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高度経済成長の頃からか、一党独裁が続いた日本では都市に産業を集中させる政策を国 が取り続けた。戦後の農村で育った若者は、成人すると東京や大阪などの大都市で就職 口を見つけて定住するのが日常になり、人口が流入して過密になった都市部では地方から 出てきた者同士が家族を持つために核家族化が進んだ。国はこうした核家族に対し、 都会で家を持つことがステータスだというマイホーム幻想を抱かせ、東京では家族3、 4人で住む狭小な住宅で溢れるようになった。 日常的に祖父・祖母に触れられないまま核家族の中で子供が育つのは少し残念に思う。 人間は誰でも年を取ると動作が遅くなり、感覚は鈍くなり、外見は醜くなる。家庭の中で 日常的に年老いた身内に触れていると自然とそうしたことが理解できるようになり、自 分よりも弱いものをかばおうとする気持ちを持つようになるのではないだろうか。 僕も仕事の都合上、親元から離れて核家族として住んでいるので、あまり偉そうなことは 言えないが、今日の出来事を書き留めておきたい。 台風が房総半島に近づき朝から雨がぱらつくなか、午前中に投票を済ませてしまおうと 投票場になっている最寄りの小学校まで家族で脚を運んだ。余談だが、今月で3歳になっ た息子も投票場に行けば風船をもらえると知っていて、風が吹いても傘をさして一生懸 命に着いて来た。ひとりでカサをさして歩く姿を見るのは初めてだったので、傘を頭上に さすことなど今まで言葉で教えたわけでもないのにキチンと知っていることには少し驚いた。 やはり子供は周囲を観察して吸収してしまうものらしい。 投票を済ませた後に着替えて午後からの仕事に行くために通勤電車に乗った。成田空港に 向かう電車は下り線ではあるが、週末は大きなスーツケースを持った乗客が多く座席は 埋まっていたために、僕はドア脇に立って文庫本をめくっていた。 次の駅では、足腰が不自由そうな年配の女性が乗ってきた。話しを聞くと駅にして3つ ほど、10分くらいのところまで行くらしい。立ったままでは電車の揺れで倒れてしまい そうなので、周囲に座れる席が無いか見渡してみた。 すぐに席を譲ってくれたのはおそらく20代の男性だった。年配女性が「お兄ちゃんあ りがとうね。空港から海外に行くのかい?」と質問すると「私、日本人じゃない」とその 男性は言った。日本語が分からない様子で、言葉の訛りから韓国の人だと分かったので 僕の下手糞な韓国語で少し話してみた。 僕「席を譲ってくれてありがとう。あなたの国では当たり前の事でしょうが、今の日本人 はお年の方に席を譲ることができない人が多いんですよ」 青年「そうですかね。当然のことですよ」 その席は対面が優先席になっており、そこに座っている5人ほどはどう見ても優先席に座る 必要がなさそうな人物ばかりだ。中にはスーツケースを抱かえて携帯メールをしている20 才くらいのカップルまでいる。彼らは海外に行く元気はあっても、電車では座っていないと いけないのだろうか? 優先席を陣取ってしまう若者というのは、もしかすると核家族で育ち「自分さえ良ければ いい」というような躾を受けてきたのかな、と想像した。年配者を見ても「見て見ぬフリ」 をするのであればまだマシで、彼らは年配者が乗ってきても全く気にならない様子だった。 国政選挙ではマニフェストというものが流行り、各党ともその宣伝に躍起になっていた。 しかし、「高速道路は休日1000円がいいか、それとも無料化がいいか」「年金問題は 現状でも満足か不満足か」「公務員の天下りはどの程度ケシカランか」「こども手当はいくら 欲しいですか」などというのは、実は全部目先の金銭問題だけの気がする。 そもそもこの国がこれから50年後や100年後ににどんな姿であったらいいか?私たち日本 国民は目標のためにどうしたいのか?自分の目先の問題のためにもっと大切なことを見失っ ていないか? 選挙のことだけしか考えていない政治家から、そうしたことを聞きたいと願 うのはムリな話しだろうか? 選挙の結果として電車で席を譲れる若者が増えるだろうなどと、甘っちょろい主張をして いるのではない。しかし、都市部の核家族化もその背景にあることは明確であり、現在の 様な核家族を対象とした住宅政策は家族内での世代間コミュニケーションを失わせているの も疑いようが無い事実だろう。 中年になった今、「歳を取る」ということについては、他に書きたい別の側面もあるが、
それは次回にします。選挙があった今日、このようなことが気になりましたと書きとめて おきました。 |
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中国に行った時にも同じように感じました。バスでも電車でも、老人に対しては、若い人が積極的に、席を譲っていました。日本では決して見ることができない光景だと思いました。
さて、選挙の件ですが目先の金銭問題、バラマキが争点で、情けないですよね。おっしゃるような50年後100年後のビジョンが見えてくる政治家がどこにも見当たりません。政治家の本業は「椅子取り合戦」ですから仕方ないと思いますが・・・。
2009/8/30(日) 午後 8:08
仰ることわかります。核家族が増え、子供が、老い・病気・死というものに接する機会が減りましたね。想像力のない子供がどんどん増えているでしょう。
ところで、子供の頃、老人というのは経験豊かで賢く、常識ある達観した人達だと思っていました。が、バカな若者がそのまま歳を取ったような老人が増えていますな。ポイ捨てする老人の多いこと!いずれ、コンビニの前でウンコすわりをしながらケータイをいじる老人が増えるのが恐いです。政治も老人の顔もその国の鏡ですな〜。
