私の思いと技術的覚え書き

歴史小説、映画,、乗り物系全般、好きのエンジニアの放言ブログです。

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 昨今、巷にカーボンテキスタイル(織物模様)の表現が蔓延している。これは、炭素繊維の単繊維の微細な断面で比鉄強度は10倍に達する近代最先端テクノロジー(つまりハイテク)の象徴としてのことだろう。確かに、航空宇宙産業など、限りなく軽さと比強度を求めるものには最高の素材となるのだろう。
 しかし、カーボン素材も種々のネガティブな側面があることを意識しなければならないだろう。次の様なものだ。

①カーボンコンポジットマテリアル(複合材、以下CFRP)には、カーボンを樹脂に含浸させ硬化させたものや、カーボン繊維にカーボンを含浸させ高温焼成したもの(C/C材)、カーボンを溶融金属で含浸させたものも想定できるだろう。この内、樹脂含浸の樹脂が2つに大別されることに留意したい。つまり熱硬化型と熱可塑型の違いだ。一般に熱硬化型の方が比強度は高くなるが、リサイクル不可能だとか、補修性が劣るという問題がある。

②現在のカーボンマテリアルで最高の比強度を得られる構成は、長尺繊維カーボン束を使用し、樹脂中のカーボン比率を高め、オートクレーブ(加圧・過熱焼成炉)で焼き上げた製品となるだろう。しかし、これとて、紫外線や各種応力変化など経年劣化の問題は避けられないだろう。CFRPが登場し始めて、未だ20年そこらの段階だが、経年でマイクロクラック(微細亀裂)が生じるなどの問題もあるやに聞く。

③カーボン繊維は、年々スペックとしての比強度を高めてきている。これは、素材自体の比強度が上がった訳でなく、製品としての欠陥の存在率を低下させる生産技術の改善によるものだそうだ。

③CFRPは、現在リサイクル性だとか補修性などを考慮して、熱硬化型樹脂から熱可塑性樹脂への展開が進められている。これが出来れば、例えば汎用CFRPのプレーン板材から、加温プレスで製品を作り出すなど、更なる応用範囲は広がるだろう。

④知るところによると、東レなどのカーボン素材メーカーでは、予めカーボンを樹脂に含浸させた半固形状態のプリプレグという状態で、製品メーカーに納入するそうだ。製品メーカーでは、このプリプレグを製品の必要強度部位に応じて適宜積層しつつ、製品を焼き固める作業を行うそうだ。そこで、このプリプレグだが、硬化反応は温感ほど進行が促進されてしまうので、冷温保管するとかと、一定期間の寿命があるということだ。

⑤CFRP以前に普及したFRPは繊維材にガラス繊維を使用したものであった。これは、オートクレーブよる加圧過熱を要しないことから、補修性は問題なかった。事故車などで、大きなクラックが入ったり、部品の一部が欠損した場合でも、実用強度に問題ない補修が可能であったのだ。だから、クルマなどに採用される以前から、耐食性も良好な素材として漁船やプレジャーボートの船体造形素材などとして、かなり大きな製品までが今でも使用され続けている。なお、FRPの樹脂も当初のポリエステルよりさらに比強度の高いエポキシなどに変化してきている。

 てなことを予備知識として、CFRP製品を貶すつもりは毛頭ないが、あの表層に形成されるテキスタイル(織物模様)が素晴らしいとは、私にはまったく思えない。しかし、このハイテクイメージだけを求め、樹脂表面のシボ模様をカーボン風にしたり、ボンネットなどのカーボン風ラッピングしたり、FRPの第1層のみをカーボンシートにした偽物CFRPなど、これらに魅力は感じないし無価値な商品だと思っているのだ。

 下記は、YoutubeのBMWのカーボン製品製造過程の動画から切り出した写真であるが、この動画に私は以下のコメントと付した。
イメージ 1
イメージ 2
イメージ 3

木村栄二
 我思うに、カーボンテクノロジーは素晴らしいとは思うものの、カーボンテキスタイル(織物模様)がテクノロジーの象徴として崇めたいという心理が判りません。そもそも、さほどの強度が必要ない部位や、樹脂とのコンポジット材たる宿命上、温度限界が200℃を大きく下回るものを、昇温環境部位に付けるエンジニアとは、なんぞやという思いで眺めています。
 

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