 8:39 [ boeing787 ]
そうですよね〜。はっきり言って、空港での検疫は無理があると思います。潜伏期間があるわけですから、チェックしきれるものではありませんよね。
本気でやるなら入国審査の後、そのままバスに乗せてホテルで潜伏期間中は待機させて症状が出なければ開放ということしかないと思います。
2009/5/6(水) 午前 10:15
>かわはらさん 水際対策は僕も疑問視しています。連休だけで何十万人が出入国するというのに、その人達すべてを監視するということは出来ないはずです。感染症対策を本気でやるなら国境封鎖くらいしか・・・
2009/5/6(水) 午前 10:47 [ boeing787 ]
ヤツら【誰】にとっては「やった」というポーズだけが大事なのでしょうね。実効性があるかどうかなんてどうでもいいのだと思います。
今月また中国へ行くことになりそうなのですが、意味もなく足止めくらう可能性を考えると頭が痛いです。
2009/5/6(水) 午後 0:18
検疫官は自衛隊医師を除いては厚生労働省の職員ということになるのでしょうか。それなりに汗を流してやっているようですが、なんとなく手段と目的がひっくり返っている気がします。「検査をしている=だから大丈夫」という方程式で物事を考えているような…
2009/5/6(水) 午後 4:30 [ boeing787 ]