スウェーデンハウス
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僕の家の近くに雑木林を切り崩して新たに開発された建売住宅郡がで きた。 僕の家と同じ町内にあり、うちと同じように市街化調整区域であるが 最近では既存住宅地に隣接しているなど一定の条件を満たせば開発が 可能になったらしい。これではなんのための調整なのか分からないが、 開発可能になったことをいい事に行政と業者が結託して建売住宅を売っ ている。 日本の郊外では、農業で生計が成り立たなくなった地主(もと百姓)が ミニ開発用にこうして少しずつ土地を切り売りしたせいで、接道が狭かっ たり不必要に道がクランクしたりする住宅地が多くなった。長期的な計 画性は感じられない。 うちは最寄のバス停まで徒歩8分、そこから駅までバスに8分乗車、最 寄り駅から日暮里まで50分程かかる。そういう場所にでも東京のサラ リーマンが家を求めるのだから、不思議なものだ。通勤に片道1時間半 程かけても庭のある家が欲しいほど、日本の一戸建て信仰というものは 強いらしい。都内では5000万円ほど出しても庭の無い3階建て狭小 住宅しか買えない。 平均的な日本人は、30歳までに結婚し子供をもうけ30代になった頃 に最初の家を買う。例えば35歳で5000万円の35年ローンを組ん だとすると、支払いが終わるのは70歳、つまり定年退職には間に合わ なくなる。今のところ長期金利は少し低水準を維持しているようだが、 金利5%で35年となると、実際の支払い総額は2倍つまり1億円という ことになる。したがって、「5000万円で家を買った」というのは正し くなく、「5000万円の価値の家を手に入れるためにこれから1億円 払う」と表現するのが正しい。 サラリーマンの平均的な生涯賃金が2億円だとすると、住宅のために所 得総額の半分を支払うというのは、あとは大変にきつい生活にならざる を得ない。まさに家のために働いて家のために死んでいく人生になる。 それでもたいていの人は生活費を必死でやりくりローンの繰上げ返済を しながら、定年前までにローンを完済するか、退職金を返済に充てるな どして、やっとローンから開放されるようになる。 しかし、それで安心してはいけない。上の写真のような新築の建売住宅 は、売買の契約が終わった瞬間に「中古品」となるので1割ほど売却価値 が下がり、入居を始めた瞬間に中古住宅としてもう1割下がり、後は1年 過ぎるごとに1割ずつウワモノ価値が下がって、おおまかに10年を過ぎ る頃には不動産市場で「ウワモノ付き土地」になる。 その後も住み続けることは出来るが、日本では住宅そのものの寿命が短く 30年ほどで建て替え時期になる。先程の35歳で家を買った人がやっと のことで定年前にローンを完済しても次は構造や外壁を含めたリフォーム をするか下手をすると建て替えを余儀なくされ、虎の子の筈の退職金まで 取られることになる。高齢者がリフォーム詐欺にあうケースがニュースの 特集で紹介されていたりするが、その問題の背景にはこうした日本特有の 住宅事情があることも忘れてはいけない。 住宅を購入すると出費がかさむせいで経済のカネ回りには貢献できても、 個人の生活は豊かにならない。その仕組みは消耗品である車を買うとその 後の出費がかさむこととよく似ている。先進国の中で日本においてだけは 住宅は耐久財ではなくて消耗材なのだ。 Harryさんの言うように住宅が100年に渡って住み続けられ、親は住宅を
買い子は別荘を買い孫はヨットを買うといった富の蓄積はいつまでたっても 出来ない仕組みになっている。日本人の暮らしは、本当にこれでいいのだ ろうか? |
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「家を買うと貧しくなる」と書くと、既に3軒も家を買い換えた僕としては かなり自己矛盾になるかも知れないが、日本の住宅事情についておかしいと 感じるところが多い。 江戸庶民の暮らしぶりなどを調べてみると、当時としてもかなり安価だった 長屋を賃貸して暮らしていたため、不動産を所有しないでも豊かな暮らしが できていた。庶民はせいぜい玄関を開けるとすぐ台所がついた土間であとは 2部屋という長屋で暮らしていた。夜には布団を敷き日中はちゃぶ台を置い て食事をしていたたので、現代風に言うと2Kしかない間取りでも家族で暮 らすには充分だったのだろう。 僕の実家は僕が小学校高学年になるまで、その長屋の延長線上のような家だっ た。僕が生まれた頃に接道側の台所が自然崩壊(笑)したため、台所とその 脇の風呂は長屋に付け足したように少しだけ新しかった。裏庭側にあった祖母 の部屋も今思うとおそらく増築したものだと思う。せいぜい50平米程度の 長屋に祖母・両親・3兄弟の6人で住んでいたが、そのころ狭いと思ったこと はなかった。 そうした僕の幼少期より少し前の60年代位から、日本の集合住宅の間取り は住宅公団が建てた文化住宅によって形が決まってきたらしい。それまで 長屋暮らしをしていた庶民から見て、食事をする場所と寝る場所が別々の部屋 と言うのはかなり衝撃的なことだった。現在の分譲マンションは玄関を開ける と片側に寝室が2つほど並び、その反対側には水周りが並び、廊下を通って 奥まで行くとLDKがあるというのが典型例だが、実はこうした間取りは 60年台に公団が限られた占有面積に対してどれだけ居住性を高めるかと いう問題に対して提唱した方法であり、必ずしも良い間取りというわけでは ない。 お隣の韓国では集合住宅は玄関から入るとまずLDKがあり、それを取り囲 むように寝室があるという構造になっている。帰宅した家族が顔をあわせて 自然に会話が出来るようになることを考えると、公団スタイルよりも韓国スタ イルのほうが優れていると思う。有名な女優の息子が自宅地下室で覚醒剤を吸 引していたらしいが、家の中に他の家族から見えない「死角」を作ってはいけ ないと思う。 僕は30歳くらいの頃、初めて買った家が中古マンションだった。RC造のマ ンションは当時独身だった僕には便利だったが、これから子供の成長を見守ら なければいけない今となってはマンションに住みたいとは思わなくなった。 ということで、住宅について次回に続きます。
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