私の思いと技術的覚え書き

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大型車のブレーキ

 クルマ用ブレーキのことは過去何度も記して来ましたが、今回は大型車(貨物車やバスなど)のブレーキについて、私見ですが記してみたいと思います。
 クルマで山間地に出掛け、長く続く坂道を下って行くと、道路左側に接して急な上り傾斜を持つ砂地で、しかも路面をわざと波打つように施工された施設である緊急避難路というのを見掛けることがあります。これは、下り坂道での連続制動により、各輪のブレーキが加熱し過ぎることにより摩擦係数が低下して制動力が著しく失われるフェード現象に備えるものです。
 ところで、現在の乗用車では、制動力の多くを受け持つ前輪用ブレーキはディスクブレーキが標準装備です。従って、余程の過酷な連続使用でもしない限りフェード現象から著しく制動力が失われ、事故にまで至ることは稀なことでしょう。一方、中・大型貨物車や大型バス、路上走行可能な建設用車両(クレーン車など)では、ディスクブレーキの採用も増えては来ましたが、未だドラム式ブレーキの採用車が多くを占めています。
 ご存じの通り、ブレーキ装置というのは、車両の持つ運動エネルギー(m・v)を熱エネルギーに変換して吸収し減速するものです。そこで、吸収した熱エネルギーを如何に素早く放熱するかが重要となって来る訳です。従って、ブレーキ摩擦体が外部に露出しているディスクブレーキより、ドラム式ブレーキは放熱の点で不利なことが判ります。しかも、大型車の積車状態では乗用車の数十倍も車重が大きく運動エネルギーが大きいですから、ブレーキにとっては非常に厳しい条件に曝されフェードを生じ易いといえます。
 実際過去には、山梨県だったと思いますが、下り坂で大型トレーラー車が暴走状態に陥り、多数の乗用車などに衝突押しのけながら数キロ暴走し何らかの構築物に衝突してやっと停止したという事故があったことを記憶しています。また、5年前後前だったと思いますが、熱海市近くの下り坂で、大型バスがフェード現象から路肩の立木に衝突し、乗客が死亡した事故もありました。
 なお、ブレーキの耐フェードの能力としてもっとも厳しいのは、最近の大型トラックでやや増えつつあると感じられる低床4軸車ではないでしょうか。低床4軸車では小径タイヤの使用により、荷台高さを下げ、荷室容積の拡大とか荷積み性を向上させたものです。しかし、小径タイヤは小径ホイールとなり、ドラムブレーキにしてもディスクブレーキにして、その径の大きさに制約を受けてしまいます。ブレーキ力としてはトルクレンチと同じで腕の長さ(半径)が長い程小さい力で効く訳ですから。なお、この様な小径ブレーキでも十分なブレーキ容量確保のためには、ドラムの奥行きやディスクの厚さを増すと共に、各摩擦板(シューやパット)の押し付け力を増していることでしょうが、耐フェード性としてのポテンシャルが低下するのは否めないことと想像されます。
 今次、原発大事故において、数日前から注入水にホウ素を混入されていることが報じられています。このホウ素の混入は、実際には報道前より行われていたと思われます。この、原発事故とホウ素のことは、チェルノブイリ事故の際、大きく開放されてしまった原子炉上部から、危険を冒してホウ素材を散布するヘリコプターでの作業映像を見た記憶がありました。ホウ素は、核分裂の際に出される中性子の吸収作用がある物質だそうで、核燃料体同士の間に挿入される制御棒にも使用されるそうです。今回の大事故でも、万一の再臨界(核分裂反応)を防止するために、冷却水に混入されるのでしょう。
 ところで、このホウ素ですが英名はボロン(Boron)となりますが、ボロン鋼での名称の方が、私にとっては馴染みがある様に感じられます。一般的な炭素鋼(鉄と炭素の合金で普通鋼と呼ばれる)は、焼き入れ、焼き戻し、焼き鈍しなどの熱処理を行うことで、機械的特性を変化させることができるのはご存じの通りです。この炭素鋼にボロンを混入することによって、焼き入れ性を著しく向上させたものを、ボロン鋼と呼ぶそうです。これは、私の想像も含めてのことですが、ボロン鋼は軍事用の耐弾(防弾)厚板鋼板として、例えば戦車の装甲や、軍艦の舷側防御用に積極的に使われてきた様です。
 なお、鋼に炭素だけでなく、ニッケルやクロムなどを異種金属を加えたものを特殊鋼と呼びますが、さらにボロンの追加することにより、ニッケル、クロムなどのコスト高素材の使用量を抑えるということもある様です。また、クルマの世界でも近年の衝突安全性の要求から、クラッシュスペースの少ない車両側面部のセンターピラー部などに関係する付属部品には、引っ張り強度が1000MPaを超える超高張力鋼板が使用される様です。これらは別名ホット・プレス材の名の通り、常温でプレス加工は不可能で、加熱された状態でプレス加工するというものですが、もしかするとボロンの併用もなされているのかもしれません。

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