2009/8/31(月) 午前 7:24
今の日本人にほ公徳心というのが本当に希薄になっていますよね。
別に韓国や中国の人が公徳心に優れているとも思いませんが、敬老の心はまだなくしていないと思います。
これもすべて「今の損得」で判断する風潮が支配しているからでしょうね〜。
2009/8/31(月) 午前 9:31
>かわはらさん 「これからの日本をどうしたらいいか?」という政治的問いかけに対して、年金問題や高速道路料金の事しか説明できないような政府じゃハッキリ言って駄目でしょうね。
私たちは、次の世代(今の子供達)をどう育てたいか、次の次の世代(孫たち)に何を遺したいか、そういう自問自答をしてみれば現状を少しでもよくしないといけないのは明白です。教育に関しても、ゆとり教育の結果として学力が落ちたので授業時間を増やすなどと短絡的なことをしていますが、自然や命にたいして慈しみの心を持つ子供達を育てたいもんです。
2009/9/1(火) 午後 7:33 [ boeing787 ]
>Blackさん そういう統計は取り様が無いのでしょうが、確かに僕らがまだ子供だった30年ほど前までは近所にいるカミナリオヤジみたいなのに恐怖を感じながら、オトナ達の言うことのほうが正しいのだから従わないといけない感覚を持っていました。今じゃ禁煙のはずの駅ホームで老人が堂々とタバコを吸っていたりします。注意すると逆にこちらが怒鳴られたりして(苦笑)。
老人になる頃の僕の目標は、背筋を伸ばして歩いて行儀の悪い子供がいたら怒鳴りつけるようなカミナリオヤジです。若者にも怖がられて「まだまだ若いもんには負けワイ」なんてセリフを吐いてみたいもんです。
2009/9/1(火) 午後 7:39 [ boeing787 ]
>Harryさん 韓国の地下鉄に乗ると当然のように若者が席を立って老人に譲っています。儒教の国だからというとハナシはそれで終わってしまいますが、日本の若者は情けなさすぎます。
2009/9/1(火) 午後 7:42 [ boeing787 ]
中国でも老人に席を譲る若者、女性に席を譲る男性などたくさん見ましたよ。そういうのを日本ではほとんど見かけないですよね。
長期的な視野で進むべき方向を見据えて、現実の教育に生かしていくのは学校教育では難しいのかもしれないですねぇ。とりあえず親が頑張るしかないと思います。
2009/9/1(火) 午後 10:48
我が家も核家族ですが・・大きな家で大家族な方が便利ですわ。
元気なうちはいいですけどね。お互いが病気だ老化だとなってくると核家族は大変です。
先人の知恵は我々の知恵を遥かに超えていますから。
2009/9/3(木) 午後 9:37
>かわはらさん 「躾は親」「読み書きそろばんは学校」というのは当たり前ですが、では社会は今の子供達に何をおしえているのでしょうか? 「ずるがしこく生きていくのがオトクだ」としか教えていないような気がします。
2009/9/4(金) 午後 9:02 [ boeing787 ]
>sniperさん 国民はナントカ手当が貰えるからドコソコ党に投票する、政党のほうではそれが社会福祉だとか少子化対策だと言ってます。なんでこうまでお金の損得勘定でしか考えないようになってしまったのでしょうか? 官僚の天下りはゼロにして欲しいですが(というか天下り先も要らないものばかりですからつぶして欲しいですが)、高額の子供手当というのは「?」です。
2009/9/4(金) 午後 9:08 [ boeing787 ]
すべての元凶は、アメリカ型資本主義(拝金主義とも言う)じゃないかと思う今日この頃です。自分の子供には、金儲けは出来なくても人としてきちんとした人間に育って欲しいと願ってます(願っているだけでなくて、ちゃんと育てろって?。ハイ。すみません(汗))
2009/9/13(日) 午後 11:53
僕も核家族でないほうがいい、というのに共感します。
最近、妻が出産しました。
お産が近いときは、安静にし過ぎずに、しっかり動いたほうがいいらしかったのですが、そういったことを知りませんでした。無知でした。
母か義母が同居していたら、そういう知恵も知ることができたはずでした。
とにかく、昔の生活形態、システムの方がいい、ということはたくさんあると思います。
2009/9/20(日) 午後 4:29 [ zelkova ]
>ものぐささん 会社で働いていると、売り上げをのばすことを第一としない人はまるで国賊のような扱いを受けますよね。僕は営業職ではないですが、営業部署の人たちは特にひどいです。自分や家族を犠牲にしても、あるいは僕の家族を犠牲にしてでも売り上げを伸ばそうと躍起になるような呪縛にかかってしまっています。
子供は手間をかけずに、かつ親からみて「いい子」に育ってくれたら」ベストなんでしょうけど、そんなオートマティックな子育てなんか世の中にはありませんね(笑)。
2009/9/21(月) 午後 2:49 [ boeing787 ]
>zelkovbaさん ひたすらに豊かさを希求する中年男のブログへようこそ。はじめまして。
日本の歴史の中で核家族がこれだけ増えたのも初めて、少子高齢化がこれだけ急激に進んでいる社会も現代日本だけです。それもこれも、もともとあった旧来とした生活様式に西洋の経済価値を「移植」して、家族のあり方を変えてしまったためにおこった現象ですよね。自分の家族よりも金儲けが大切だというような人って、おそらくキチンと子育てとかしていないんじゃないかと思います。
2009/9/21(月) 午後 2:56 [ boeing787 ]